現代に帰還した"元"邪悪な魔女は平穏に暮らしたいけど、駄目そうなので周到に準備して立ち回りながら無双します

忘八

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サービス残業。後にガールズトーク

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 前書き
何か色々キンクリしてたりするけど、
正樹が行動してる間の涼子は何してたか?って感じの回…

まぁ、閑話的な感じね



 正樹と共に証拠隠滅を済ませてから2時間後の夕刻前。
 涼子は向こう異世界にある自分の地下バンカーに居た。
 目の前には不機嫌そうにするエレオノーレの姿があり、涼子はエレオノーレに大変申し訳無さそうに語り掛ける。

 「モラの件は私だってさっさと片付けたいわ。それにアンタに謝罪するなんて癪だけど、私等の勝手な都合でアンタを振り回して申し訳無いとも思ってるわ……本当よ?」

 本音を交えて告げる涼子にエレオノーレは不愉快そうに返す。

 「なら、さっさと貴様の面倒を片付けて来い」

 「ソレが出来たら苦労しねーわ。此方と違って、向こう日本は色々と面倒なのよ」

 さっさと片付けたい。
 しかし、それをしたら失う物が無数にあるばかりか、飛び切りの面倒を背負う羽目になるから出来ない。
 そう告げれば、エレオノーレはつまらなさそうに言う。

 「幾つもの国や軍を相手にした貴様の言葉とは思えんな。昔の貴様なら嗤ってそうした面倒を消し飛ばすだろう?」

 邪悪な魔女としての全盛期を識るからこそ、今の涼子が嘲笑と共に面倒を消し飛ばさない事にエレオノーレは不満を示した。
 そんなエレオノーレに自分が悪い事を自覚しながらも、涼子は言い返す。

 「アンタだって国相手にバカやって、ノリノリで戦争しただろうが……」

 「あぁ、最高に愉しかった」

 涼子の言葉に対し、嗤って肯定するエレオノーレ。
 そんなエレオノーレに涼子は溜息を漏らすと、忘れていた事を思い出した様に尋ねる。

 「そう言えば、勇者召喚したバカ国家はどうなったの?」

 「あぁ、一番の脅威召喚された勇者達が消え去った事で周辺諸国が祖国防衛名目で挙兵した」

 エレオノーレの答えは、涼子にとって予想の範疇であった。
 その為、涼子が驚く事は無かった。

 「でしょうね。その分だと、教会も神の意志に背いた云々ホザいて背教者達への誅伐って事で周辺諸国を焚き付けてそうね」

 つまらなさそうに言う涼子にエレオノーレは肯定する。

 「あぁ、貴様の言う通りだ。教会のアホ共は周辺諸国に喰い散らかせて高みの見物を決めてる」

 「昔から変わらないわね。なら、そっちの件は放置しても良さ……」

 「どうした?」

 言い掛けて言葉を停めた涼子にエレオノーレが問うと、涼子はエレオノーレに尋ねる。

 「何時の事だったかしら?師匠が私やアンタとか集めて、?」

 「チェンさんと出会う前だから600年より前だと思うんだけどさ?」と、記憶が朧げにしながら尋ねると、エレオノーレは思い出した様に答える。

 「そんな事があったな……確か、630年くらい前だ。ツマラン戦争だったのはよく覚えてる。貴様が姑息な手を使って愉しみを台無しにしたのも含めてな」

 不快そうに言うエレオノーレに涼子は完全に思い出したのだろう。

 「あー……水源に死体を無数にブチ込んだり、畑や食糧に村を燃やして廻って連中の兵站を根刮ぎ台無しにしたわ。あの時は蛮族スタイルが愉しかったわ」

 邪悪な行いをした事を愉しそうに語った。
 そんな涼子にエレオノーレは結論を尋ねる。

 「で?その時の事と何が関係する?」

 その問いに対し、涼子はトンデモナイ答えを述べた。

 「あの時の向こうの神とやらの加護を受けた連中と、死んだ勇者達に仕込まれていたのよ」

 勇者の1人を殺害した後。
 涼子は彼の脳内から情報を抜いただけではなく、彼に与えられた力も解析していた。
 その時は何処かで見覚えがあったなぁ……と、その程度しか思わなかった。
 だが、昨日……
 尾行者が居ながらも、休日を有意義に過ごしてノンビリ出来た。
 そんな時、ふと術式の事を思い出したのだ。
 術式等に詳しい涼子の答えを聞くと、エレオノーレは興味深く感じたのだろう。
 笑みを浮かべる。

 「ほう……滅びた世界の滅ぼした神の加護と勇者共に与えられた力が似ているとは……実に興味深い」

 「でしょ?」

 「それで?貴様は何を企んでる?」

 そう問うエレオノーレに涼子は笑顔と共に答えた。

 「また、面倒起こされるくらいなら死んで貰おうかなぁ……って思ってさ。一緒に殺らない?」

 涼子の誘いにエレオノーレは嗤うと、快諾する。

 「良いだろう。偶には貴様と組むのも悪くない……だが、無様な戦いをしたら私が貴様を殺すぞ」

 「殺れるもんなら殺ってみろ。行き遅れ処女」

 一触即発。
 その一言に尽きる。
 だが、エレオノーレは大人の対応で返した。

 「ふん!減らず口だけは相変わらずだな」

 「言うだけならタダだから」

 本来であれば、顔を見合わせた瞬間に殺し合う程度の仲だ。
 だが、同時に互いの実力を殺し合いを続けて来たが故に最も深く識る。
 だからこそ、2人は仲良く神殺しに向かうのであった。



 2時間後。
 結果だけ言うならば……
 勇者召喚の元凶であった異なる世界の神は死んだ。
 他にも居た神達も惨たらしく殺された。
 戦争の魔女に生きたまま焼き尽くされ、灰と化した。
 黒き魔女の持つ神殺しの深紅の魔槍に心の臓を貫かれて殺された。
 中には、生きたまま喰らわれた神も居た。
 幾多の天使達は1人も残る事無く、黒き魔女と戦争の魔女によって灰燼に帰した。
 神殺しを淡々と成功させた2人の魔女は元の世界に帰ると、黒き魔女は高級煙草トレジャラー・ブラックを戦争の魔女へ差し出す。
 高級感溢れる黒い箱から金の吸い口が特徴的な黒い紙巻き煙草を抜き取ると、戦争の魔女は咥えた。
 程無くして何の前触れも無く煙草に火が点って紫煙が薫り始めると、黒き魔女も煙草を咥える。
 すると、戦争の魔女が火を点してくれた。

 「ありがと……すぅぅ……ふぅぅ……レベル制のある敵と数百年ぶりに戦ったけど、やっぱ雑魚ばっかね」

 煙草を燻らせ、紫煙と共に当時を振り返り、吐き捨てた黒き魔女。
 もとい、涼子にエレオノーレは尋ねる。

 「レベル制とは何だ?」

 「コレぐらいの強さがありますよーって目安かしら?まぁ、具体的に説明するのは面倒だから聞くな」

 涼子から投槍に返されると、エレオノーレは「くだらん」と一蹴し、紫煙と共に言葉を続けた。

 「殺し合いに強さの目安が役立つものか……貴様の世界の言葉で言うなら、ジャイアントキリングが起こるのが殺し合いで闘争なのだ。だからこそ、のだ」

 「其処に関しては意見が一致するわね。勝負は時の運とも言うし……まぁ、大概は力量に差があり過ぎると勝負にすらならないんだけどね」

 涼子はエレオノーレにそう返す。
 そんな涼子にエレオノーレは鼻で笑う。

 「ほう……泣き虫の小娘がイキるじゃないか」

 エレオノーレもティエリアと同様に過去の涼子を知っていた。
 だからこそ、泣き虫の小娘と呼ぶ。
 そんなエレオノーレに涼子は言い返す様に問うた。

 「その泣き虫の小娘を未だに殺せない奴は何処のどなたさんかしら?」

 涼子の挑発にエレオノーレは嗤い、肯定する。

 「丁度、貴様の目の前に居るな」

 自分の問いを素直に肯定し、認めるエレオノーレに涼子は更に問うた。

 「さて、どうする?今この場で決着でも着ける?我慢出来ないんでしょ?」

 挑発とも取れる問いに対し、エレオノーレは答える。

 「実に唆られる魅力的な提案だ。だが、辞めておこう」

 誰もが意外と感じるだろう答えが返ってきた。
 だが、問うた当人である涼子は何故か驚く事は無かった。
 涼子は察しながらも、敢えてエレオノーレに問う。

 「理由を聴いても良いかしら?」

 「単純でツマラン理由だ。貴様はあの男正樹の無謀な復讐を助けるのだろう?アレは良い男だ……そんな男の復讐を邪魔するのは私の趣味じゃない。ただ、それだけの事だ」

 エレオノーレが正樹の事を大いに気に入ってる事に驚きは感じなかった。

 「アンタって男を見る目はあるけど、男運は無いわよね」

 「貴様にだけは言われたくない」

 エレオノーレが吐き捨てる様に返すと、涼子はニヤニヤ笑って返す。

 「あら?こう見えて、あの人亡き夫とはキチンと添い遂げたわよ?それに立派になった娘も居るし」

 「貴様の夫は相当の物好きなようだな」

 「あー、其処は否定出来ないわ」

 エレオノーレの言葉を涼子は否定せず、肯定した。
 実際、この世界で魔女と共に生きようとする人間は滅多に居ない。
 寧ろ、皆無と断言しても良い。
 だからこそ、涼子はその一点だけは認め、肯定せざる得なかった。

 「あの人、変わり者だったわ……私の正体を知っても変わらずに愛してくれたし」

 懐かしそうに幸せな一時を語る涼子にエレオノーレは尋ねる。

 「愛とは何だ?」

 「偉く哲学的な問いね。そうね……私的に噛み砕いて言うなら、互いに求めるなら互いに与えよ。後は私の世界の言葉で言うなら、ギブ・アンド・テイク……コレに尽きるかしら?」

 「ギブ・アンド・テイクか……」

 エレオノーレはこう見えて、知識の収集を楽しむタイプであった。
 それ故、その言葉の意味を理解していた。

 「そう。互いに求め、互いに与える……そう言う関係を愛って言うんじゃない?私の意見でしかないけどね」

 涼子の答えにエレオノーレは「そうか」と、だけ返すとソレ以上の事は言わなかった。
 そんなエレオノーレに涼子は尋ねる。

 「戦争バカのアンタが愛を聴くなんて、どう言う風の吹き回し?」

 「貴様の様な邪悪極まりないクソ女が、其処まで変わるキッカケが何か?気になっただけだ」

 涼子の問いにエレオノーレはつまらなさそうに答えた。
 実際、涼子を識る者達からすれば、マジで何があった?
 そんな疑問に首を大きく傾げるだろう。
 勿論、エレオノーレもその内の1人であった。
 だが、エレオノーレと付き合いの長い涼子はエレオノーレが真剣に問うて居た事を見逃さなかった。

 戦争バカ女にしては珍しい事もあるもんね。
 まぁ、私の人生じゃないからどーでも良いんだけどね……

 そう想いながらも涼子がソレを口にする事は無かった。
 エレオノーレから感じた事を忘れる様に涼子は尋ねる。

 「さて……一仕事済ませた訳だし、食事にしない?」

 涼子に問われると、エレオノーレは意外そうに感じながら茶化した。

 「貴様に毒殺されそうだな」

 「そうしたいのは山々なんだけどさ……殺るんなら私の手で心臓抉り出したいのよね」

 「奇遇だな。私もだ」

 互いにそう言うと、2人は顔を見合わせて紫煙と共に笑うのであった。



 後書き
この間の勇者案件の後始末で神殺しした←

ヒッデェ内容って思うだろうが、すんげぇアホみてぇに長くなるので敢えてキンクリして結論だけ書くだけにした

スマンとは思ってるよ?
ホントだよ?


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