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十八限 補習部のない一日 いろは編
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補習部の三人は幼馴染で同級生という実によくある設定だが、常に共にいるという訳ではない。今回はその三人がそれぞれと一度も会わなかったとある休日を三回に渡って描いていきたい。
「そうだ!前回のゲームのアカウントは色々メールして色々返ってきたけど、色々やってもよく分からなかったしなんかもう心が折れたのでアカウントの復帰は諦める事にしました!だってマジで面倒くさいんだもん!マジで!!みんなもナルシオでデータ連携する時はマージーで気をつけろよ!!!」
「ゲーム名を隠してください!!」
<十八限目 補習部のない一日 いろは編>
「沖田(起きた)!目覚めたいろはちゃんが一番にする事は一つ!家の中にある御手洗に直行する!!!」
時刻は一一時三十分。本日は休日で友人達と遊ぶ予定すら一切ない本作の主人公石森いろははハイテンションで目覚め足をバタバタと慌ただしく動かしトイレへ直行した。
「うぇぇぇぇへぇ」
便座に座りおっさんの様な声をあげながら尿を足し、いろはの一日が始まる。
「まあもう十二時近いから半日終わってる様なもんだけどな!」
驚かないで欲しいが、現在のいろはは家の中に一人である。一人で、このテンションである。
「人ってのは一人の方がテンション上がるもんなんだよ。今日は家に誰もいねぇし全力で遊ぶぜー!」
微妙に作者と会話している様に聞こえるが、これは完全に独り言である。一人で色々話して笑っている。
「さて、今夜私が頂くのは、PlayStation5(妙にいい発音)。普段は親がテレビ見てたりするから出来ねえ時も多いが、久しぶりにリビングの大画面テレビで遊んでやるぜ」
いろははうきうきしながらプレステを運び家のテレビに接続する。そしてポテトチップスのLサイズと二リットルのコーラを持ち出す。
「ポテチ食った手でコントローラーに触るなんて油ぎっちまうって?ノンノン。素人。ポテチは箸で食う!」
誰に聞かれた訳でも無いのに独り言を言いながらポテチの袋を勢いよく開ける。その時に勢いあまって中のポテチ達が元気よく宙を舞う。それに驚いたいろはがキャップが開いているコーラを倒し、父親の仕事の大切そうな資料に全力でコーラがかかったが、何の問題もない。何故なら今日のいろはには何の予定もない。そして父もおらず母もいない。ついでに言うと一人暮らしをしている姉もいない。つまり何が言いたいかと言うと、本日はパーティなのだ。パーリナイなのだ。そんなパーティタイムのいろはを止められる物など何もない。今のいろはは無敵だ。どれくらい無敵かと言うと某ゲームの配管工がキラキラに輝く星を取ってリズミカルな音楽が流れているレベルに無敵だ。まあその配管工は穴に落ちれば死ぬのだが、現実にそんな穴など開いている筈がない。つまり何が言いたいかと言うと。
「家のリビングにこんな大切そうな資料置いてるクソ親父が悪い!」
この程度の事件は事件ですら無いのだ。きっとこの後帰った父にいろはは叱られるのだろう。いろはは父親の事がゴキブリの次くらいに嫌いなのでそれは死ぬほど苦痛を伴う出来事になるだろうが、そんなものは関係ない。興味も無ければ関心もない。何故なら今日のいろはは予定が何もなく家に一人。つまり某ゲームの配管工がキラキラの星を手に入れたレベルで無敵なのだ。まあ某配管工は穴に落ちれば死ぬのだが、現実にそんな穴などある訳が無いので今のいろはに怖いものはない。
「もう、何も怖く無い」
とある魔法少女の有名なセリフを呟きながらいろははプレステを起動する。いろははこのプレステでソシャゲを三つ程プレイしている。スマホでやっているゲームのサブ垢。スマホでやっているゲームのサブ垢。そしてスマホでやっていたものの少しプレイしたらスマホの容量が無くなり泣く泣く削除したゲームだ。
「いやぁ、プレステでやるに当たってデータ連携して続きからやろうかとも思ったんだけどなぁ。久しぶりにやるからストーリー忘れてると思って新しくプレイしたんだよな」
ここで、このタイミングで!データ連携をしていればっっ!!!!(心からの叫び)
「ちなみにサブ垢を作るってのは想像してたより良いぞ!本垢では石とかリアルマネーとか色々足りなくて引けなかったキャラをサブ垢で引いて使う事が出来る!まあサポーターがいなかったり武器が無かったりで本垢で引くより万全の状態では使えないが、普通に持ってないキャラで遊べるってのはおもろい!」
欲しいキャラを確実にとは言わないが手に入れられるというサブ垢という存在はとても大きい。例えば不幸な事が起こって本垢が垢版されたり遊べなくなった場合でもサブ垢で続きから遊ぶという選択肢が取れるのだ。何が言いたいかと言うとサブ垢は神。よりによって!そんなサブ垢がないゲームで!!!
「なんか作者が荒ぶってんな。何で荒ぶってんのかは知らねえけど、まあいいや。何たって今日の私はパーリナイ!さあやるぜー!!!」
こうしていろはのパーティが始まる。サブ垢でデイリーを消化し、スタミナを消費し、サブ垢のないゲームでイベントを進める。なんとこのゲームはこの日に一周年を迎える。実にめでたい。そんな一周年イベントを進めていると、いろはのスマホが震えた。
「あんだ?」
いろはがイベントを中断してスマホの画面を見るとどうやら電話がかかってきている様だ。震えている画面には新田日華という友人の名前があった。
「にっちゃん?もしもーし!」
突然の電話に少し疑問に思いながらもいろはは電話に出る。疑問に思ってはいるものの、何となく電話の要件は察する事が出来る。
「おーいろは?ナルシオでマルチしなーい?」
そう、ゲームのお誘いである。いろはは学校帰りや休日に波留や日華と電話をしながらゲームをする日が一週間に一度程度ある。本日がその日という訳だろう。
「おーん。ま、いいか。やれるぜ!」
今日は完全にイベントを進めるつもりだったが、別にイベント自体は始まったばかりなので今日以外にも進める事が出来る。それより今は日華とのイベントを優先するべきだといろはは判断したのだ。ここでっ!ここで「今日はイベント進めるつもりなんだ。わりーねー」と断っておけばっ!!!いや、別にあいつのせいとかいう訳では全然無いんだけどさ!!!
「よっしゃ!んじゃキャリーしてー」
「キャリーって。マルチじゃストーリー進められねえだろ?ってかにっちゃんってナルシオやってたっけ?」
「新キャラに釣られて始めたんだー。右も左も分からないからキャリーしてー」
笑いながらそんなことを言う日華。そんな日華の発言にいろはは一抹の不安を覚えた。
「にっちゃんランク幾つ?二一行ってる?」
そう。このゲームはランク二一にならなければマルチプレイが出来ないのだ。
「いや?昨日始めたばっかりだよー?そんな簡単に上がるわけないじゃん笑笑」
「んじゃあマルチできねえよ」
マルチができない。という事に衝撃を受けながらも二人はそれなら雑談しながらゲームを遊ぶ、という方向性にシフトした。何故なら今日の二人は予定も無ければ親もいない。いや、日華の方は分からないが。つまりパーリナイなのだ。
「そーいやーにっちゃんって一時期このゲームやってなかった?」
「やってたー。けど、ストーリーよく分かんないしオープンワールド面倒過ぎて辞めてたんだよー」
「あーね」
実際問題それはある。ストーリーはハッキリ言って凄く面白い。だが、専門用語がちょこちょこ出てくるので難解である事は否定できないのだ。
「んじゃあ、途中からのアカウントから始めてんだ」
「いや、なんか連携出来なくてそのまま始めたー。どうせ始めたばっかりだったから何の問題もないし笑笑」
「あー。連携かぁ」
日華の状況は測らずともいろはの現状と似ていた。元々やっていたけれど新しくプレステで始めたという現状は完全に同じだ。
「私もデータ連携しとこうかな」
最近のゲームはデータ連携をする事でガチャを引く為に必要なアイテムが報酬として貰える事が多い。現在いろはは次くらいに実装されるであろう推しキャラを引く為にアイテムを貯めている状態なので石は少しでもいいから欲しい。
「おーいいんじゃない?」
「おうよー」
やめろ!おいいろは!押すな!そのボタンを押すんじゃ無い!!!
「これか。ん?字がちっさ過ぎて読めねー笑笑。まあ多分これだろ」
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!
こうして、いろはは、俺は。データ連携のボタンを押した。
・・・・・・・・・
こうして、俺は以前スマホでやっていたランク七のアカウントで新しく推しキャラをお迎えする為に今も必死にストーリーを進めながら石を貯めている。本来なら簡単に倒せる相手に苦戦しながら、必死に石を集めている。キャラのレベルは八十から二十へ。苦戦は必須。高難易度コンテンツは一つ目のステージすらクリアできない。好きだった限定キャラはもういない。
俺は、これからもきっとこのゲームを続けていくのだろう。この苦しみが、いつか癒える事を願う。
いろはにほへとちりになれ! 十八限目 完
「そうだ!前回のゲームのアカウントは色々メールして色々返ってきたけど、色々やってもよく分からなかったしなんかもう心が折れたのでアカウントの復帰は諦める事にしました!だってマジで面倒くさいんだもん!マジで!!みんなもナルシオでデータ連携する時はマージーで気をつけろよ!!!」
「ゲーム名を隠してください!!」
<十八限目 補習部のない一日 いろは編>
「沖田(起きた)!目覚めたいろはちゃんが一番にする事は一つ!家の中にある御手洗に直行する!!!」
時刻は一一時三十分。本日は休日で友人達と遊ぶ予定すら一切ない本作の主人公石森いろははハイテンションで目覚め足をバタバタと慌ただしく動かしトイレへ直行した。
「うぇぇぇぇへぇ」
便座に座りおっさんの様な声をあげながら尿を足し、いろはの一日が始まる。
「まあもう十二時近いから半日終わってる様なもんだけどな!」
驚かないで欲しいが、現在のいろはは家の中に一人である。一人で、このテンションである。
「人ってのは一人の方がテンション上がるもんなんだよ。今日は家に誰もいねぇし全力で遊ぶぜー!」
微妙に作者と会話している様に聞こえるが、これは完全に独り言である。一人で色々話して笑っている。
「さて、今夜私が頂くのは、PlayStation5(妙にいい発音)。普段は親がテレビ見てたりするから出来ねえ時も多いが、久しぶりにリビングの大画面テレビで遊んでやるぜ」
いろははうきうきしながらプレステを運び家のテレビに接続する。そしてポテトチップスのLサイズと二リットルのコーラを持ち出す。
「ポテチ食った手でコントローラーに触るなんて油ぎっちまうって?ノンノン。素人。ポテチは箸で食う!」
誰に聞かれた訳でも無いのに独り言を言いながらポテチの袋を勢いよく開ける。その時に勢いあまって中のポテチ達が元気よく宙を舞う。それに驚いたいろはがキャップが開いているコーラを倒し、父親の仕事の大切そうな資料に全力でコーラがかかったが、何の問題もない。何故なら今日のいろはには何の予定もない。そして父もおらず母もいない。ついでに言うと一人暮らしをしている姉もいない。つまり何が言いたいかと言うと、本日はパーティなのだ。パーリナイなのだ。そんなパーティタイムのいろはを止められる物など何もない。今のいろはは無敵だ。どれくらい無敵かと言うと某ゲームの配管工がキラキラに輝く星を取ってリズミカルな音楽が流れているレベルに無敵だ。まあその配管工は穴に落ちれば死ぬのだが、現実にそんな穴など開いている筈がない。つまり何が言いたいかと言うと。
「家のリビングにこんな大切そうな資料置いてるクソ親父が悪い!」
この程度の事件は事件ですら無いのだ。きっとこの後帰った父にいろはは叱られるのだろう。いろはは父親の事がゴキブリの次くらいに嫌いなのでそれは死ぬほど苦痛を伴う出来事になるだろうが、そんなものは関係ない。興味も無ければ関心もない。何故なら今日のいろはは予定が何もなく家に一人。つまり某ゲームの配管工がキラキラの星を手に入れたレベルで無敵なのだ。まあ某配管工は穴に落ちれば死ぬのだが、現実にそんな穴などある訳が無いので今のいろはに怖いものはない。
「もう、何も怖く無い」
とある魔法少女の有名なセリフを呟きながらいろははプレステを起動する。いろははこのプレステでソシャゲを三つ程プレイしている。スマホでやっているゲームのサブ垢。スマホでやっているゲームのサブ垢。そしてスマホでやっていたものの少しプレイしたらスマホの容量が無くなり泣く泣く削除したゲームだ。
「いやぁ、プレステでやるに当たってデータ連携して続きからやろうかとも思ったんだけどなぁ。久しぶりにやるからストーリー忘れてると思って新しくプレイしたんだよな」
ここで、このタイミングで!データ連携をしていればっっ!!!!(心からの叫び)
「ちなみにサブ垢を作るってのは想像してたより良いぞ!本垢では石とかリアルマネーとか色々足りなくて引けなかったキャラをサブ垢で引いて使う事が出来る!まあサポーターがいなかったり武器が無かったりで本垢で引くより万全の状態では使えないが、普通に持ってないキャラで遊べるってのはおもろい!」
欲しいキャラを確実にとは言わないが手に入れられるというサブ垢という存在はとても大きい。例えば不幸な事が起こって本垢が垢版されたり遊べなくなった場合でもサブ垢で続きから遊ぶという選択肢が取れるのだ。何が言いたいかと言うとサブ垢は神。よりによって!そんなサブ垢がないゲームで!!!
「なんか作者が荒ぶってんな。何で荒ぶってんのかは知らねえけど、まあいいや。何たって今日の私はパーリナイ!さあやるぜー!!!」
こうしていろはのパーティが始まる。サブ垢でデイリーを消化し、スタミナを消費し、サブ垢のないゲームでイベントを進める。なんとこのゲームはこの日に一周年を迎える。実にめでたい。そんな一周年イベントを進めていると、いろはのスマホが震えた。
「あんだ?」
いろはがイベントを中断してスマホの画面を見るとどうやら電話がかかってきている様だ。震えている画面には新田日華という友人の名前があった。
「にっちゃん?もしもーし!」
突然の電話に少し疑問に思いながらもいろはは電話に出る。疑問に思ってはいるものの、何となく電話の要件は察する事が出来る。
「おーいろは?ナルシオでマルチしなーい?」
そう、ゲームのお誘いである。いろはは学校帰りや休日に波留や日華と電話をしながらゲームをする日が一週間に一度程度ある。本日がその日という訳だろう。
「おーん。ま、いいか。やれるぜ!」
今日は完全にイベントを進めるつもりだったが、別にイベント自体は始まったばかりなので今日以外にも進める事が出来る。それより今は日華とのイベントを優先するべきだといろはは判断したのだ。ここでっ!ここで「今日はイベント進めるつもりなんだ。わりーねー」と断っておけばっ!!!いや、別にあいつのせいとかいう訳では全然無いんだけどさ!!!
「よっしゃ!んじゃキャリーしてー」
「キャリーって。マルチじゃストーリー進められねえだろ?ってかにっちゃんってナルシオやってたっけ?」
「新キャラに釣られて始めたんだー。右も左も分からないからキャリーしてー」
笑いながらそんなことを言う日華。そんな日華の発言にいろはは一抹の不安を覚えた。
「にっちゃんランク幾つ?二一行ってる?」
そう。このゲームはランク二一にならなければマルチプレイが出来ないのだ。
「いや?昨日始めたばっかりだよー?そんな簡単に上がるわけないじゃん笑笑」
「んじゃあマルチできねえよ」
マルチができない。という事に衝撃を受けながらも二人はそれなら雑談しながらゲームを遊ぶ、という方向性にシフトした。何故なら今日の二人は予定も無ければ親もいない。いや、日華の方は分からないが。つまりパーリナイなのだ。
「そーいやーにっちゃんって一時期このゲームやってなかった?」
「やってたー。けど、ストーリーよく分かんないしオープンワールド面倒過ぎて辞めてたんだよー」
「あーね」
実際問題それはある。ストーリーはハッキリ言って凄く面白い。だが、専門用語がちょこちょこ出てくるので難解である事は否定できないのだ。
「んじゃあ、途中からのアカウントから始めてんだ」
「いや、なんか連携出来なくてそのまま始めたー。どうせ始めたばっかりだったから何の問題もないし笑笑」
「あー。連携かぁ」
日華の状況は測らずともいろはの現状と似ていた。元々やっていたけれど新しくプレステで始めたという現状は完全に同じだ。
「私もデータ連携しとこうかな」
最近のゲームはデータ連携をする事でガチャを引く為に必要なアイテムが報酬として貰える事が多い。現在いろはは次くらいに実装されるであろう推しキャラを引く為にアイテムを貯めている状態なので石は少しでもいいから欲しい。
「おーいいんじゃない?」
「おうよー」
やめろ!おいいろは!押すな!そのボタンを押すんじゃ無い!!!
「これか。ん?字がちっさ過ぎて読めねー笑笑。まあ多分これだろ」
やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!
こうして、いろはは、俺は。データ連携のボタンを押した。
・・・・・・・・・
こうして、俺は以前スマホでやっていたランク七のアカウントで新しく推しキャラをお迎えする為に今も必死にストーリーを進めながら石を貯めている。本来なら簡単に倒せる相手に苦戦しながら、必死に石を集めている。キャラのレベルは八十から二十へ。苦戦は必須。高難易度コンテンツは一つ目のステージすらクリアできない。好きだった限定キャラはもういない。
俺は、これからもきっとこのゲームを続けていくのだろう。この苦しみが、いつか癒える事を願う。
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