侯爵令嬢は追放され、他国の王子様に溺愛されるようです

あめり

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21話 趣味 その3

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 ミカエルがお店に入って来た。何人かの王族、貴族の者達と一緒だ。


「ミカエル……やっぱりきたのね……」

「ミカエル王子としても、付き合いは断ることはできないでしょう。ジェーン、見るのはこれからの彼ですよ?」


「はい……わかっています」


 敬愛するミカエル……彼のことは信頼しているつもりだ。大丈夫、私という者がありながら、簡単に誘惑に引っかかるわけがない。誠実なミカエルならばきっと……ジェーンは心の中で何度も反復させていた。



「ミカエル様、お待ちしておりましたわ」

「あ、ああ……ありがとうございます」


 リュシは妖艶なポーズでいきなり彼を誘惑してみせる。ミカエルはだらしない笑みを浮かべていた。ジェーンの額に青筋が一本走っている。


「ジェーン、落ち着きなさい? すぐに目くじらを立てるのは良くないわよ?」

「はい、分っています、ファリスメイド長……」


 珍しい光景だ……ファリスメイド長がたじたじになっており、ジェーン自身は平静を装いながらも、心の内には怒りの焔が灯っている。ファリスとしては、ミカエルに同情する状況になっていた。


「ミカエル様はお酒などは大丈夫ですか?」

「はい、それなりには。これでも飲み慣れている方です」

「まあ……それなら、私が酔いつぶれて、お持ち帰りをされないように気を付けないと行けませんね」

「あはは……リュシさんほど綺麗な方なら、ぜひお持ち帰りしたいと思いますが……」


 ミカエルなりの場の雰囲気を崩さない為の会話だ。彼はジェーンのことを頭に思い浮かべて、必死で理性が壊れないように気を付けていた。周囲の貴族たちは早くも崩れている。リュシを持ち帰りたいというのは本音ではあったが……。

「ミカエル王子? いけませんわ、運命の人に聞かれたら大変ではありませんか?」

「あはは……さっきの言葉は冗談と受け取ってください。俺なりの冗談ですよ」


 意外と身持ちが硬い……リュシとしては、ミカエルへの好感度が上がるきっかけになっていた。



「……ミカエル……」

「どうやら大丈夫なようですね。まあ、ミカエル王子のことですから、問題はないと思っていましたが」


 他の羽目を外している貴族と比較して、ミカエルだけは明らかに平常心を保てている。多少、リュシの魅力に負けたことはあるが、許容範囲内だ。ジェーンとしても一安心であった。


「よかったわね、ジェーン?」

「はい、メイド長……」

 彼を信頼していたが、さらにその信頼が強化された出来事と言えるだろうか。ジェーンの中で、ミカエルへの好感度はさらに上がっていたのだ。


 しかし、おもしろくないのはリュシ本人である。自らの魅力ではミカエル王子を堕とせないのだから。


「……少し、本気を出しますか」


「……えっ?」


 ここからは単なる勝負の世界…リュシは、この店で働く者として、ミカエルを堕としてみせることを決意した。最早、先の見えない戦い……ミカエルの欲望に耐える戦いはこれから始まるのだった……。
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