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93話 周辺国家との会談 その2
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デイトナの街にある高級宿の一つ「モウレーニョ」。その宿は、10日間ほど貸し切り状態にされていた。そこには、周辺国家会議に集う国家の重鎮が宿を取っていたのだ。モウレーニョの宿屋には、アウグス帝国とコアルドイ女王国のトップクラスの者達が泊まっていた。
「ぐはははははっ! そういえばコアルドイ女王国は、傭兵団体などに事実上の実権を握られていたんでしたな!」
サーバン共和国やコアルドイ女王国の北に位置する科学技術国家のアウグス帝国。魔神の軍勢を見た当事者ではないからか、使者として派遣されたファナビー・レクスは余裕の表情だ。少し太った印象の強面の指揮官といった印象だが、持っている自信も外見と違わぬものだったのだ。
「レクス総督……お噂は聞いております。では、あなた方の戦力は傭兵団体のジオン・ラーデュイを上回るものと考えてよろしいのですね?」
コアルドイ女王国の現女王メイサ・ヴァルキリーは、レクス総督に冷静に返した。現在の女王国ではラーデュイ率いる団体に逆らうことはできないのは事実だったからだ。レクス総督に反論できる権利はないと、彼女はわかっている。
「もちろんですとも! たかだか、傭兵団体のトップに遅れを取っているとは……1000年以上前の初代女王、アリシャクラ・ヴァルキリーの面汚しもいいところですな」
「……」
メイサは何も答えない。コアルドイ女王国は大陸内でも最も歴史が深い国家の一つであり、1000年以上前に建国されている。初代女王アリシャクラの伝説は文献などでもほとんど残っていないほど昔のことではあるが、人類史上最強の人物であったともされている。
一説では人間の枠組みを超え、永遠の存在になったとも言われていた……。
「我らの誇る初代女王様を取り立てていただけるのは光栄です。しかし、今は現状の打破が急務となります。アウグス帝国の戦力をお聞かせいただけますか? できれば、大陸最強格と言われているアルビオン王国やマリアナ公国の使者と相対する前に……」
メイサの質問はアルビオン王国やマリアナ公国を牽制する意味合いを含んでいる。戦力的には明らかに先ほどの二強国には遅れを取っているからだ。その為にアウグス帝国への期待感は大きい。レクス総督は自信満々といった表情で話した。
「我が国は科学技術が他国と比較し、非常に優れています。それと魔法の技術を適度に取り入れることにも成功している。総合戦力では、アルビオン王国などよりも上であると自負していますよ」
「具体的には?」
アウグス帝国が何十年も前に、銃やマシンガンといった鉄の塊を超高速で飛ばす技術を作っていることは、女王国にも伝わっている。しかし、いくら鉄の塊を飛ばそうが強力な闘気の壁を突き破ることは容易ではないはず。それだけに、レクス総督の次なる言葉は非常に興味深かった。
「我々は魔弾丸という代物の開発に成功しています。鉄の弾丸に魔法の能力を付与し、破壊力を増した物」
「こちらがその魔弾丸を使用した、マシンガンとなります」
レクス総督に代わり発言したのは、彼の護衛の任務に就いているロシナンテ大佐だ。年齢は24歳と若いが帝国内でも最強クラスの実力者として有名な人物である。彼はシャープな造りながらも、重量感溢れるマシンガンを肩から下げていた。レクス総督を襲う者がいれば、そのマシンガンで蜂の巣にされてしまうだろう。
「なるほど……これが、新型の武器ということですね。ファルナ、どうかしら?」
「はい、メイサ陛下」
ファルナと呼ばれた女性は、メイサ女王陛下の隣に立っていた。金髪の髪を短く切り揃えており、目つきは鋭く、相当な実力者であることが伺える。彼女こそ、リリーの母親に当たるファルナ・シリンスである。
「ロシナンテ大佐の戦力は、あなたから見ればどうかしら?」
「ラーデュイを上回る戦力である……その自信に違わぬ実力は有している可能性はあるかと。ただし、それで二強国に渡り合えるかは不明ですが……」
リリーの母親であるファルナは慎重な言葉で返した。目の前に立つロシナンテの実力は認めているようだが、相手がアルビオン王国やマリアナ公国ともなれば話しは違ってくる可能性があるからだ。
「まずは、会議に出てから決める必要がありそうですね。魔神の軍勢討伐という目的がある以上、なるべく協力体制は敷いておきたいのですが……」
「ぐははははっ、女王陛下は慎重になり過ぎていませんかな? 我ら国家間での協力体制があれば、相手がどんな存在であろうと問題はないでしょう! いつまでもアルビオン王国が頂点に立っているのは好みませんからな」
「……だといいのですが……」
会議の議題は魔神の軍勢に対抗する為の話し合いにはなるが……国家間ではそれだけでは済まない、権力闘争という問題も抱えている。メイサ女王陛下は、今回の会議が一筋縄でいかないことは、この時点で感じ取っていた。
「ぐはははははっ! そういえばコアルドイ女王国は、傭兵団体などに事実上の実権を握られていたんでしたな!」
サーバン共和国やコアルドイ女王国の北に位置する科学技術国家のアウグス帝国。魔神の軍勢を見た当事者ではないからか、使者として派遣されたファナビー・レクスは余裕の表情だ。少し太った印象の強面の指揮官といった印象だが、持っている自信も外見と違わぬものだったのだ。
「レクス総督……お噂は聞いております。では、あなた方の戦力は傭兵団体のジオン・ラーデュイを上回るものと考えてよろしいのですね?」
コアルドイ女王国の現女王メイサ・ヴァルキリーは、レクス総督に冷静に返した。現在の女王国ではラーデュイ率いる団体に逆らうことはできないのは事実だったからだ。レクス総督に反論できる権利はないと、彼女はわかっている。
「もちろんですとも! たかだか、傭兵団体のトップに遅れを取っているとは……1000年以上前の初代女王、アリシャクラ・ヴァルキリーの面汚しもいいところですな」
「……」
メイサは何も答えない。コアルドイ女王国は大陸内でも最も歴史が深い国家の一つであり、1000年以上前に建国されている。初代女王アリシャクラの伝説は文献などでもほとんど残っていないほど昔のことではあるが、人類史上最強の人物であったともされている。
一説では人間の枠組みを超え、永遠の存在になったとも言われていた……。
「我らの誇る初代女王様を取り立てていただけるのは光栄です。しかし、今は現状の打破が急務となります。アウグス帝国の戦力をお聞かせいただけますか? できれば、大陸最強格と言われているアルビオン王国やマリアナ公国の使者と相対する前に……」
メイサの質問はアルビオン王国やマリアナ公国を牽制する意味合いを含んでいる。戦力的には明らかに先ほどの二強国には遅れを取っているからだ。その為にアウグス帝国への期待感は大きい。レクス総督は自信満々といった表情で話した。
「我が国は科学技術が他国と比較し、非常に優れています。それと魔法の技術を適度に取り入れることにも成功している。総合戦力では、アルビオン王国などよりも上であると自負していますよ」
「具体的には?」
アウグス帝国が何十年も前に、銃やマシンガンといった鉄の塊を超高速で飛ばす技術を作っていることは、女王国にも伝わっている。しかし、いくら鉄の塊を飛ばそうが強力な闘気の壁を突き破ることは容易ではないはず。それだけに、レクス総督の次なる言葉は非常に興味深かった。
「我々は魔弾丸という代物の開発に成功しています。鉄の弾丸に魔法の能力を付与し、破壊力を増した物」
「こちらがその魔弾丸を使用した、マシンガンとなります」
レクス総督に代わり発言したのは、彼の護衛の任務に就いているロシナンテ大佐だ。年齢は24歳と若いが帝国内でも最強クラスの実力者として有名な人物である。彼はシャープな造りながらも、重量感溢れるマシンガンを肩から下げていた。レクス総督を襲う者がいれば、そのマシンガンで蜂の巣にされてしまうだろう。
「なるほど……これが、新型の武器ということですね。ファルナ、どうかしら?」
「はい、メイサ陛下」
ファルナと呼ばれた女性は、メイサ女王陛下の隣に立っていた。金髪の髪を短く切り揃えており、目つきは鋭く、相当な実力者であることが伺える。彼女こそ、リリーの母親に当たるファルナ・シリンスである。
「ロシナンテ大佐の戦力は、あなたから見ればどうかしら?」
「ラーデュイを上回る戦力である……その自信に違わぬ実力は有している可能性はあるかと。ただし、それで二強国に渡り合えるかは不明ですが……」
リリーの母親であるファルナは慎重な言葉で返した。目の前に立つロシナンテの実力は認めているようだが、相手がアルビオン王国やマリアナ公国ともなれば話しは違ってくる可能性があるからだ。
「まずは、会議に出てから決める必要がありそうですね。魔神の軍勢討伐という目的がある以上、なるべく協力体制は敷いておきたいのですが……」
「ぐははははっ、女王陛下は慎重になり過ぎていませんかな? 我ら国家間での協力体制があれば、相手がどんな存在であろうと問題はないでしょう! いつまでもアルビオン王国が頂点に立っているのは好みませんからな」
「……だといいのですが……」
会議の議題は魔神の軍勢に対抗する為の話し合いにはなるが……国家間ではそれだけでは済まない、権力闘争という問題も抱えている。メイサ女王陛下は、今回の会議が一筋縄でいかないことは、この時点で感じ取っていた。
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