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26話 アルガスとタイネーブ その1
しおりを挟むガールズトークの一夜を終えたアイリーン一行。金鉱山に残してきた者達もアルガスの屋敷に戻って行くとのことなので、アイリーン達も戻る手筈を整えていた。整えていたのだが……
「はじめまして、伯爵。私はタイネーブ・カンパニュラと申します。冒険者をやっている者、以後お見知りおきを」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。タイネーブ殿……とお呼びしても構いませんか?」
「はい、勿論。私もアルガス伯爵とお呼びしても構いませんか?」
「もちろんですよ」
適度に丁寧口調ではあるが、面倒な儀礼は削除した挨拶を交わす二人。ここで、両者は初めての出会いを果たすことになった。ゲーム内の出会いの場とは異なっている。アイリーンの紹介で誕生した出会いであり、
「タイネーブとアルガス伯爵……とうとう出会っちゃったか。まあ、大丈夫だとは思うけど……」
「ふふふ、アイリーン様に恋のライバル誕生というところでしょうか」
「ちょっとミランダ。昨日はタイネーブに手を出すなよ? みたいに脅しておいて、今日は随分意見が違うわね」
「昨日はお酒の場でしたので。個人的にはアイリーン様が負けるなど考えておりません」
言ってることがおかしい。昨日とは明らかに違うミランダは、単純に現在の状況を楽しんでいたのだ。
「まあ、どのみち負けるつもりなんかないけど。……ある意味、私自身と戦うみたいなものだしね」
「? アイリーン様?」
タイネーブは立場的には、アイリーンが操作していた頃の主人公と同じ。彼女の素性は全て、アイリーンには分かっている。結果的にどのような行動を行うかもわかるのだった。これは非常に大きなアドバンテージだ。
加えて、既にアルガスと良い仲を気付いているアイリーンにとって、負けるという言葉は存在していなかった。
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「堅苦しい言葉は苦手やから、元の話し方に戻させてもらうけど」
「ええ、大丈夫ですよ。それにしても個性的な話し方ですね」
「あんまり気にせんといて。私の用件やねんけど……」
「ええ、なんでしょうか?」
自然体での挨拶からの用件提示。タイネーブは冒険者人生で、これがもっとも相手に警戒されない手段だとわかっていた。
「ゲシュタルト王国の貴族、王族連中に関連することやねんけど」
「……穏やかな話では……なさそうですね」
「人に聞かれるのも好かんし、座りながら話せへん?」
タイネーブはそう言いながら、近くの喫茶店を指差した。彼らの話題は本題へと移行していった。
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