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32話 二人の距離 その2
しおりを挟む「タイネーブ、どういうことですか?」
ミランダを陰ながら見ている視線。それは金鉱山でも一緒だったシミターであった。アルガスの護衛の一人だ。彼はミランダに惚れているわけだが、ミランダはあくまでも暗闇の中でイチャイチャしているアルガスの護衛の為に立っているのだと解釈している。
もちろんそれは間違っていないが、シミターにはミランダという大きな目的もある。
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「し、しちゃいましたね……」
アイリーンはアルガスからのキスを受け入れた。しかし、彼女の顔は今までで一番真っ赤だ。穴があったら今にも入りたい気持ちだろう。
「ええ。アイリーン殿、ご迷惑でしたか?」
「まさか……嬉しいです」
「ありがとう」
しばらく、二人だけの世界を満喫するアイリーンとアルガス。そして、盗み見をしている連中の方向に目をやる。
「あれはわざとですかね」
アルガスがまずそちらの方向に目をやる。アイリーンも気付いていた。しかし、ミランダが本気になれば彼女では気配を追えないのは明白だ。タイネーブも冒険者である為に、アイリーンでは気配は追えないだろう。つまり彼女たちは見つかることも前提なのだ。
「やれやれ……見られていたでしょうね」
「はい……あとでミランダにはお仕置きしておきます」
「ははは、それは怖い。ところで……なにやら進展がありそうですね」
「ホントだ。上手くやりなさいよ、ミランダ」
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「あ、こんにちは! ミランダさん!」
「シミターさんですね。どうしたのですか?」
シミターはとても笑顔だが、相当緊張しているのか明らかに不自然な背筋をしていた。伸ばしすぎている。
「大丈夫かいな、これ……」
タイネーブはシミターの態度から、自らの予想が当たっていたと確信できたが、ミランダの方は大して彼に興味を示していない。早くも失敗するフラグが出て来た。
「なにか御用ですか?」
「い、いえ……あの、よかったら今度……えと」
「……今度?」
シミターはデートの誘いをしている。なかなか、次の言葉は出て来ないが……。
「今度、護身用の武器を見に行きませんか!?」
勇気を振り絞った彼の叫び。ミランダの耳にも確かに届いた。
「私でよければ」
「本当ですか!?」
「ええ、知り合いに武器商品がいますので。勿論、シミターさんの方で手配していただけるのでしたら、そちらでも構いませんが」
「あ、はははは。どっちでもいいっすけど、とりあえず見に行ってくれますね?」
ミランダは無表情で頷いた。デートは成功……というのだろうか? タイネーブから見ても、明らかにデートになりそうにはなかったが、一歩進んだ二人の距離を、彼女は祝福していた。
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