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37話 女王陛下 その3
「陛下……もう一度、おっしゃっていただいてもよろしいでしょうか?」
予想外の返答……アルガスは珍しく動揺していた。シエラ・レオネに再び回答を問う。
「聞こえたでしょ~~~? 冒険者に協力して、ゲシュタルト王国の市民を救うのは却下てこと」
「な、なぜでしょうか……?」
アイリーンはゲーム内の回答とは全く違う女王の言葉に絶句している。彼女は思わず理由を問いていた。
「理由を聞きたいの?」
「私からも聞きたいわ」
シエラの質問に入って来たのは、タイネーブだ。彼女はやや不機嫌になりながら、女王陛下を見ていた。
「タイネーブと言ったかな? 女王の御前だぞ。冒険者風情が調子に乗るな」
側近のフェルナンドも語気を強めていた。いきなり割って入って来た冒険者のタイネーブを失礼と断罪している。それとは違い、シエラ自身は平然とした態度であった。
「フェルナンド、全然いいよ~。私は気にしてないから」
「陛下……畏まりました。暴言をお許しください」
「いや……冒険者風情というのは間違ってないしな……」
頭を下げる女王の側近に、タイネーブも恐縮してしまう。しかし、それとは別に女王陛下の決定は納得できないのも事実だ。明確な理由がなければ納得はとてもできない。今でもゲシュタルト王国の国民は苦しんでいるのだから。
「えっとね~~理由なんだけど……」
女王は猫のような瞳をさらに収縮させて続ける。
「だって、戦争になるかもしれないじゃん」
「……そ、それが理由……ですか?」
「そだよ~~それ以外にある? 私はアランドロ女王国の民の方が大切なの。他国の民衆なんてどうでもいいの」
驚くほどあっさりと言ってのけたシエラ。しかし、アルガス伯爵も納得のいくところではある。一国の頂点であれば、このくらいのことはいってのけなければ、誰も付いて行かないだろう。
「アルガスだって、そこはわかってたでしょ? 報告書にも戦争する気なしって書いてたし」
「え、ええ……ですので、あくまでも弾圧されている民衆を助けるという名目なだけで……」
「そんなの、あの破綻した国家に通用すると思うの~~?」
「それは……」
アルガスは黙ってしまった。こうなることを予期していなかったわけではないが、ここまでストレートに言われると、彼としても何も言い返せない。
戦争の可能性がある段階でトップが承諾するはずはないのだから。
「はい、この話はおしまいっと。あ、今日泊めてね~~? 帰るのもめんどくさいしさ~~」
ソファから立ち上がるシエラ。アイリーンやタイネーブも何かを言おうとしていたが、言葉が続かないのだ。この場で、女王陛下を言いくるめられるとはとても思えない。
彼らの状況は暗礁に乗り上げた船の構図となっていた。
予想外の返答……アルガスは珍しく動揺していた。シエラ・レオネに再び回答を問う。
「聞こえたでしょ~~~? 冒険者に協力して、ゲシュタルト王国の市民を救うのは却下てこと」
「な、なぜでしょうか……?」
アイリーンはゲーム内の回答とは全く違う女王の言葉に絶句している。彼女は思わず理由を問いていた。
「理由を聞きたいの?」
「私からも聞きたいわ」
シエラの質問に入って来たのは、タイネーブだ。彼女はやや不機嫌になりながら、女王陛下を見ていた。
「タイネーブと言ったかな? 女王の御前だぞ。冒険者風情が調子に乗るな」
側近のフェルナンドも語気を強めていた。いきなり割って入って来た冒険者のタイネーブを失礼と断罪している。それとは違い、シエラ自身は平然とした態度であった。
「フェルナンド、全然いいよ~。私は気にしてないから」
「陛下……畏まりました。暴言をお許しください」
「いや……冒険者風情というのは間違ってないしな……」
頭を下げる女王の側近に、タイネーブも恐縮してしまう。しかし、それとは別に女王陛下の決定は納得できないのも事実だ。明確な理由がなければ納得はとてもできない。今でもゲシュタルト王国の国民は苦しんでいるのだから。
「えっとね~~理由なんだけど……」
女王は猫のような瞳をさらに収縮させて続ける。
「だって、戦争になるかもしれないじゃん」
「……そ、それが理由……ですか?」
「そだよ~~それ以外にある? 私はアランドロ女王国の民の方が大切なの。他国の民衆なんてどうでもいいの」
驚くほどあっさりと言ってのけたシエラ。しかし、アルガス伯爵も納得のいくところではある。一国の頂点であれば、このくらいのことはいってのけなければ、誰も付いて行かないだろう。
「アルガスだって、そこはわかってたでしょ? 報告書にも戦争する気なしって書いてたし」
「え、ええ……ですので、あくまでも弾圧されている民衆を助けるという名目なだけで……」
「そんなの、あの破綻した国家に通用すると思うの~~?」
「それは……」
アルガスは黙ってしまった。こうなることを予期していなかったわけではないが、ここまでストレートに言われると、彼としても何も言い返せない。
戦争の可能性がある段階でトップが承諾するはずはないのだから。
「はい、この話はおしまいっと。あ、今日泊めてね~~? 帰るのもめんどくさいしさ~~」
ソファから立ち上がるシエラ。アイリーンやタイネーブも何かを言おうとしていたが、言葉が続かないのだ。この場で、女王陛下を言いくるめられるとはとても思えない。
彼らの状況は暗礁に乗り上げた船の構図となっていた。
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