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38話 今後について その1
「すみません、タイネーブ殿。女王陛下からの許可を得ることができませんでした……」
「残念やわ……でも、女王様の言い分はもっともやし」
タイネーブは意気消沈といった雰囲気を出している。しかし、シエラ・レオネ女王の考えはもっともと感じとり、納得もしていた。女王陛下であれば、自国の民を無駄に危険に晒すのは避けなければならない。
「でも、このままでは、ゲシュタルト王国へは冒険者のみで向かう必要が出て来ない?」
「そやな……まあ、元々はその考えやったんやけど」
アイリーンも心配しているが、タイネーブはそうでもない。怪我をしてしまう可能性などは考慮していないのだ。
「タイネーブ……本当に冒険者の方々だけで向かうの? 危険だと思うけど……」
「なんや、心配してくれてんの? ありがと、アイリーン」
タイネーブは笑いながら、アイリーンに抱き着いていた。アイリーンも特に振り払うことはしない。
「蒼き月のカンパニュラ」では、主人公のカンパニュラは女王国の後ろ盾を得て、ゲシュタルト王国の民衆を助ける設定だ。しかしこの世界では、その前提が崩れている。
タイネーブ自身が捕まってしまう可能性もあるのだ。
「アルガス伯爵……なんとか出来ないでしょうか?」
「……女王陛下の意に反する行動は、アランドロ女王国の伯爵として行うわけにはいきません。申し訳ない」
アイリーンからの懇願にも近い質問に、アルガスは頭を下げながら答えた。現状ではどうすることもできないのだ。
「ほらほら、アイリーン。あんまりアルガス伯爵を困らせたらあかんて。安心して、こう見えても強さには自信あるんよ」
タイネーブが強いことくらい、アイリーンはもちろん知っている。だが確実に大丈夫だという確証はどこにもなかった。だからこそ、彼女は心配しているのだ。
鍵を握るのは、アランドロ女王国の女王シエラ・レオネだ。彼女は現在もアルガス伯爵の屋敷内に居る。少なくとも本日は泊って行くはずだ。
「なんとかして説得しないと……このまま進んだらタイネーブがどうなるかわからない」
追放されているアイリーンがゲーム内と同じ結末になるとは考えにくいが、タイネーブ・カンパニュラの運命はわからなかった。だが、しかるべき後ろ盾があれば彼女は無事なはず。
アイリーンは必ずシエラを説得してみせると心に誓った。
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