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51話 ラストは大団円で その2

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「アイリーンちゃん、やっほ~~!」

「あれ? シエラ女王陛下……」

 アルガスの屋敷に滞在しているシエラ女王。例の作戦の戦後処理も含めての長期滞在というわけだ。そして、彼女の隣には意外な人物の姿があった。

「よう、嬢ちゃん。これまた、久しぶりだな」

「デゴールさん! 驚いた……こんなところで会うなんて……!」

 金鉱山の班長のデゴールが、アルガス伯爵の屋敷に居たのだ。金鉱山の管理はアルガス達が行っているのだから、班長である彼が訪れても不思議ではないが。シエラ女王とタッグで歩いているのが、ミスマッチであった。

「デゴールちゃんとは、今後の金の管理について話し合う必要があるからね! 私が呼んだんだよ」

「そうだったんですね」

 懐かしい人物に会えたアイリーンは少し笑顔になっていた。同時に、金鉱山での出来事も思い出している。随分、昔のように感じているが当然1年と経過していない。

「しっかし、立派になったよな嬢ちゃんも。本当なら、こんな話し方は駄目なんだろうが……」

「やめてよ、デゴールさん。敬語とか使われたら、それこそ困るわ」

 班長との間柄は、こういう軽いノリの方が良い。アイリーンは心からそのように感じていた。彼女はシエラとの約束で千里眼? として働く必要もあるのだ。今後も金鉱山に出向くことは多くなるだろう。

「嬢ちゃんはこれから、どんどん忙しくなりそうだな」

「そうかもしれないわね」

「ま、その前に、伯爵殿と結婚でもしろよな。帰る場所が決まってるってのは、良いことだと思うぜ」

「……流石に、流れが早過ぎるわね……」

 デゴールによる予期せぬ言葉。シエラも笑っていることからも、特に冗談というわけではないようだ。アイリーンの過去に行ってきた功績……加えて、今後行うであろう功績を考慮すれば、アルガス伯爵との結婚はむしろ普通の路線と言えるのかもしれない。

 アイリーンの中身である千里からすれば、天下の女王国の伯爵との結婚は「普通」のことではないが……。


「おおっと。噂をすれば、だ」

「えへへへ。アイリーンちゃん、頑張ってねぇ~~~?」

「な、なに言ってるんですか……もうっ」


 そんな時、伯爵邸の前に止まる馬車が一台。中から出て来たのはアルガスだった。シエラとデゴールは、アイリーンを突きながら姿を消したが、彼女の胸の高鳴りは大きくなっていた。
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