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第一章 ~第三ウェーブ~

58話 お姫ちゃんの正体

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「う……うぅん……」

「あ、起きた?」

「ここは……どこですの?」

 おはようお姫ちゃん、外はすっかり夜だよ。
 半日くらい眠ってたかな、よっぽど疲れてたんだね。

「倒れる前のこと、覚えてる?」

「えぇ……確かヴェーゼに襲われて……?」

 どうやら記憶が曖昧みたい。
 倒れる直前はフラフラだったもんね、記憶が飛んじゃっても仕方ないか。

「ご飯を用意しましたよ~……あ、目が覚めたのですね!」

「気分はどうかナ?」

 おや、チコタンとミィシャンが戻ってきた。
 二人にお願いしてた夕食、ナイスタイミングで完成したみたい。

「気分は悪くありませんわ……それよりここは? あなた達は一体?」

 あらら、私達のことも覚えてないんだね。
 場所はあんまり言いたくないんだけどな……。

「ここはイチャイチャホテルですよ」

「イチャイチャ……イチャイチャホテル!?」

 チコタンに言われちゃったよ……。
 そう、ここはイチャイチャホテル。
 地球でいうところのラブゥなホテルだね。

 四人で休める場所を探した結果、ここしか見つからなかったんだよ。
 変な目的で入ったわけじゃないんだよ。
 嘘じゃないんだよ。
 ホントだよ。

「安心して、ちょっと休むために入っただけだからね」

「ええ、女性同士ですから変な心配はしていませんが……」

 そうそう、変なことなんて絶対にしないんだから。
 ん? チコタンとミィシャンがじっとり私を見つめてる……一体どうしたのかな?
 何か疑われているような……まあ気にしないでおこう。

「それじゃあ改めて自己紹介をしておくね、私はソーラ」

「チコタンです」

「ミィシャンだヨ」

「ソーラにチコタン、ミィシャンですね。ワタクシはエルリンと申しますわ」

 エルリン!
 ステキな名前だ、ちょっと上品な感じもする。
 お姫様っぽい見た目にピッタリな、カワイイ名前だね!

「エルリンも食事にしますか? もう少し休みますか?」

「美味しいご飯だヨ」

 おぉ! 凄くいい匂いがする。
 この料理は……水色とピンクの冷やしグラタンかな?
 宇宙的すぎてよく分かんないけど……なんでもいいや。
 とりあえずお腹が空いちゃったよ、先に食べちゃおう。

「モグモグ……んっ、美味しい! エルリンも食べなよ?」

「いえ、ワタクシは結構です……それよりヴェーゼの連中はどうなりましたの?」

「ああ、ゴミ溜りには帰ってもらったよ」

「帰ってもらった!?」

「うん、モグモグ……二度と弱い者いじめをしないように命令して、その辺に放り出した……モグモグ……」

 あ、ついでにエルリンに関する記憶も全部消しちゃった。
 これでエルリンが追われる心配はなくなるよね。

「完全に操られていましたよね……」

「ワンちゃんだったナ……」

「そんなことが出来るなんて、信じられませんわ……」

 モグモグ……モグモグ……モグモグモグッ!

「ふぅっ、美味しかった! さて、エルリンに聞きたいことがあるんだけど」

「ソーラ、食べるの早すぎるミャ……」

「こんな状況なのに、よく食べられますね……」

 うっぷ、何やら呆れられている気がする。
 気のせいかな、気のせいだよね。

「とりあえず事情を聞かせてもらいたいな、追われてた理由とか」

「それは……あなた達をワタクシの事情に巻き込んでしまうかもしれませんわ……」

「大丈夫だよ、こっちも普通じゃない事情があるからね」

「普通じゃない事情? よく分かりませんが……事情を知って後悔しても責任は取れませんわよ?」

 後悔なんてしないよ、何しろこっちは元地球人の特異点なんだから。
 私以上にヘンテコな事情の人なんて、そうそういないよね。

「実はワタクシ、ユニオンマスターの孫ですの」

 なるほど、孫ね……って。

「「「孫!?」」」
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