魔王様は学校にいきたい!

ゆにこーん

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報せ

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 一方ロアーナの町では、町の入り口から大通りにかけて露店市場が催されていた。南北それぞれの国からたくさんの商品が集まる、活気溢れる露天市場である。

「お菓子屋さんがたくさんなのじゃ! 楽しいのじゃー!」

「待ってくださいウルリカ様……おや? あの食材は新作のお菓子に使えるかも?」

「まあ! 珍しい紅茶が売っていますわね、どれもいい香りですわ」

「大変です、ステキな珍味があっちにも! こっちにも!」

「ちょっとみんな、少しは落ち着いて……あら? このお化粧品はなにかしら?」

 立ち並ぶ露店を前に大盛りあがりの女性陣。それぞれ興味の赴くまま、次から次へと露店へ突撃していく。
 そんな女性陣から少し遅れて、男子生徒達はのたのたと歩いてくる。のたのたと歩いている理由は──。

「重い……重すぎます……」

「いくらなんでも……買いすぎだろう……」

「ふぅ……そろそろ荷物に押し潰されそうだな……」

 女性陣が買った大量の荷物を抱えているからである。筋肉自慢のシャルルでさえ押し潰されそうなほどの荷物量だ。体の細いヘンリーは今にも死んでしまいそうである。
 しかし大盛りあがりの女性陣は、男子生徒達の危機的状況に全く気づかない。そして買い物を止めるつもりもない。

「この食材で新しいお菓子を……こちらの食材も組みあわせて……」

「ふふっ……明日は珍味食べ比べ大会をしましょう……」

「三才も若返るだなんて、そんな甘い文句には騙されないんだから……本当に三才も若返るのかしら?」

「さて、次のお菓子屋さんはどこにしようかの……うむ?」

「あらウルリカ、どうしましたの?」

「ふむ……東の方角から妙な魔力を感じるのじゃ……」

 そう言うとウルリカ様は、買い物を中断して町の入り口へと歩いていってしまう。
 ウルリカ様が自分からお菓子屋さんを離れるなど異常事態だ。買い物に夢中だった女性陣も、慌ててウルリカ様の後を追う。

「ウルリカちゃん! どこへ行くの!」

「ふーむ……おや? 誰か走ってくるのじゃ?」

 ウルリカ様が指差した先は、町の外から地平線へと伸びる街道だ。よく目を凝らすと街道の先から、誰かが猛烈な勢いで走ってくる。

「はぁ……はぁ……ヴィクトリア様ーっ!」

「あら? えっと……誰かしら?」

「はぁ……はぁ……私です! 聖騎士のスカーレットです!」

「スカーレット!?」

 ヴィクトリア女王が驚くのも無理はない。なにしろスカーレットは、薄手の肌着一枚しか着ていないのである。
 剣こそ手放していないものの、特徴的だった深紅の鎧は全て脱いでしまっている。そのせいでヴィクトリア女王は、スカーレットに気づかなかったのだ。

「ちょっとスカーレット、その格好は一体どうしたの!?」

「ご心配なく、走るのに邪魔だったので鎧を捨ててきただけです……それよりも、ヴィクトリア様にご報告があります!」

「報告? なにかしら?」

「はぁ……はぁ……間もなくロアーナの町に、魔物の群れが押し寄せます!」

「なっ、なんですって!?」

 スカーレットによってもたらされた恐るべき報せ。こうして楽しい課外授業は、終わりをむかえるのだった。
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