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突然だが俺には高校時代に好きだった人が居た。しかも、二人だ。
一人目は明日香、学年も同じで一緒に図書委員会に入っていた。高嶺の花のような存在で副委員長を務めていたが、同じクラスだったからかそこそこ会話できる関係性だった。
二人目は星菜、こいつも同じ委員会の同級生だったがよく俺を見つけては走って胸元に突撃してくる子どもっぽさがある愛嬌たっぷりの可愛らしいやつだ。
ただ二人も同時に猛アタックすることは良くない!と悩んだ結果、星菜のことは諦めて明日香と付き合うために奮闘している。
でも虚しい結果として、大学生になった今でも明日香とは付き合えてすらいない友達関係のままだった。
今日は大学で宿泊学習の帰り道。宿泊先がなんと明日香の大学の近くだったので『一緒に帰ろう』と送ったらOKの返事が来たのだ。
でも、帰り道はいつもの他愛ない会話のみ。
「今度の休み一緒に遊ばない?」
「ごめんね、その日は家族と旅行に行くの」
遊びに誘っても撃沈で明日香とは別れて帰路につく。俺は黒いキャリーケースを転がしながらトボトボ歩いていた。
暇だし近くの本屋でも見に行くかと思ったが、この手にあるものが邪魔なのでいったん帰宅して戻ってこようというわけだ。
家の近くの蕎麦やうどんを扱う食事処にさしかかったときであった。その店舗から出てくる顔が見知ったものだった。
──星菜だ。
「よお、こんなところで何してんの」
「あっ! かっ君だーっ!」
同じくキャリーケースを持っていた星菜がこちらに向かって走ってくる。まさかの転がすでもなく抱えていたので驚きが隠せない。
「キャリーケースも持ってるんなら、遠出でもするんか?」
「そうだよ! 一人旅でもしようかなって思って東京に行こうとしたけど、お腹すいちゃったからそこでご飯食べてた!」
「ってことは、駅に行くつもりだったってことか」
「うん! かっ君は帰りだったかな? じゃあねっ」
「いやついてくよ。帰っても出かけるだけだったし」
こうして会えたのも何かの縁だと思い、自宅から目的地を変更し星菜と一緒に先ほど通った道を再びたどり始めた。
「ねえキャリーケース交換しない? こっちは重くってさ」
歩き始めてすぐ、街路樹の木陰となっているところでそんな提案をされる。
抱えてないで転がせば重さなんて関係ないだろ、そもそもそのためにキャリーケースを使うんじゃないのかと思うが。
「いいぞ、でもこっちも重いかもしれないぞ」
「だいじょーぶっ」と言って白いキャリーケースをこちらに渡してきたので、俺は引いていたキャリーケースを前に出して白い方を受け取る。意外と重さはなく手持ちでも問題ないほどであった。
それと比べたら俺の方は重いだろと思ったが、何食わぬ顔で黒いキャリーケースをコロコロと転がしていた。
──それならこれも転がして良いだろとは思ったが、先ほどまで星菜の抱いていた温もりとにおいが感じられ手放す気は起きなかった。
信号を渡って道の反対側に移った時に星菜が目的地の駅の方向と反対の向きに進んでいった。駅間の距離がそこまで離れていないのでもう一つの駅にも向かえるが、今進もうとしていた道程よりは倍の距離がある。
「そっちでも駅はあるけどこっちに向かってたんじゃないのか?」
「えっ──、あっホントだーっ! かっ君がいなかったら迷子になってたかも。ありがとっ!」
星菜は踵を返して俺が今日帰ってきた駅の方向へ歩き出した。
「でも高校卒業してから全然会えてなかったな」
「そーだねっ、めちゃ久々な感じがしたけどそんな経ってなかったかー」
話したいことは色々あったが、恋人がいたらどうしようとか、関わりが減ったから嫌われそうなことを言ってギクシャクしたくないと考えてしまい、当たり障りのない話題で話を続けようとする。
「最近は何やってるの?」
「そうねぇ、せっかくだから当ててみてよっ。男の子の趣味だから多分知ってると思うよー」
「なんだろ?釣りとか?」
男の子の趣味として釣りがすぐ出てくるのも爺臭いと思いながらも、星菜はよく規格外なことを言ってくるから意外と当たってるかもしれない。
「残念ーっ、違いますー。正解は○ュエル○スターズだよ!」
「○ュエマかー。子どもの頃はよくやったな」
確かに男の子の趣味であるのは間違いないと思うが、さすがに男児たちがこぞってやっていたカードゲームが出てくるとは思わなかった。そのカードゲームの中で挙がる名前でも可能性があるのはポ○モンとか、あったとしても遊○王は有名だから受け入れたかもしれないけど。
どうにか顔に出さずに続きを聞いていく。
「せっかくやってるなら一緒にできると思ったのになぁー」
「でもさぁ、なんで急にやり始めたんだ?」
「お姉ちゃんがやり始めて一緒にやってみたんだよ。そしたら楽しくて」
「あれ、お姉ちゃんいたんだな」
以前プレゼントをしたいと相談にのっていたことで妹がひとりいることは知っていたが、まさかお姉ちゃんがいるとは。好きな人のことでも意外と知らないこともあったもんだな。
「そーだよっ。お姉ちゃんと妹が三人だよ」
「あれ、妹は一人じゃなかったっけ?」
まさか姉妹5人だったことに頭がついていかない。昨今の少子化が話題になっている世の中で子どもが5人いるのも多少の衝撃は受けたが、全員女の子はフィクションかなんかでしか聞いたことがない。絵空事のような設定が現実に存在していたことに己の世間の認識の疎さを実感する。
この奔放な性格はもしかしたら姉妹で板ばさみになって抑圧があり、解放するために振る舞っていたのかもしれない。
「言ったことなかったかぁ。家族の話題とかちょっとディープな話って私たちにはお似合いじゃないもんね。『教科書貸して』とか『お腹すいた』とかお子様なことを言い合ってたもんね」
「懐かしいこと思い出させてくれるな。まだそう言って周りを困らせてないか?」
「しないよーっ! もうおとなになったんだからぁ!」
そんな言い方も昔と変わらない。子どもっぽさが残るあどけない言い方、でも好きだったころの庇護欲がかき立てられるような雰囲気に、抑え込んでいたはずの熱い気持ちが湧き立ってくる。
「でもお姉ちゃんはモデルですんごいセクシーなんだぁ。自信無くしちゃうくらいに。私は出るとこ出てないし……」
「そんなことないだろ! そりゃモデルと比べたらさ、美人な大人なんかじゃないよ。でもさ可愛さで言ったらお前の方がピカイチだ」
可愛いというのは嘘偽りのない本音だ。性欲が強かった高校時代、何度も星菜のことをおかずに自分を慰めたことがある。最近は明日香を追っていたり、大人なビデオも買える歳になったりしたので、処理の対象になることは無くなっていた。しかし、こう話していると性的対象で無くなったわけでもなく、むしろ昔のままの恋愛感情をともなった欲望が健在であることを否応なく感じさせられる。
「嘘だってっ。可愛さもお姉ちゃんの方が上だよ──。私なんか魅力なんてないし」
「可愛いさっ!!」
自分の愛するものを否定されたかのような物言いに、つい叫んでいた。
「守ってあげないといけないような常に気になる存在だったし、顔も童顔かもしれないけどぱっちりした目とか少し高めの鼻とか、可愛いと思ってた!」
「それって小さい子を見て可愛いとかそういう話じゃないの?」
「ずっとひとりの異性として好きだったよ!」
「子供っぽいと思っていたら几帳面に貸したハンカチとか洗濯してから返してくれるし、周りを見ていて困った人がいたら助けてくれる優しいところ。外見も中身も好きなところでいっぱいだよ!」
他にも、肉付きのいい身体つきに慎ましやかながらも存在感を主張する胸元、ナニとは言わないが挟まれたら気持ちよさそうな太もも、そしてチャーミングながらも紅がアクセントとなっていて柔らかそうな唇。すべてを語りきるにはまだまだあるが、それらは俺を虜にするには十分すぎる。
「そ、そうなんだ……そうだったんだ──」
「私は──か、かっ君のことずっと好きだったんだよ。でもさ……、かっ君はいっつも別の方を向いてるし、アプローチしても全然ドキドキしてくれてなかったじゃんっ」
「アプローチ、してたんか」
高校初めのころなんかは恋をしたは良いものの自信がなく、しかもひとりに絞ろうとか考えていたから盲目になっていたのかもしれない。アプローチと言えば、胸に跳びついてくるのは精いっぱいの恋愛表現だったのかもしれないが、それを俺は兄に甘える妹という愛情表現だと勘違いしていたことは反省したい。
「そうだよっ、一緒にいる時間を増やしたりさ」
「マジか! そっかぁ……気付かなかったなぁ、まさか俺たち両想いだったんだな」
高校時代の俺は馬鹿なことをしたものである。こんなことならもっと早めにアプローチをかけていれば、明日香ではなく星菜を選んでいればという後悔はあったが、お互いの本当の気持ちがわかったことは人生の転換点ともなる一大イベントであるので帳消しになるだろう。
「うん……、そう……だね……」
自然と目線が合い、言葉はここで途切れる。
正直ずっと追いかけていた星菜と実はお互いに好き合っていたなんて考えてもいなかった。
心臓の音が周りにも聞かれてしまうのではないかというほどバクバクいっている。
しかも、見つめ合っている状態。こんな状態になれば『キス』という二文字が脳内を埋め尽くしていく。世の男たちはこんな経験をしてイチャイチャしていたのか。
ただ、星菜を無為に傷つけたくないという良心は残っており、このままキスをしたら「さすがにそこまで考えてなかった」とか思われてしまいそうで踏み込めずにいた。──ただの臆病者の常套句だ。
そんな雰囲気でも感じ取ったのか、それとも女の勘ってやつなのか助け船がくる。
「無理しなくていいよ──」
そう言って星菜が目を閉じて軽く口元を前に出す。
こんなことをされたら理性で止まっていた俺はもう止まることなんかできない。
星菜の肩を掴んでこちらに寄せる。肩に触れたとき一瞬ビクッと体を震わせて「強すぎたか」と後悔がよぎる。一方の星菜は状況がわからずびっくりしただけだったので、むしろ向こうから寄りやすいように体重移動をしてくれた。
鼻の頭が触れそうなほど顔が近づいたことでもう引き返すことができなくなった。目を閉じ唇を突き出す、傍から見たらあまりにもブサイクな顔をする。
「あ、んん……。」
唇と唇が触れ合った。あまりに柔らかい感触に顔を離してしまいそうになるが、もっと味わっていたいという気持ちが唇の繋がりを強める。
とても温かくマシュマロのような口の感触と甘さに、思考がだんだんとボーっとしてくる。考えがまとまらなくなりこのまま唇を合わせたまま過ごしていきたいとすら思い始めてきた。
「……んぷっぅ、むぅ……。」
少し勢いが弱まってきたと思ったら、今度は彼女の舌が口の中に入ってくる。
いわゆるディープキスというやつでエッチなビデオでしか見たことのないものを今まさに実現させる。
知識を活かせるかと思ったがそもそも名前だけ知っているだけで、実際に舌の動きがどうなっているかわからないし見ただけでどうにかなるものでもない。
なにも手を出せないまま星菜の舌に蹂躙されていく。
だが、男としては若干屈辱的な状況にも関わらず、気持ちよさはとてつもないものであった。
入り込んできた舌にこちらの舌をぶつけてあげると「んぅっ……」と声が漏れてきて高揚してくる。
そんな二人はあまりにもよそ様にお見せできない状況になり始めている。
周りに少なからず人通りはあったがそんなことは関係ない、俺たちの世界を邪魔させないという気持ちの方が強かった。
そんな長かったファーストキスもやがて終わりを告げる。唇との間にトロッとした液体が橋をかけてぷつんと切れる。
「はぁっ……、はぁっっ……、はぁー……。結構長くキスしちゃったな」
「んっぁっ……、んぁ、は、んん………。そー……だね。はぁ……、ムチューになってた……」
初めてのキスはとても甘いクリームのようなもので、先ほどまでの唇と舌の感触と味に酔いしれていた。
まだまだこれから滾り始めてきた熱をぶつけ合いたいとは思ったが、人の往来がある場所で続けるのもさすがに気まずい。最悪の場合は警察送りにされてしまう。
かろうじて理性を働かせることができた翔は先ほどの他愛ない会話をしていた距離に顔を戻す。
そんな翔を見て星菜も気付いてくれたのであろう、周りを見て顔をほのかに赤らめている。──キスをして高揚しているのかもしれないが。
「そういえばキャリーケース、地面に置いちゃって悪いな」
「いいよーっ。そもそも置かないとキスができなかったでしょ!」
『キス』という言葉に先ほどのキスの映像がフラッシュバックする。少し冷めてきた体が再び熱を取り戻した。チラッと隣に視線をやると言った本人も思い出したのか俺の反対側を向いていた。
「最初からディープキスとかすごい大胆だな」
「えっっ、初めての恋人のキスって舌を入れるもんじゃないの!? お姉ちゃんに騙されたぁっ!」
むしろ俺的にはラッキーである。初めてのキスで唇からのディープなんてしたことあるやつは俺以外に居ないだろ。そんな優越感に浸っていると星菜がいつの間にかもじもじとして視線をチラチラ向けながら、
「……やっぱ、もう我慢できないかも……。」
小声だったが俺たちは二人の世界に入っているのではっきりと聞こえた。
「俺もだ──、どっか入っておきたいけど……」
近くにホテルなんかはない、駅の近くなので少し歩けばあるにはあるのだが、俺たちはもうそこまで待てるほど冷静な状態じゃない。
「あそこの店で良いか? んっ……んっ!!」
近くの大衆向けの食事処を指差して振り向いたら唇を奪われていた。そこにはキスという目的を果たすため獣と化した星菜がいた。
「っ、ふ……」
柔らかな舌を入れるため必死に堅い口をこじあけようと攻めてくる。
こんなにも健気な姿を見せられると男の俺も応えないわけにはいかない。
「ふぇっ……ええ、ぅわっ!」
先ほどのお返しと言わんばかりに星菜の温かな口内に俺の舌を侵入させた。
相手の舌を味わうことに集中できるのも良かったが、こちらから舌で攻めるのも最高の感覚だった。
程よくヌルヌルとした名器に俺の細長いものをねじ込ませていく。
少し壁に触れてみれば星菜の体が「ビクッ」と動くのは男としてたまらない。
「んっ…ぐぅっ……」
そんな風に星菜の中を弄んでいると俺の舌に温かく柔らかいものが絡みついてくる。
侵入に負けじと抵抗してくる舌であるが、俺にとっては柔らかくしっとりとした感触に思考がとろけていた。
背中に電撃が走ったかのように全身を痺れさせる感覚を享受すると、もっと感じたいと子どもがおねだりするようにこちらから舌を差しだそうとひとりでに動かしてしまう。
そんな二人はキャリーケースを引きながら指差したお店へと進んでいく。周りと明らかに違う点は唇を合わせながら人の目を気にせず蕩けた顔をしている点である。
「んぁ、は……む、んん……ぷはぁ……」
もう数分はしているだろう行為に時折唇を離すタイミングがあった。息継ぎをするための小休止かと思ったが、それだけが理由ではなかった。
これまで続けてきた行為によって体が熱くなってしまい服を脱ぎたくなるのだが、キスしながら、歩きながら、服を脱ぐなんて高等なテクは俺たちにはないので、仕方なくキスを諦めるという選択をとった。
酸欠になってしまうので正しい選択ではあるのだが、『キス』しか頭にない二人にとっては無意識のうちに選ばれただけだ。
──なので、公衆の面前で互いに肌色の面積が多くなってもお構いなしである。
そうして服を脱ぐのだが頭が働いてない状況も相まってなかなか脱げない。星菜も同じようで首のところに服が引っかかっているのが見える。そんな状態なので胸元にライトグリーンの下着が丸見えである。
「んんっ! ぷはっ! ……可愛いの着けてるじゃん」
「はぁ…はぁ……、動きやすいのを、選んだ……だけだから。──あんま見ないで……っ」
少し恥ずかしがりながら流し目をする星菜に「キュンっ」とくるものを感じた。一生傍にいて可愛らしさの奥に秘められた蠱惑的な魅力を堪能したいと感じた。
「あむっ!! ん、ちゅっ……」
こちらからおでこがぶつかりそうになる距離まで近づいて、星菜の艶やかな唇を奪っていた。星菜の方も暴れまわったファーストキスとは異なり、じっくりと味わうような、長い間繋がっていたいことを表しているキスをするようになっていた。
互いの気持ちが高まっている煽情的なキスを経るのと同時に、身にまとっている服装まで変化していった。翔は下にテントを張ったトランクス一枚のみで、星菜は纏っていたブラウスとスカートを取っ払って、ライトグリーンの下着姿になっていた。誰かに見られでもすれば不審者二人として通報は免れないような状況にも関わらず、二人の愛の聖域では周りの煩わしい障害は些細なことであった。
やっとのことで目的の食事処の前に来た二人であるが、目は飢えた獣のようにギラついて、体からは湯気でも立っているかと錯覚するほど赤らめていた。
そこに店の前で順番待ちでもしていたのだろうか、ひとりの女性が待合席に座っていた。
「ひぃっ!」
常軌を逸しているキス魔の二人が近づいてくる恐怖から、顔をゆがめて一刻も早くその場から離れたいと言いたげに逃げ出していた。
「んんっ!! んん! ん……、さすがにっ、マズいよね……」
「んっっ! ふぁ……ぁ、ああ、これじゃぁ、入れないな──」
少し落ち着いて己の服装を改めて確認する。『変態』……そんな二文字が真っ先に浮かんでくる。パンイチの男なんて街中を歩いていても見かけることなんてない、引くレベルのヤバいやつだ。──今の俺がそんな恰好なのはヤバすぎるが。
対する星菜の格好も痴女としか言いようがない。大きくはないが女性であることをしっかりと主張しているブラジャーとビキニのパンツスタイルを思い起こさせる引き締まったパンティだけを纏っている。
男としてはそんなエッチな姿に注目をしてしまう中、下に目線を向けたときライトグリーンの真ん中が黒っぽくなっているのが見える。
これが濡れるってやつなのか! リアルで見たことのない初めての女体の神秘をまのあたりにして、俺は虜になっていた。
そんな濡れて変色してしまったパンティを見ていると、意識の外に追いやっていた俺の股間がギンギンと主張してくる。だが今は欲望に従えない、体を隠す方が先だ。
何か無いかとキャリーケースを調べると丈が異常に長く床についてしまうほどのコートが出てくる。それを見た星菜が、
「っ、そうだ! これを使って、どうにかならないかな。二人羽織みたいにさ」
「まあ、何もないよりはいいか」
宿泊学習先が夜は冷えるということで、大きめのコートを持ってきてはいたのだが、まさかこんな使い方をすることになるとは……
──そもそも最善は脱いだ服を着ればいいのだが、興奮冷めやらぬ二人にはその考えに至らなかった。
二人は体を寄せ合って、星菜が見えなくなるように翔がコートを羽織る。
ぶかぶかすぎて着ることが無かったのだがここにきて大活躍をしていた。
何とか前にあるボタンを閉められたのだが、体勢が非常にマズいことになっている。
前を見えるように星菜が俺の前方にいるのだが、密着を余儀なくされるので俺の体の前方が、ぴったりと星菜の少々骨ばっているがふんわりと包み込んでくれるような感覚のある背中側に触れている。
一度落ち着いたはずの相棒はすでに臨戦態勢になってしまっているので、星菜に硬い感触を返しているのがモロバレだろう。
しかし、そんな男の欲棒が押し付けられている状況に悪い気もせず、むしろ、
「んっ、……!」
向こうもほとぼりが冷めてないのだろう。甘い声が漏れてしまう星菜の喘ぎに俺は今にも白い欲望を出してしまいそうになる。
今この状況で出してしまうと俺のお腹とコートが悲惨な事件になってしまうので、気合で我慢する。……星菜の雪のように白くてきれいな背中にマーキングしてしまうのは魅力的だな……いや、だめだ。
相撲取りでも来たのかというコートを羽織った大柄な男がスーツケースを二台引いて大衆食堂に入店する。小さい頃はスポーツをやってそうな顔立ちとよく言われたので違和感は少ないだろう。
案内に来た店員も怪しげな客を入店拒否したそうな顔を見せるが、プロらしくマニュアル通りの案内を始める。
一方の翔はドキドキしていた。キスと密着による興奮は言わずもがなであったが、下着姿の男女が二人、しかもひとりは服の中に潜んでいる状況にひどく緊張していた。
ばれたら社会的に終了な極秘ミッションをやっているのだが、立ち止まっているのはさらに怪しいので案内についていく。
指定された位置にキャリーケースを置いて、案内された席に座ろうとすると反対側のソファーになっている席に人影が見える。どうやらひとりで来ていたOLの席の前に座ってしまっていたようである。
俺の姿を見て一瞬フリーズしたが、状況を受け入れたのか何食わぬ顔で食事を再開していた。
未だに緊張して動けないでいると、店の入り口からここまで案内してくれた店員が、
「申し訳ございません、椅子が用意できていませんでした。」
そう言って俺を案内するはずであったテーブルの、ソファー席の反対側に椅子が用意される。椅子が無かったのは気を遣ってソファー席に座りやすくしてくれたのだろうか。
「あら、行っちゃうの? せっかくだし、ご一緒しない?」
席を離れようとすると同席したOLが俺に相席の提案をしてくる。
しかし、裸同然でしかもコートの中に隠し娘までいる俺に受け入れる余地なんてものはなくて、右手を上げ掌を向ける。そして、横に首を振り彼女に否定の意思を伝える。
それを見て、「そう…」とみそ汁に手を伸ばしていた。
OLのテーブルを後にして隣の誰もいない席に移ったらまたソファー席に誰か人影がいる。移る方を間違えたかと思ったが、そんなことはなく案内をしてきた店員が前に座っていたのだ。
「先ほどはすみませんでした。今までこういう人を案内したことがなく、動揺してしまいました」
「いえ、こちらこそ気遣わせてしまったようで……」
「とはいえ、まだ涼しい時期とはいえコートを着てくるなんて、服とか気にしない方でしょ?」
「こんな格好なんでね、そうです……」
なんだこの店員は……俺の機嫌を取るためとはいえ向かいに座るもんじゃないだろ。自分の仕事をしてくれ。そんな言葉を飲み込む。
へんてこな会話をしていて座ってから進展しない状況にあきれ始めたのか、今まで息をひそめていた星菜が動き出す。会話の途中だろうかいつの間にか俺のトランクスは脱ぎ去られている。そして、だんだんと下降していってテーブルの下に向かうようだ。背中のスベスベな肌が大きくなった相棒を優しく擦りあげる。
声をあげそうになるがどうにか抑えて星菜に伝える。
「……今は周りに人が居るからそんなことできないぞ」
できる限りの小声で星菜に伝えたが、もぞもぞ動くのをやめてくれない。そしてきめ細かな首筋の感触を俺の怒張した部分が感じ取ったところで星菜の感触が一瞬消えた。
わかってくれたかと安心したのが間違いだった。
「んっ、んんうう」
「うぁっ!!」
姿は見えないが俺の敏感な部分に、星菜の包み込んでくれるような唇の感触が当たる。
まだ店員が目の前にいるというのにあまりの痺れから声をあげてしまう。
「お、お客様大丈夫ですか!?」
急に大声を出してきた怪しい客を店員としては接客しなくてはと、必死にこちらを観察する。
テーブルがあるおかげか下半身の変化には気付かれる様子はなさそうだ。こんなのがバレてしまったらどう説明をすればいいのだろうか……
答えることも忘れて星菜の口淫を楽しむ。
「ん、んぐぅぅ……ッ!」
「ぅんっ、ん、」
「んんっ、ぅっ……ふぁっ……」
必死に咥えているのか、俺を包み込んでくれる温かくしっとりとした感触はどんどん広がっていく。
ひとりでしたときには絶対に味わえない口の中という感触。噂では体が柔らかい人ならできるというが、体は硬いし俺にそんな趣味はもちろんない。
初めての感覚に俺は前にいる店員に気付かれないよう下唇を噛むことしかできなかった。
「んちゅ…じゅ…ん、はぁ…あぁ…ちゅう…チュ…」
時折、亀頭にキスをしてくれてもどかしさと鋭い刺激に身をよじる。
男としては単一の動き、触れるだけの動きなんかではイクことは容易じゃない。昂っているとはいえ刺激が足りず出すものが出せないのはなかなかにキツい。
そろそろ別の刺激がほしい、その想いが届いたのか
「んぐぐ!んんっ、んぐぅぅ!!」
「んぎっ、っっっ!!」
先ほどまでは咥えてたまに擦れるような感触を味わっていたのだが、今度はゆっくりと上下する動きが新たに登場してきた。出っ張った部分に星菜の唇が引っかかると「ゾクり」とした感覚が俺の体を駆けめぐる。
俺のモノは出そうとするいつもの動きにフィニッシュへの準備を始める。
それにともない下半身を中心に湧き上がってくる興奮はさらに高まっていた。
「んぶっ!ん、んぶぶっ!」
体の奥底からどんどんせりあがってきているものを感じる。
一番初めのキスから痛いほど勃ちあがっている俺のモノはすでに限界を迎えようとしていた。
好きな人にキスをしてさらにフェラをされているんだ、ここまで出さなかったことを褒めてほしいくらいだ。
「それではごゆっくりどうぞ」
こちらは人様に言えない状況にもかかわらず未だに座っていた店員。明らかに様子がおかしい客に怪訝そうな顔を向けたが、「大丈夫か。」と席から立ち上がりフロアへと移動していった。
さすがに目の前に会話している人がいる状況でフィニッシュするわけにもいかないだろう。と我慢していた翔は安堵する。
枷がなくなったことで発射の準備が万端となっていた。星菜の方も往復させるペースが上がってきていた。
「もう……、出すぞっ!」
ひねり出した声は周りには聞かれることなく、今もなお口淫をしている星菜にだけ届いていた──はずである。先ほどと変わらない速さで「じゅぷり」と俺のモノに奉仕し続けている。
そして俺は限界を迎えた。
「んくっ、っ、んっっっっ!!」
「ん、んっ、んんぐぅ! んん―――――!!!!」
──ビュクッ、ビュクッゥ……ビュゥルルルルゥゥゥ!!
己の溜め込んできた白い液体を星菜の汚れを知らない口に注ぎ込んだ。
マーキングして相手の所有権を主張するかのような征服感はとても気分がいい。
人には見せられない顔をしたところで慌てて横を見る。いつの間にか隣で相席を誘っていたOLもいなくなっていた。危うく男の蕩け顔を見られてしまうところであったので、翔は命拾いした。
テーブルの下からは「けほっ、けほっ」とせき込んだ声が耳に入ってくる。
初めてでしかも視界は光があまりなく不良な状態、それでも必死に気持ちよくなるようご奉仕してくれた星菜に、賢者になりかけた気分がさらに高まってしまう。
「けほっ、にがーい……」
飲まなくてもいいのにと思ったが、口にはしなかった。互いに高まって我慢できずにフェラを開始してしまう。その結果なんて向こうも知っているだろう。いきなりディープキスしてくるくらいだしな。
それに俺調べだが飲んでほしくない男なんていないだろう、俺は断然飲んでほしい派なので満足度は半端ない。
互いに満足してるのに野暮ってもんだ。
さて、俺は熱く滾っていたものをいったん解放できたので問題ないが、星菜はまだ己の欲望が燻ぶったままだろう。とはいえ場所も場所だ。こんな食事目的で来ている客の中で別の三大欲求を解消しに来る奴らなんているのだろうか。
ここに二人居るな、という浅はかな考えは頭から追い出すようにしていた。
「んっ、よいしょっと」
すると、声だけではどこにいるかわからなかった星菜の感触が再び俺のもとへとやってきた。
今度は腰回りに柔らかい感触を感じる。
「抱きついてきたのか」と思ったが、それにしてはぎこちない感じだ。そう思ってもう一つの答えに辿り着く。これは足ではないか?
おそらく挿入しやすいように俺の膝に座ってきたとかそんな辺りだろう。つまり、あっちもやる気満々ということだ。俺も先ほど出したばかりにもかかわらず、すでに硬さを取り戻しておりいつでも準備OKであった。
のだが、ここで心配事が出てきた。俺の顔の方に頭が出てきていないので、このままだとテーブルに頭をぶつけてしまうのではないか? そう思ってテーブルの下を確認する。
下を見ると星菜の可愛らしく白いすべすべな手が見える。
「ん?」
どういう体勢になっているのかわからず思考が停止してしまう。足は俺の腰に巻かれていて手は床に置かれている。しかも、手の先は俺とは逆を向いている……
「これって……まさか……押し車ってやつか!」
知識としては知っていたがエッチなビデオでもなかなか登場しない体位に俺は叫びそうになっていた。実際は周りに人が居るので小声で我慢した。
──そもそも押し車なんて知っている翔もなかなかではあるが、その体位を無意識にやってしまう星菜は無自覚スケベなのかもしれない。
体勢についての考察が終わったことでひとつの結論に至る。
(今ってもう挿入手前ってことでは……)
そう思うや否や亀頭が未知の感触を感じ取り始めた。
「んくぅ!」
俺の汁で濡らしてしまったかと思ったが、再度触れたときに確信を得る。──あちらが濡れている。つまりこれは星菜の濡れそぼったあそこの感触……
画面越しでしか見てこなかった女の人の大事な場所、それもモザイク付きで何となくしか見たことはない。
見えないという点は変わらないが、感触だけはリアルに感じることができる。二つのなだらかな山がありその間には溝となっている部分。その先には男の象徴を収める、男に存在しない穴が存在している。
そう考えただけでさらに期待とモノの大きさが増してしまう。
「はううっ!」
そんな折、割れ目を強く押してしまったのか可愛らしい嬌声が響いてきた。おそらく対となる存在を今か今かとヒクヒクさせながら待っているのだろう。
そうとなれば、ここは男からいかなければ無礼であろう。そう思い少し腰を上げて俺の男根を星菜の女陰へと導いていく。
実際に結合部が見えるわけでもなく俺も初めてなので、初回のチャレンジはつるんと滑ってしまう。しかし、ヌルヌルになっている割れ目に敏感な部分を擦りつけるのは、背中に電流が走ったのではないかと錯覚するほど気持ちよく、危うく暴発してしまうところだった。
下からも「んぁっっ!」と声を出さないよう我慢しつつも漏れてしまった声が聞こえてきた。
このままだと中に挿れる前に果ててしまうので、今度は慎重に狙いをさだめる。すると、滑ってしまいそうな割れ目の一部分に押し込めそうな部分を何とか見つける。俺は勢いをつけて肉棒を進めていく。
「ふぁぁあ!!はぁぁあん!」
「おおおおっっっっ!」
二人の嬌声が重なり合う。まだ亀頭を膣の入口の柔肉が包み込んでいるだけだが、意識が飛んでしまうほどの快感を与えていた。
熱くとろけるフェラも最高級であったが、男の肉棒を挿入するのに最適化した膣壁は至高の快楽を与えてくる。挿入後すぐ出してしまう気持ちを何とか抑えつつ、トロトロになった星菜の中を堪能する。
一方の星菜も快楽に溺れているのか声にならない声が聞こえてくる。
──初めては痛いんじゃないのか
そう思ったが今のところ痛がる様子は見受けられない。愛液が大量に出ていることでスムーズに動かすことができるからかもしれない。
このままでも気持ちがいいが更なる快感を求めるため、奥へと熱くなった肉のかたまりを進めていく。
「あ、ああ゛ぁぁっ!」
「んんっっ!」
侵入を進めるたびに抑えようとしていた声が漏れてしまう。店の中にも聞こえてしまっているのではないかと思うが、幸い注目をされている様子はなく男女の交わりは続いていく。
亀頭がすっぽり埋まってさらに竿を進めたところで、侵入が阻まれる部分に到着する。
興奮していた翔は少し勢いづけて押し込もうとしたところ……
「ひぎぃぃぃっ!? …………っ!?」
喘ぎ声とは違う耳を劈くような細い声が届いた。
──これがいわゆる処女喪失の痛みというやつか…
先っぽだけ挿入したときに痛がる素振りが見えなかったので、調子に乗ってずんずんと進めてしまっていた。
さすがの俺も快楽に身を任せるわけにはいかないと動きを止める。痛がらせるつもりは全然ない。二人で気持ちよくなりたいのが俺のゴールだ。コートごしに星菜がいるはずの場所、おしりを優しく撫でる。
「くぅッ……!はぁ…ぁ……っ……」
まだ痛みはひいてないだろうが若干の煽情的な声も混じった息を漏らしている。
少し待って動きを止めていると落ち着いてきたのだろうか、
「ぃ……、い……い……よ。……つづ……っ、け……て……」
痛みがあるのだろう、まだスムーズに声を出せなさそうだがこれより先の関係に進むため俺に懇願してくる。
正直なところ快楽にだけ溺れてほしいためまだ待ちたいが、時間があるわけでもない。この店でゆっくりするにしてもどのくらいいるかわからないし、俺の相棒もこれ以上の我慢ができない。
これ以上柔らかで絞ってくる膣壁に、先ほどまで童貞だった息子が包み込まれていると、中途半端に出してしまいそうになる。
初めてはしっかりと最大級の絶頂をむかえて果てたい。
再びの快楽を求め俺は、痛がらせないようにゆっくりと太い異物の侵入を始める。そんな俺の様子を感じて星菜は「ふふっ」とうれしそうに笑う。
俺たちなりのスピードで俺たちができる最大限の結果を求めていく。
「んっんっっはっ、はっ、、あっ、はっ、」
先ほどより苦悶の声が弱くなってきて俺を興奮させる喘ぎ声が聞こえてくる。
挿入したまま膣内に俺の肉棒の形を慣らしておいたのが良かったのかもしれない。
そのまま少しずつ慣らしていく陣地を着実に進めていく。
「っんくっ!」
先ほどまでは気付かなかったが、きつく狭い膣内は肉棒から出てくるエキスを欲しがりうねうねと動いている。男も敏感な部分を攻め立てられるタイミングでは声が出てしまう。
ほとんど俺の竿が飲み込まれたところまで来たときに、なにやらつきあたりに到着する。そのつきあたりに亀頭が触れたとき、
「あんッ!! ぁあ!! んぁぁっ!!!」
星菜の抑えながらも漏れていた声がひときわ大きくなる。
これ以上大きな声を出されたらまずいと、少しずつ肉棒を元来た絡みつくような道を通して引いていく。
こうして長い1往復が終わったのだが、もう俺の息子は発射準備万端になってしまっている。動きを止めていたとはいえ最上級の搾り器の中でとどまっていたのだ。大量発射まではいかなくても奥に届けることはできる量は出してしまうだろう。
しかし、まだこの性交渉を続けたい翔は素数を数えだす。──興奮を鎮めるためによく出てくるやつだ。
(2, 3, 5, 7, 11, 13, ……、初めてやってみたけど意外と効果あるな)
相変わらず星菜の中に翻弄はされるが、射精感は少し引いてきた。もう少しだけ人生最高の瞬間を楽しめそうだ。
「うっ、くー! は……んん……!」
数分ほど往復を繰り返すと、星菜からの痛みを伴う声は聞こえなくなり肉棒に突かれるたび体を震わせるようになっていた。
俺の方も少し冷静さを取り戻してどんな反応を見せてくれるかの余裕はできていた。
例えば、少し下の方を向けて肉棒が挿入されれば、
「ははぅん……!」
俺の興奮を加速させるひときわ可愛い声を出してくれる。
さらにつきあたりを再びぶつけてあげると、
「あ、は、はぁっ!!」
俺以外にも聞こえてしまっているのではないかというほどの感じ方をしてくれる。
そんな感じで徐々に速さを上げながら彼女の聖歌を聞いていたが、もう限界が近づいていた。すでに挿入段階でギリギリだったので、最高潮の瞬間をこれ以上は遅らせることはできないだろう。
「も、もう限界だ……出すぞっ!」
「んんっっ!!」
返事か喘ぎ声かわからなかったが、こちらとしては我慢ができないのでピストンのスピードを速めていく。
亀頭の出っ張りが何度も何度も肉壁に擦られていくことで、ぐつぐつと煮立った白いマグマが徐々にせりあがってくる。
「あっ、あぁイクッ、出るっ!」
「んーッ、ンッ!! んんん――――!!!!」
──ドクンッ、ドクンッ、ビュルルルッ、ビュルルルッ!!
俺は最愛なる星菜の深いところで己の白くドロドロした欲望を満たしていく。本来出されるべき場所にすべて出されることで、フワフワとした高揚感で満たされる。
星菜の方もイってしまったようで、俺の肉棒から出た精液を不規則な動きで絡めとっていく。それも相まって肉棒にわずかに残っていた精液をビュビュッとさせる。
「はぁあっ、あぁはぁ……」
互いに繋がっている感覚が絶頂をむかえた二人を優しく満たしていく。
このまま何時間でも繋がっていたいと、顔は見えないが別のところで伝え合う。
そんな至福の時間もやがて俺の肉棒の硬さがなくなっていくことで抜けてしまう。俺のそばから離れて遠くにいってしまう感覚がしてちょっと寂しい。
でも俺たちは疎遠になりかけていた関係性を逆に物理的な繋がりが深めて強固にしたのだ。
初めての愛の行為はこうして終わりを告げた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
あの後料理を注文して食べきった俺たちは店を出ていた。途中バレないようにコートの間から星菜に食べさせたりと楽しいひと時だった。
「そういえば夢中になってて忘れてたけど中に出しちゃったな……今度やるときはちゃんと避妊しないと」
「今日は大丈夫だとは思うけど、子ども出来ちゃったらどうしよっか。──あっ、ちょっと垂れてきた……」
「お前との子どもは欲しいに決まってるじゃないか。でも、今は大学生だしさすがにまだ養えないから卒業するまでは待ってくれ」
「ありゃ、遠まわしにプロポーズされちゃったかなっ! それなら私のこと大事にしてよね──」
「当たり前だろっ! もうお前のことしか考えられないんだから。一生をかけて大切にしてやるっ」
「うふふ、ありがとっ。うむっ」
俺の唇に優しく、でも恋人としてちょっとディープなキスをしてくれる。
高校時代は叶わないと思っていた夢が今、目の前に存在している。
俺なんかには贅沢ともいえる可愛らしさと美しさを兼ね備えている少女。
俺は絶対に星菜のこと、離さないと心に決めた。
-終-
一人目は明日香、学年も同じで一緒に図書委員会に入っていた。高嶺の花のような存在で副委員長を務めていたが、同じクラスだったからかそこそこ会話できる関係性だった。
二人目は星菜、こいつも同じ委員会の同級生だったがよく俺を見つけては走って胸元に突撃してくる子どもっぽさがある愛嬌たっぷりの可愛らしいやつだ。
ただ二人も同時に猛アタックすることは良くない!と悩んだ結果、星菜のことは諦めて明日香と付き合うために奮闘している。
でも虚しい結果として、大学生になった今でも明日香とは付き合えてすらいない友達関係のままだった。
今日は大学で宿泊学習の帰り道。宿泊先がなんと明日香の大学の近くだったので『一緒に帰ろう』と送ったらOKの返事が来たのだ。
でも、帰り道はいつもの他愛ない会話のみ。
「今度の休み一緒に遊ばない?」
「ごめんね、その日は家族と旅行に行くの」
遊びに誘っても撃沈で明日香とは別れて帰路につく。俺は黒いキャリーケースを転がしながらトボトボ歩いていた。
暇だし近くの本屋でも見に行くかと思ったが、この手にあるものが邪魔なのでいったん帰宅して戻ってこようというわけだ。
家の近くの蕎麦やうどんを扱う食事処にさしかかったときであった。その店舗から出てくる顔が見知ったものだった。
──星菜だ。
「よお、こんなところで何してんの」
「あっ! かっ君だーっ!」
同じくキャリーケースを持っていた星菜がこちらに向かって走ってくる。まさかの転がすでもなく抱えていたので驚きが隠せない。
「キャリーケースも持ってるんなら、遠出でもするんか?」
「そうだよ! 一人旅でもしようかなって思って東京に行こうとしたけど、お腹すいちゃったからそこでご飯食べてた!」
「ってことは、駅に行くつもりだったってことか」
「うん! かっ君は帰りだったかな? じゃあねっ」
「いやついてくよ。帰っても出かけるだけだったし」
こうして会えたのも何かの縁だと思い、自宅から目的地を変更し星菜と一緒に先ほど通った道を再びたどり始めた。
「ねえキャリーケース交換しない? こっちは重くってさ」
歩き始めてすぐ、街路樹の木陰となっているところでそんな提案をされる。
抱えてないで転がせば重さなんて関係ないだろ、そもそもそのためにキャリーケースを使うんじゃないのかと思うが。
「いいぞ、でもこっちも重いかもしれないぞ」
「だいじょーぶっ」と言って白いキャリーケースをこちらに渡してきたので、俺は引いていたキャリーケースを前に出して白い方を受け取る。意外と重さはなく手持ちでも問題ないほどであった。
それと比べたら俺の方は重いだろと思ったが、何食わぬ顔で黒いキャリーケースをコロコロと転がしていた。
──それならこれも転がして良いだろとは思ったが、先ほどまで星菜の抱いていた温もりとにおいが感じられ手放す気は起きなかった。
信号を渡って道の反対側に移った時に星菜が目的地の駅の方向と反対の向きに進んでいった。駅間の距離がそこまで離れていないのでもう一つの駅にも向かえるが、今進もうとしていた道程よりは倍の距離がある。
「そっちでも駅はあるけどこっちに向かってたんじゃないのか?」
「えっ──、あっホントだーっ! かっ君がいなかったら迷子になってたかも。ありがとっ!」
星菜は踵を返して俺が今日帰ってきた駅の方向へ歩き出した。
「でも高校卒業してから全然会えてなかったな」
「そーだねっ、めちゃ久々な感じがしたけどそんな経ってなかったかー」
話したいことは色々あったが、恋人がいたらどうしようとか、関わりが減ったから嫌われそうなことを言ってギクシャクしたくないと考えてしまい、当たり障りのない話題で話を続けようとする。
「最近は何やってるの?」
「そうねぇ、せっかくだから当ててみてよっ。男の子の趣味だから多分知ってると思うよー」
「なんだろ?釣りとか?」
男の子の趣味として釣りがすぐ出てくるのも爺臭いと思いながらも、星菜はよく規格外なことを言ってくるから意外と当たってるかもしれない。
「残念ーっ、違いますー。正解は○ュエル○スターズだよ!」
「○ュエマかー。子どもの頃はよくやったな」
確かに男の子の趣味であるのは間違いないと思うが、さすがに男児たちがこぞってやっていたカードゲームが出てくるとは思わなかった。そのカードゲームの中で挙がる名前でも可能性があるのはポ○モンとか、あったとしても遊○王は有名だから受け入れたかもしれないけど。
どうにか顔に出さずに続きを聞いていく。
「せっかくやってるなら一緒にできると思ったのになぁー」
「でもさぁ、なんで急にやり始めたんだ?」
「お姉ちゃんがやり始めて一緒にやってみたんだよ。そしたら楽しくて」
「あれ、お姉ちゃんいたんだな」
以前プレゼントをしたいと相談にのっていたことで妹がひとりいることは知っていたが、まさかお姉ちゃんがいるとは。好きな人のことでも意外と知らないこともあったもんだな。
「そーだよっ。お姉ちゃんと妹が三人だよ」
「あれ、妹は一人じゃなかったっけ?」
まさか姉妹5人だったことに頭がついていかない。昨今の少子化が話題になっている世の中で子どもが5人いるのも多少の衝撃は受けたが、全員女の子はフィクションかなんかでしか聞いたことがない。絵空事のような設定が現実に存在していたことに己の世間の認識の疎さを実感する。
この奔放な性格はもしかしたら姉妹で板ばさみになって抑圧があり、解放するために振る舞っていたのかもしれない。
「言ったことなかったかぁ。家族の話題とかちょっとディープな話って私たちにはお似合いじゃないもんね。『教科書貸して』とか『お腹すいた』とかお子様なことを言い合ってたもんね」
「懐かしいこと思い出させてくれるな。まだそう言って周りを困らせてないか?」
「しないよーっ! もうおとなになったんだからぁ!」
そんな言い方も昔と変わらない。子どもっぽさが残るあどけない言い方、でも好きだったころの庇護欲がかき立てられるような雰囲気に、抑え込んでいたはずの熱い気持ちが湧き立ってくる。
「でもお姉ちゃんはモデルですんごいセクシーなんだぁ。自信無くしちゃうくらいに。私は出るとこ出てないし……」
「そんなことないだろ! そりゃモデルと比べたらさ、美人な大人なんかじゃないよ。でもさ可愛さで言ったらお前の方がピカイチだ」
可愛いというのは嘘偽りのない本音だ。性欲が強かった高校時代、何度も星菜のことをおかずに自分を慰めたことがある。最近は明日香を追っていたり、大人なビデオも買える歳になったりしたので、処理の対象になることは無くなっていた。しかし、こう話していると性的対象で無くなったわけでもなく、むしろ昔のままの恋愛感情をともなった欲望が健在であることを否応なく感じさせられる。
「嘘だってっ。可愛さもお姉ちゃんの方が上だよ──。私なんか魅力なんてないし」
「可愛いさっ!!」
自分の愛するものを否定されたかのような物言いに、つい叫んでいた。
「守ってあげないといけないような常に気になる存在だったし、顔も童顔かもしれないけどぱっちりした目とか少し高めの鼻とか、可愛いと思ってた!」
「それって小さい子を見て可愛いとかそういう話じゃないの?」
「ずっとひとりの異性として好きだったよ!」
「子供っぽいと思っていたら几帳面に貸したハンカチとか洗濯してから返してくれるし、周りを見ていて困った人がいたら助けてくれる優しいところ。外見も中身も好きなところでいっぱいだよ!」
他にも、肉付きのいい身体つきに慎ましやかながらも存在感を主張する胸元、ナニとは言わないが挟まれたら気持ちよさそうな太もも、そしてチャーミングながらも紅がアクセントとなっていて柔らかそうな唇。すべてを語りきるにはまだまだあるが、それらは俺を虜にするには十分すぎる。
「そ、そうなんだ……そうだったんだ──」
「私は──か、かっ君のことずっと好きだったんだよ。でもさ……、かっ君はいっつも別の方を向いてるし、アプローチしても全然ドキドキしてくれてなかったじゃんっ」
「アプローチ、してたんか」
高校初めのころなんかは恋をしたは良いものの自信がなく、しかもひとりに絞ろうとか考えていたから盲目になっていたのかもしれない。アプローチと言えば、胸に跳びついてくるのは精いっぱいの恋愛表現だったのかもしれないが、それを俺は兄に甘える妹という愛情表現だと勘違いしていたことは反省したい。
「そうだよっ、一緒にいる時間を増やしたりさ」
「マジか! そっかぁ……気付かなかったなぁ、まさか俺たち両想いだったんだな」
高校時代の俺は馬鹿なことをしたものである。こんなことならもっと早めにアプローチをかけていれば、明日香ではなく星菜を選んでいればという後悔はあったが、お互いの本当の気持ちがわかったことは人生の転換点ともなる一大イベントであるので帳消しになるだろう。
「うん……、そう……だね……」
自然と目線が合い、言葉はここで途切れる。
正直ずっと追いかけていた星菜と実はお互いに好き合っていたなんて考えてもいなかった。
心臓の音が周りにも聞かれてしまうのではないかというほどバクバクいっている。
しかも、見つめ合っている状態。こんな状態になれば『キス』という二文字が脳内を埋め尽くしていく。世の男たちはこんな経験をしてイチャイチャしていたのか。
ただ、星菜を無為に傷つけたくないという良心は残っており、このままキスをしたら「さすがにそこまで考えてなかった」とか思われてしまいそうで踏み込めずにいた。──ただの臆病者の常套句だ。
そんな雰囲気でも感じ取ったのか、それとも女の勘ってやつなのか助け船がくる。
「無理しなくていいよ──」
そう言って星菜が目を閉じて軽く口元を前に出す。
こんなことをされたら理性で止まっていた俺はもう止まることなんかできない。
星菜の肩を掴んでこちらに寄せる。肩に触れたとき一瞬ビクッと体を震わせて「強すぎたか」と後悔がよぎる。一方の星菜は状況がわからずびっくりしただけだったので、むしろ向こうから寄りやすいように体重移動をしてくれた。
鼻の頭が触れそうなほど顔が近づいたことでもう引き返すことができなくなった。目を閉じ唇を突き出す、傍から見たらあまりにもブサイクな顔をする。
「あ、んん……。」
唇と唇が触れ合った。あまりに柔らかい感触に顔を離してしまいそうになるが、もっと味わっていたいという気持ちが唇の繋がりを強める。
とても温かくマシュマロのような口の感触と甘さに、思考がだんだんとボーっとしてくる。考えがまとまらなくなりこのまま唇を合わせたまま過ごしていきたいとすら思い始めてきた。
「……んぷっぅ、むぅ……。」
少し勢いが弱まってきたと思ったら、今度は彼女の舌が口の中に入ってくる。
いわゆるディープキスというやつでエッチなビデオでしか見たことのないものを今まさに実現させる。
知識を活かせるかと思ったがそもそも名前だけ知っているだけで、実際に舌の動きがどうなっているかわからないし見ただけでどうにかなるものでもない。
なにも手を出せないまま星菜の舌に蹂躙されていく。
だが、男としては若干屈辱的な状況にも関わらず、気持ちよさはとてつもないものであった。
入り込んできた舌にこちらの舌をぶつけてあげると「んぅっ……」と声が漏れてきて高揚してくる。
そんな二人はあまりにもよそ様にお見せできない状況になり始めている。
周りに少なからず人通りはあったがそんなことは関係ない、俺たちの世界を邪魔させないという気持ちの方が強かった。
そんな長かったファーストキスもやがて終わりを告げる。唇との間にトロッとした液体が橋をかけてぷつんと切れる。
「はぁっ……、はぁっっ……、はぁー……。結構長くキスしちゃったな」
「んっぁっ……、んぁ、は、んん………。そー……だね。はぁ……、ムチューになってた……」
初めてのキスはとても甘いクリームのようなもので、先ほどまでの唇と舌の感触と味に酔いしれていた。
まだまだこれから滾り始めてきた熱をぶつけ合いたいとは思ったが、人の往来がある場所で続けるのもさすがに気まずい。最悪の場合は警察送りにされてしまう。
かろうじて理性を働かせることができた翔は先ほどの他愛ない会話をしていた距離に顔を戻す。
そんな翔を見て星菜も気付いてくれたのであろう、周りを見て顔をほのかに赤らめている。──キスをして高揚しているのかもしれないが。
「そういえばキャリーケース、地面に置いちゃって悪いな」
「いいよーっ。そもそも置かないとキスができなかったでしょ!」
『キス』という言葉に先ほどのキスの映像がフラッシュバックする。少し冷めてきた体が再び熱を取り戻した。チラッと隣に視線をやると言った本人も思い出したのか俺の反対側を向いていた。
「最初からディープキスとかすごい大胆だな」
「えっっ、初めての恋人のキスって舌を入れるもんじゃないの!? お姉ちゃんに騙されたぁっ!」
むしろ俺的にはラッキーである。初めてのキスで唇からのディープなんてしたことあるやつは俺以外に居ないだろ。そんな優越感に浸っていると星菜がいつの間にかもじもじとして視線をチラチラ向けながら、
「……やっぱ、もう我慢できないかも……。」
小声だったが俺たちは二人の世界に入っているのではっきりと聞こえた。
「俺もだ──、どっか入っておきたいけど……」
近くにホテルなんかはない、駅の近くなので少し歩けばあるにはあるのだが、俺たちはもうそこまで待てるほど冷静な状態じゃない。
「あそこの店で良いか? んっ……んっ!!」
近くの大衆向けの食事処を指差して振り向いたら唇を奪われていた。そこにはキスという目的を果たすため獣と化した星菜がいた。
「っ、ふ……」
柔らかな舌を入れるため必死に堅い口をこじあけようと攻めてくる。
こんなにも健気な姿を見せられると男の俺も応えないわけにはいかない。
「ふぇっ……ええ、ぅわっ!」
先ほどのお返しと言わんばかりに星菜の温かな口内に俺の舌を侵入させた。
相手の舌を味わうことに集中できるのも良かったが、こちらから舌で攻めるのも最高の感覚だった。
程よくヌルヌルとした名器に俺の細長いものをねじ込ませていく。
少し壁に触れてみれば星菜の体が「ビクッ」と動くのは男としてたまらない。
「んっ…ぐぅっ……」
そんな風に星菜の中を弄んでいると俺の舌に温かく柔らかいものが絡みついてくる。
侵入に負けじと抵抗してくる舌であるが、俺にとっては柔らかくしっとりとした感触に思考がとろけていた。
背中に電撃が走ったかのように全身を痺れさせる感覚を享受すると、もっと感じたいと子どもがおねだりするようにこちらから舌を差しだそうとひとりでに動かしてしまう。
そんな二人はキャリーケースを引きながら指差したお店へと進んでいく。周りと明らかに違う点は唇を合わせながら人の目を気にせず蕩けた顔をしている点である。
「んぁ、は……む、んん……ぷはぁ……」
もう数分はしているだろう行為に時折唇を離すタイミングがあった。息継ぎをするための小休止かと思ったが、それだけが理由ではなかった。
これまで続けてきた行為によって体が熱くなってしまい服を脱ぎたくなるのだが、キスしながら、歩きながら、服を脱ぐなんて高等なテクは俺たちにはないので、仕方なくキスを諦めるという選択をとった。
酸欠になってしまうので正しい選択ではあるのだが、『キス』しか頭にない二人にとっては無意識のうちに選ばれただけだ。
──なので、公衆の面前で互いに肌色の面積が多くなってもお構いなしである。
そうして服を脱ぐのだが頭が働いてない状況も相まってなかなか脱げない。星菜も同じようで首のところに服が引っかかっているのが見える。そんな状態なので胸元にライトグリーンの下着が丸見えである。
「んんっ! ぷはっ! ……可愛いの着けてるじゃん」
「はぁ…はぁ……、動きやすいのを、選んだ……だけだから。──あんま見ないで……っ」
少し恥ずかしがりながら流し目をする星菜に「キュンっ」とくるものを感じた。一生傍にいて可愛らしさの奥に秘められた蠱惑的な魅力を堪能したいと感じた。
「あむっ!! ん、ちゅっ……」
こちらからおでこがぶつかりそうになる距離まで近づいて、星菜の艶やかな唇を奪っていた。星菜の方も暴れまわったファーストキスとは異なり、じっくりと味わうような、長い間繋がっていたいことを表しているキスをするようになっていた。
互いの気持ちが高まっている煽情的なキスを経るのと同時に、身にまとっている服装まで変化していった。翔は下にテントを張ったトランクス一枚のみで、星菜は纏っていたブラウスとスカートを取っ払って、ライトグリーンの下着姿になっていた。誰かに見られでもすれば不審者二人として通報は免れないような状況にも関わらず、二人の愛の聖域では周りの煩わしい障害は些細なことであった。
やっとのことで目的の食事処の前に来た二人であるが、目は飢えた獣のようにギラついて、体からは湯気でも立っているかと錯覚するほど赤らめていた。
そこに店の前で順番待ちでもしていたのだろうか、ひとりの女性が待合席に座っていた。
「ひぃっ!」
常軌を逸しているキス魔の二人が近づいてくる恐怖から、顔をゆがめて一刻も早くその場から離れたいと言いたげに逃げ出していた。
「んんっ!! んん! ん……、さすがにっ、マズいよね……」
「んっっ! ふぁ……ぁ、ああ、これじゃぁ、入れないな──」
少し落ち着いて己の服装を改めて確認する。『変態』……そんな二文字が真っ先に浮かんでくる。パンイチの男なんて街中を歩いていても見かけることなんてない、引くレベルのヤバいやつだ。──今の俺がそんな恰好なのはヤバすぎるが。
対する星菜の格好も痴女としか言いようがない。大きくはないが女性であることをしっかりと主張しているブラジャーとビキニのパンツスタイルを思い起こさせる引き締まったパンティだけを纏っている。
男としてはそんなエッチな姿に注目をしてしまう中、下に目線を向けたときライトグリーンの真ん中が黒っぽくなっているのが見える。
これが濡れるってやつなのか! リアルで見たことのない初めての女体の神秘をまのあたりにして、俺は虜になっていた。
そんな濡れて変色してしまったパンティを見ていると、意識の外に追いやっていた俺の股間がギンギンと主張してくる。だが今は欲望に従えない、体を隠す方が先だ。
何か無いかとキャリーケースを調べると丈が異常に長く床についてしまうほどのコートが出てくる。それを見た星菜が、
「っ、そうだ! これを使って、どうにかならないかな。二人羽織みたいにさ」
「まあ、何もないよりはいいか」
宿泊学習先が夜は冷えるということで、大きめのコートを持ってきてはいたのだが、まさかこんな使い方をすることになるとは……
──そもそも最善は脱いだ服を着ればいいのだが、興奮冷めやらぬ二人にはその考えに至らなかった。
二人は体を寄せ合って、星菜が見えなくなるように翔がコートを羽織る。
ぶかぶかすぎて着ることが無かったのだがここにきて大活躍をしていた。
何とか前にあるボタンを閉められたのだが、体勢が非常にマズいことになっている。
前を見えるように星菜が俺の前方にいるのだが、密着を余儀なくされるので俺の体の前方が、ぴったりと星菜の少々骨ばっているがふんわりと包み込んでくれるような感覚のある背中側に触れている。
一度落ち着いたはずの相棒はすでに臨戦態勢になってしまっているので、星菜に硬い感触を返しているのがモロバレだろう。
しかし、そんな男の欲棒が押し付けられている状況に悪い気もせず、むしろ、
「んっ、……!」
向こうもほとぼりが冷めてないのだろう。甘い声が漏れてしまう星菜の喘ぎに俺は今にも白い欲望を出してしまいそうになる。
今この状況で出してしまうと俺のお腹とコートが悲惨な事件になってしまうので、気合で我慢する。……星菜の雪のように白くてきれいな背中にマーキングしてしまうのは魅力的だな……いや、だめだ。
相撲取りでも来たのかというコートを羽織った大柄な男がスーツケースを二台引いて大衆食堂に入店する。小さい頃はスポーツをやってそうな顔立ちとよく言われたので違和感は少ないだろう。
案内に来た店員も怪しげな客を入店拒否したそうな顔を見せるが、プロらしくマニュアル通りの案内を始める。
一方の翔はドキドキしていた。キスと密着による興奮は言わずもがなであったが、下着姿の男女が二人、しかもひとりは服の中に潜んでいる状況にひどく緊張していた。
ばれたら社会的に終了な極秘ミッションをやっているのだが、立ち止まっているのはさらに怪しいので案内についていく。
指定された位置にキャリーケースを置いて、案内された席に座ろうとすると反対側のソファーになっている席に人影が見える。どうやらひとりで来ていたOLの席の前に座ってしまっていたようである。
俺の姿を見て一瞬フリーズしたが、状況を受け入れたのか何食わぬ顔で食事を再開していた。
未だに緊張して動けないでいると、店の入り口からここまで案内してくれた店員が、
「申し訳ございません、椅子が用意できていませんでした。」
そう言って俺を案内するはずであったテーブルの、ソファー席の反対側に椅子が用意される。椅子が無かったのは気を遣ってソファー席に座りやすくしてくれたのだろうか。
「あら、行っちゃうの? せっかくだし、ご一緒しない?」
席を離れようとすると同席したOLが俺に相席の提案をしてくる。
しかし、裸同然でしかもコートの中に隠し娘までいる俺に受け入れる余地なんてものはなくて、右手を上げ掌を向ける。そして、横に首を振り彼女に否定の意思を伝える。
それを見て、「そう…」とみそ汁に手を伸ばしていた。
OLのテーブルを後にして隣の誰もいない席に移ったらまたソファー席に誰か人影がいる。移る方を間違えたかと思ったが、そんなことはなく案内をしてきた店員が前に座っていたのだ。
「先ほどはすみませんでした。今までこういう人を案内したことがなく、動揺してしまいました」
「いえ、こちらこそ気遣わせてしまったようで……」
「とはいえ、まだ涼しい時期とはいえコートを着てくるなんて、服とか気にしない方でしょ?」
「こんな格好なんでね、そうです……」
なんだこの店員は……俺の機嫌を取るためとはいえ向かいに座るもんじゃないだろ。自分の仕事をしてくれ。そんな言葉を飲み込む。
へんてこな会話をしていて座ってから進展しない状況にあきれ始めたのか、今まで息をひそめていた星菜が動き出す。会話の途中だろうかいつの間にか俺のトランクスは脱ぎ去られている。そして、だんだんと下降していってテーブルの下に向かうようだ。背中のスベスベな肌が大きくなった相棒を優しく擦りあげる。
声をあげそうになるがどうにか抑えて星菜に伝える。
「……今は周りに人が居るからそんなことできないぞ」
できる限りの小声で星菜に伝えたが、もぞもぞ動くのをやめてくれない。そしてきめ細かな首筋の感触を俺の怒張した部分が感じ取ったところで星菜の感触が一瞬消えた。
わかってくれたかと安心したのが間違いだった。
「んっ、んんうう」
「うぁっ!!」
姿は見えないが俺の敏感な部分に、星菜の包み込んでくれるような唇の感触が当たる。
まだ店員が目の前にいるというのにあまりの痺れから声をあげてしまう。
「お、お客様大丈夫ですか!?」
急に大声を出してきた怪しい客を店員としては接客しなくてはと、必死にこちらを観察する。
テーブルがあるおかげか下半身の変化には気付かれる様子はなさそうだ。こんなのがバレてしまったらどう説明をすればいいのだろうか……
答えることも忘れて星菜の口淫を楽しむ。
「ん、んぐぅぅ……ッ!」
「ぅんっ、ん、」
「んんっ、ぅっ……ふぁっ……」
必死に咥えているのか、俺を包み込んでくれる温かくしっとりとした感触はどんどん広がっていく。
ひとりでしたときには絶対に味わえない口の中という感触。噂では体が柔らかい人ならできるというが、体は硬いし俺にそんな趣味はもちろんない。
初めての感覚に俺は前にいる店員に気付かれないよう下唇を噛むことしかできなかった。
「んちゅ…じゅ…ん、はぁ…あぁ…ちゅう…チュ…」
時折、亀頭にキスをしてくれてもどかしさと鋭い刺激に身をよじる。
男としては単一の動き、触れるだけの動きなんかではイクことは容易じゃない。昂っているとはいえ刺激が足りず出すものが出せないのはなかなかにキツい。
そろそろ別の刺激がほしい、その想いが届いたのか
「んぐぐ!んんっ、んぐぅぅ!!」
「んぎっ、っっっ!!」
先ほどまでは咥えてたまに擦れるような感触を味わっていたのだが、今度はゆっくりと上下する動きが新たに登場してきた。出っ張った部分に星菜の唇が引っかかると「ゾクり」とした感覚が俺の体を駆けめぐる。
俺のモノは出そうとするいつもの動きにフィニッシュへの準備を始める。
それにともない下半身を中心に湧き上がってくる興奮はさらに高まっていた。
「んぶっ!ん、んぶぶっ!」
体の奥底からどんどんせりあがってきているものを感じる。
一番初めのキスから痛いほど勃ちあがっている俺のモノはすでに限界を迎えようとしていた。
好きな人にキスをしてさらにフェラをされているんだ、ここまで出さなかったことを褒めてほしいくらいだ。
「それではごゆっくりどうぞ」
こちらは人様に言えない状況にもかかわらず未だに座っていた店員。明らかに様子がおかしい客に怪訝そうな顔を向けたが、「大丈夫か。」と席から立ち上がりフロアへと移動していった。
さすがに目の前に会話している人がいる状況でフィニッシュするわけにもいかないだろう。と我慢していた翔は安堵する。
枷がなくなったことで発射の準備が万端となっていた。星菜の方も往復させるペースが上がってきていた。
「もう……、出すぞっ!」
ひねり出した声は周りには聞かれることなく、今もなお口淫をしている星菜にだけ届いていた──はずである。先ほどと変わらない速さで「じゅぷり」と俺のモノに奉仕し続けている。
そして俺は限界を迎えた。
「んくっ、っ、んっっっっ!!」
「ん、んっ、んんぐぅ! んん―――――!!!!」
──ビュクッ、ビュクッゥ……ビュゥルルルルゥゥゥ!!
己の溜め込んできた白い液体を星菜の汚れを知らない口に注ぎ込んだ。
マーキングして相手の所有権を主張するかのような征服感はとても気分がいい。
人には見せられない顔をしたところで慌てて横を見る。いつの間にか隣で相席を誘っていたOLもいなくなっていた。危うく男の蕩け顔を見られてしまうところであったので、翔は命拾いした。
テーブルの下からは「けほっ、けほっ」とせき込んだ声が耳に入ってくる。
初めてでしかも視界は光があまりなく不良な状態、それでも必死に気持ちよくなるようご奉仕してくれた星菜に、賢者になりかけた気分がさらに高まってしまう。
「けほっ、にがーい……」
飲まなくてもいいのにと思ったが、口にはしなかった。互いに高まって我慢できずにフェラを開始してしまう。その結果なんて向こうも知っているだろう。いきなりディープキスしてくるくらいだしな。
それに俺調べだが飲んでほしくない男なんていないだろう、俺は断然飲んでほしい派なので満足度は半端ない。
互いに満足してるのに野暮ってもんだ。
さて、俺は熱く滾っていたものをいったん解放できたので問題ないが、星菜はまだ己の欲望が燻ぶったままだろう。とはいえ場所も場所だ。こんな食事目的で来ている客の中で別の三大欲求を解消しに来る奴らなんているのだろうか。
ここに二人居るな、という浅はかな考えは頭から追い出すようにしていた。
「んっ、よいしょっと」
すると、声だけではどこにいるかわからなかった星菜の感触が再び俺のもとへとやってきた。
今度は腰回りに柔らかい感触を感じる。
「抱きついてきたのか」と思ったが、それにしてはぎこちない感じだ。そう思ってもう一つの答えに辿り着く。これは足ではないか?
おそらく挿入しやすいように俺の膝に座ってきたとかそんな辺りだろう。つまり、あっちもやる気満々ということだ。俺も先ほど出したばかりにもかかわらず、すでに硬さを取り戻しておりいつでも準備OKであった。
のだが、ここで心配事が出てきた。俺の顔の方に頭が出てきていないので、このままだとテーブルに頭をぶつけてしまうのではないか? そう思ってテーブルの下を確認する。
下を見ると星菜の可愛らしく白いすべすべな手が見える。
「ん?」
どういう体勢になっているのかわからず思考が停止してしまう。足は俺の腰に巻かれていて手は床に置かれている。しかも、手の先は俺とは逆を向いている……
「これって……まさか……押し車ってやつか!」
知識としては知っていたがエッチなビデオでもなかなか登場しない体位に俺は叫びそうになっていた。実際は周りに人が居るので小声で我慢した。
──そもそも押し車なんて知っている翔もなかなかではあるが、その体位を無意識にやってしまう星菜は無自覚スケベなのかもしれない。
体勢についての考察が終わったことでひとつの結論に至る。
(今ってもう挿入手前ってことでは……)
そう思うや否や亀頭が未知の感触を感じ取り始めた。
「んくぅ!」
俺の汁で濡らしてしまったかと思ったが、再度触れたときに確信を得る。──あちらが濡れている。つまりこれは星菜の濡れそぼったあそこの感触……
画面越しでしか見てこなかった女の人の大事な場所、それもモザイク付きで何となくしか見たことはない。
見えないという点は変わらないが、感触だけはリアルに感じることができる。二つのなだらかな山がありその間には溝となっている部分。その先には男の象徴を収める、男に存在しない穴が存在している。
そう考えただけでさらに期待とモノの大きさが増してしまう。
「はううっ!」
そんな折、割れ目を強く押してしまったのか可愛らしい嬌声が響いてきた。おそらく対となる存在を今か今かとヒクヒクさせながら待っているのだろう。
そうとなれば、ここは男からいかなければ無礼であろう。そう思い少し腰を上げて俺の男根を星菜の女陰へと導いていく。
実際に結合部が見えるわけでもなく俺も初めてなので、初回のチャレンジはつるんと滑ってしまう。しかし、ヌルヌルになっている割れ目に敏感な部分を擦りつけるのは、背中に電流が走ったのではないかと錯覚するほど気持ちよく、危うく暴発してしまうところだった。
下からも「んぁっっ!」と声を出さないよう我慢しつつも漏れてしまった声が聞こえてきた。
このままだと中に挿れる前に果ててしまうので、今度は慎重に狙いをさだめる。すると、滑ってしまいそうな割れ目の一部分に押し込めそうな部分を何とか見つける。俺は勢いをつけて肉棒を進めていく。
「ふぁぁあ!!はぁぁあん!」
「おおおおっっっっ!」
二人の嬌声が重なり合う。まだ亀頭を膣の入口の柔肉が包み込んでいるだけだが、意識が飛んでしまうほどの快感を与えていた。
熱くとろけるフェラも最高級であったが、男の肉棒を挿入するのに最適化した膣壁は至高の快楽を与えてくる。挿入後すぐ出してしまう気持ちを何とか抑えつつ、トロトロになった星菜の中を堪能する。
一方の星菜も快楽に溺れているのか声にならない声が聞こえてくる。
──初めては痛いんじゃないのか
そう思ったが今のところ痛がる様子は見受けられない。愛液が大量に出ていることでスムーズに動かすことができるからかもしれない。
このままでも気持ちがいいが更なる快感を求めるため、奥へと熱くなった肉のかたまりを進めていく。
「あ、ああ゛ぁぁっ!」
「んんっっ!」
侵入を進めるたびに抑えようとしていた声が漏れてしまう。店の中にも聞こえてしまっているのではないかと思うが、幸い注目をされている様子はなく男女の交わりは続いていく。
亀頭がすっぽり埋まってさらに竿を進めたところで、侵入が阻まれる部分に到着する。
興奮していた翔は少し勢いづけて押し込もうとしたところ……
「ひぎぃぃぃっ!? …………っ!?」
喘ぎ声とは違う耳を劈くような細い声が届いた。
──これがいわゆる処女喪失の痛みというやつか…
先っぽだけ挿入したときに痛がる素振りが見えなかったので、調子に乗ってずんずんと進めてしまっていた。
さすがの俺も快楽に身を任せるわけにはいかないと動きを止める。痛がらせるつもりは全然ない。二人で気持ちよくなりたいのが俺のゴールだ。コートごしに星菜がいるはずの場所、おしりを優しく撫でる。
「くぅッ……!はぁ…ぁ……っ……」
まだ痛みはひいてないだろうが若干の煽情的な声も混じった息を漏らしている。
少し待って動きを止めていると落ち着いてきたのだろうか、
「ぃ……、い……い……よ。……つづ……っ、け……て……」
痛みがあるのだろう、まだスムーズに声を出せなさそうだがこれより先の関係に進むため俺に懇願してくる。
正直なところ快楽にだけ溺れてほしいためまだ待ちたいが、時間があるわけでもない。この店でゆっくりするにしてもどのくらいいるかわからないし、俺の相棒もこれ以上の我慢ができない。
これ以上柔らかで絞ってくる膣壁に、先ほどまで童貞だった息子が包み込まれていると、中途半端に出してしまいそうになる。
初めてはしっかりと最大級の絶頂をむかえて果てたい。
再びの快楽を求め俺は、痛がらせないようにゆっくりと太い異物の侵入を始める。そんな俺の様子を感じて星菜は「ふふっ」とうれしそうに笑う。
俺たちなりのスピードで俺たちができる最大限の結果を求めていく。
「んっんっっはっ、はっ、、あっ、はっ、」
先ほどより苦悶の声が弱くなってきて俺を興奮させる喘ぎ声が聞こえてくる。
挿入したまま膣内に俺の肉棒の形を慣らしておいたのが良かったのかもしれない。
そのまま少しずつ慣らしていく陣地を着実に進めていく。
「っんくっ!」
先ほどまでは気付かなかったが、きつく狭い膣内は肉棒から出てくるエキスを欲しがりうねうねと動いている。男も敏感な部分を攻め立てられるタイミングでは声が出てしまう。
ほとんど俺の竿が飲み込まれたところまで来たときに、なにやらつきあたりに到着する。そのつきあたりに亀頭が触れたとき、
「あんッ!! ぁあ!! んぁぁっ!!!」
星菜の抑えながらも漏れていた声がひときわ大きくなる。
これ以上大きな声を出されたらまずいと、少しずつ肉棒を元来た絡みつくような道を通して引いていく。
こうして長い1往復が終わったのだが、もう俺の息子は発射準備万端になってしまっている。動きを止めていたとはいえ最上級の搾り器の中でとどまっていたのだ。大量発射まではいかなくても奥に届けることはできる量は出してしまうだろう。
しかし、まだこの性交渉を続けたい翔は素数を数えだす。──興奮を鎮めるためによく出てくるやつだ。
(2, 3, 5, 7, 11, 13, ……、初めてやってみたけど意外と効果あるな)
相変わらず星菜の中に翻弄はされるが、射精感は少し引いてきた。もう少しだけ人生最高の瞬間を楽しめそうだ。
「うっ、くー! は……んん……!」
数分ほど往復を繰り返すと、星菜からの痛みを伴う声は聞こえなくなり肉棒に突かれるたび体を震わせるようになっていた。
俺の方も少し冷静さを取り戻してどんな反応を見せてくれるかの余裕はできていた。
例えば、少し下の方を向けて肉棒が挿入されれば、
「ははぅん……!」
俺の興奮を加速させるひときわ可愛い声を出してくれる。
さらにつきあたりを再びぶつけてあげると、
「あ、は、はぁっ!!」
俺以外にも聞こえてしまっているのではないかというほどの感じ方をしてくれる。
そんな感じで徐々に速さを上げながら彼女の聖歌を聞いていたが、もう限界が近づいていた。すでに挿入段階でギリギリだったので、最高潮の瞬間をこれ以上は遅らせることはできないだろう。
「も、もう限界だ……出すぞっ!」
「んんっっ!!」
返事か喘ぎ声かわからなかったが、こちらとしては我慢ができないのでピストンのスピードを速めていく。
亀頭の出っ張りが何度も何度も肉壁に擦られていくことで、ぐつぐつと煮立った白いマグマが徐々にせりあがってくる。
「あっ、あぁイクッ、出るっ!」
「んーッ、ンッ!! んんん――――!!!!」
──ドクンッ、ドクンッ、ビュルルルッ、ビュルルルッ!!
俺は最愛なる星菜の深いところで己の白くドロドロした欲望を満たしていく。本来出されるべき場所にすべて出されることで、フワフワとした高揚感で満たされる。
星菜の方もイってしまったようで、俺の肉棒から出た精液を不規則な動きで絡めとっていく。それも相まって肉棒にわずかに残っていた精液をビュビュッとさせる。
「はぁあっ、あぁはぁ……」
互いに繋がっている感覚が絶頂をむかえた二人を優しく満たしていく。
このまま何時間でも繋がっていたいと、顔は見えないが別のところで伝え合う。
そんな至福の時間もやがて俺の肉棒の硬さがなくなっていくことで抜けてしまう。俺のそばから離れて遠くにいってしまう感覚がしてちょっと寂しい。
でも俺たちは疎遠になりかけていた関係性を逆に物理的な繋がりが深めて強固にしたのだ。
初めての愛の行為はこうして終わりを告げた。
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
あの後料理を注文して食べきった俺たちは店を出ていた。途中バレないようにコートの間から星菜に食べさせたりと楽しいひと時だった。
「そういえば夢中になってて忘れてたけど中に出しちゃったな……今度やるときはちゃんと避妊しないと」
「今日は大丈夫だとは思うけど、子ども出来ちゃったらどうしよっか。──あっ、ちょっと垂れてきた……」
「お前との子どもは欲しいに決まってるじゃないか。でも、今は大学生だしさすがにまだ養えないから卒業するまでは待ってくれ」
「ありゃ、遠まわしにプロポーズされちゃったかなっ! それなら私のこと大事にしてよね──」
「当たり前だろっ! もうお前のことしか考えられないんだから。一生をかけて大切にしてやるっ」
「うふふ、ありがとっ。うむっ」
俺の唇に優しく、でも恋人としてちょっとディープなキスをしてくれる。
高校時代は叶わないと思っていた夢が今、目の前に存在している。
俺なんかには贅沢ともいえる可愛らしさと美しさを兼ね備えている少女。
俺は絶対に星菜のこと、離さないと心に決めた。
-終-
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