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②ライバルは嵐のように
「コリン様って、異国の王太子なのでしょう?それなのにとてもお優しいし素敵だわ」
「あの異国の王太子なのに全然偉そうにしないし、みんなに平等で……しかもまだ婚約者がいらっしゃらないそうよ」
「まぁ、あんなに素敵な方なのに!不思議ねぇ」
「なんでも噂では年増の公爵令嬢に付きまとわれているとか……しかもコリン様と歳の近い自分の弟を使ってお見合いも全て邪魔されているそうよ」
「まぁぁぁ……なんて災難な……!いくら幼なじみだからって酷い話ね。弟さんもかわいそう。
それにしてもコリン様ったら、そんな年増すらにも紳士な態度でおられるなんてすごいわ」
うーむ、今日も令嬢たちの視線と悪意たっぷりな聞こえよがしの噂話が突き刺さる。
今日は用事があって学園に来ているのだが、ちょうどお昼だったのでルディと一緒に食べようと待ち合わせをしていた。同じ桃色の髪をしている私たちはどこからどうみても姉弟なので変な噂が立つこともなく安心してふたりで出掛けられるのだが……コリンが留学してきてからは3人でいることが増えたからか悪目立ちしているかもしれない。
ガゼボってこんなに居心地が悪い場所だったのね。私が学生の頃はよくここで昼寝してたのに……と、昔の平和を懐かしんでいた。
うぅ……とんでもない噂が飛び交ってるじゃないか!もしかしなくてもその年増の公爵令嬢って私の事だよね。
まぁ、確かにコリンはなにかと公爵家に遊びに来るし(同じく幼なじみのルディと遊ぶためだろうけど)私も一緒にいることが多いが、まさかルディまで巻き込んだ噂になっているとは驚いた。ごめん、弟よ。君はいつの間にか年増の姉の手先になっていたようだ。この噂のせいでルディまで婚約者作れなくなったらどうしよう。
「あのぅ……あなたがルゥナ・アレクサンドルトさんですかぁ?」
まだ姿を現さぬ実弟に懺悔しながらため息をついていると、柱の影からひょこりと可愛らしい容姿をした令嬢が顔を出してきた。
「?そうだけど……」
そのあまりに可愛らしい姿に思わず見惚れてしまう。
艶やかな黒髪をふわふわに巻いた長い髪と大粒のエメラルドのような綺麗な瞳。これだけでもお人形のように可愛いのだが、庇護欲をそそるようなその雰囲気が見るものを魅了するようなそんな令嬢である。年齢的にはまだ幼そうだが(12歳くらいかな?)将来有望だろう。うん、可愛い。
なんだろう、こう……昔こっそり読んだ母様の秀蔵の本に書いてあった『THE・ヒロインコレクション~ヒロインと言う生き物の実態と生態について語る~』に載っていた“キングオブ☆ヒロイン”ベスト3に出てきそうな令嬢なのだ!
母様は本を読むのが大好きで屋敷には図書館にも負けない程の本がある。ほとんどは実用書なのだけれど、たまにフィクションやファンタジーも混ざってるから昔は探検がてらよく本を探したっけ。
「あ、あのぅ!あなたがルゥナさんなんですよね?!あたし、あなたにお話があるんですぅ!」
つい考え込んで思考が飛んでしまった私にその令嬢がビシッと人差し指を向けてきた。
「あたしはビクトリア・ヨムンガルド伯爵令嬢……コリン様のお嫁さんですぅ!
だからもう、コリン様につきまとわないでくださいぃ!!」
「……え?」
“コリンのお嫁さん”と言う言葉に驚いていると、ビクトリア伯爵令嬢は「えっへん」と胸を張り大きな瞳を細めた。
「あたしとコリン様は運命の赤い糸で結ばれているんですぅ!ルゥナさんの入り込む隙間なんか無いんですよぉ?
あたしはライバルにはよーしゃしません!だから、コリン様の事は諦めて下さいねぇ?年増のお・ば・さ・ん」
そう言ってにっこりと人懐こい笑顔を見せると、足早に去っていったのだ。
嵐のような出来事に呆然としてしまったのだった。
「あの異国の王太子なのに全然偉そうにしないし、みんなに平等で……しかもまだ婚約者がいらっしゃらないそうよ」
「まぁ、あんなに素敵な方なのに!不思議ねぇ」
「なんでも噂では年増の公爵令嬢に付きまとわれているとか……しかもコリン様と歳の近い自分の弟を使ってお見合いも全て邪魔されているそうよ」
「まぁぁぁ……なんて災難な……!いくら幼なじみだからって酷い話ね。弟さんもかわいそう。
それにしてもコリン様ったら、そんな年増すらにも紳士な態度でおられるなんてすごいわ」
うーむ、今日も令嬢たちの視線と悪意たっぷりな聞こえよがしの噂話が突き刺さる。
今日は用事があって学園に来ているのだが、ちょうどお昼だったのでルディと一緒に食べようと待ち合わせをしていた。同じ桃色の髪をしている私たちはどこからどうみても姉弟なので変な噂が立つこともなく安心してふたりで出掛けられるのだが……コリンが留学してきてからは3人でいることが増えたからか悪目立ちしているかもしれない。
ガゼボってこんなに居心地が悪い場所だったのね。私が学生の頃はよくここで昼寝してたのに……と、昔の平和を懐かしんでいた。
うぅ……とんでもない噂が飛び交ってるじゃないか!もしかしなくてもその年増の公爵令嬢って私の事だよね。
まぁ、確かにコリンはなにかと公爵家に遊びに来るし(同じく幼なじみのルディと遊ぶためだろうけど)私も一緒にいることが多いが、まさかルディまで巻き込んだ噂になっているとは驚いた。ごめん、弟よ。君はいつの間にか年増の姉の手先になっていたようだ。この噂のせいでルディまで婚約者作れなくなったらどうしよう。
「あのぅ……あなたがルゥナ・アレクサンドルトさんですかぁ?」
まだ姿を現さぬ実弟に懺悔しながらため息をついていると、柱の影からひょこりと可愛らしい容姿をした令嬢が顔を出してきた。
「?そうだけど……」
そのあまりに可愛らしい姿に思わず見惚れてしまう。
艶やかな黒髪をふわふわに巻いた長い髪と大粒のエメラルドのような綺麗な瞳。これだけでもお人形のように可愛いのだが、庇護欲をそそるようなその雰囲気が見るものを魅了するようなそんな令嬢である。年齢的にはまだ幼そうだが(12歳くらいかな?)将来有望だろう。うん、可愛い。
なんだろう、こう……昔こっそり読んだ母様の秀蔵の本に書いてあった『THE・ヒロインコレクション~ヒロインと言う生き物の実態と生態について語る~』に載っていた“キングオブ☆ヒロイン”ベスト3に出てきそうな令嬢なのだ!
母様は本を読むのが大好きで屋敷には図書館にも負けない程の本がある。ほとんどは実用書なのだけれど、たまにフィクションやファンタジーも混ざってるから昔は探検がてらよく本を探したっけ。
「あ、あのぅ!あなたがルゥナさんなんですよね?!あたし、あなたにお話があるんですぅ!」
つい考え込んで思考が飛んでしまった私にその令嬢がビシッと人差し指を向けてきた。
「あたしはビクトリア・ヨムンガルド伯爵令嬢……コリン様のお嫁さんですぅ!
だからもう、コリン様につきまとわないでくださいぃ!!」
「……え?」
“コリンのお嫁さん”と言う言葉に驚いていると、ビクトリア伯爵令嬢は「えっへん」と胸を張り大きな瞳を細めた。
「あたしとコリン様は運命の赤い糸で結ばれているんですぅ!ルゥナさんの入り込む隙間なんか無いんですよぉ?
あたしはライバルにはよーしゃしません!だから、コリン様の事は諦めて下さいねぇ?年増のお・ば・さ・ん」
そう言ってにっこりと人懐こい笑顔を見せると、足早に去っていったのだ。
嵐のような出来事に呆然としてしまったのだった。
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