25 / 25
25。番外編 ユーキとフリージア
しおりを挟む
「ユーキ様って、本当になんでも作れるんですね!馬がいないのに走る馬車なんて初めて見ました!しかも広いし、キッチンまでついているなんてすごいです!」
キャンピングカーの中をキョロキョロと見渡しながらフリージアがはしゃいだ声をあげた。最初の頃のツンデレキャラはもはや見る影もないが、そんなフリージアの姿をユーキは微笑ましく感じていた。
ほらまぁ、ボクって拾った子猫は最後まで面倒を見るタイプだからさ。それに、ボクの無茶振りにも付き合ってくれるし、食べ慣れないだろう物を作って出してもなんの警戒心もなく食べる姿を見てたら多少は情が湧くってもんだろう?
なんだろう、ずっとツンツンしてた野良猫がボクの手から餌を食べた時の喜びのような……。まぁ、そんな感じさ。
「こら、フリージア。まだケガが治りきってないんだからおとなしくしてなよ」
「もう大丈夫ですよぉ。ユーキ様って意外と心配性ですよね」
セレーネお嬢の元から旅立ってからまだ半日程だったが、キャンピングカーは順調に進んでいた。この速さならオスカーからも逃げ切れるだろうと少しは安堵する。頑張って作ったかいがあったってものさ!
「それにしてもこんな乗り物まで作ってしまうなんて、ユーキ様に作れない物なんかないって感じですね!」
こらこら、運転中なんだから後ろで跳び跳ねるんじゃないよ。危ないだろ。ってことで自動操縦にしたよ。どのみちボク運転免許持ってないんだよね。いや、ちょっとハンドルを握ってみたかっただけなんだけどさ。
「あー、運転って肩が凝るなぁ。もう二度としないよ」
ボクが肩を回しながらキッチンスペースに行くとフリージアがすでにコーヒーを準備してくれていた。
「ユーキ様はぶらっくこーひーで、わたしはかふぇおれです」
ちなみにこの世界にコーヒーが無いってわかった時には衝撃を受けたよ。紅茶も飲むけどボクは断然コーヒー派なんだ。まぁ偶然森の中にコーヒー豆の代わりになる植物を見つけてそれを材料に生成できたからいいんだけどね。でもこの世界の人はコーヒー飲まないだろうからとセレーネお嬢にも教えてなかったんだけど、フリージアは特別に飲ませてみたよ。だって一緒に生活するのに隠れて飲むのなんて無理だろう?そしたらブラックコーヒーは苦くて飲めないけどカフェオレにしてみたら気に入ったみたいだね。もちろん他言無用さ。ふたりだけの内緒だよって言ったらなぜか赤くなったり飛び上がったりしていたけど……フリージアは見ていて飽きないよね。
「うん、ありがとう。いい香りだ」
フリージアもコーヒーを淹れるの上手くなったなぁ。今ではフリージアの淹れたコーヒーがないと物足らないんだよね。ついでにお茶請けにプリンがあれば言うこと無しさ。苦いコーヒーと甘いプリン。最高だろう?
「……一応言っておくけど、ボクにだって作れない物もあるからね?」
「そうなんですか?ユーキ様なら不可能はないって断言するかと思ってました」
熱いカフェオレをフーフーと冷ましながらフリージアが驚いたように目を丸くして言うが、ボクはそんな自信過剰じゃないよ?失礼な。
「ボクをなんだと思っているんだい?」
「えー、なんとなくユーキ様ならなんでも有りかと思いまして……。逆に作れない物ってなんなんですか?」
「ん?そうだなぁ……。未来や過去に行ったりする引き出しとか、物体を大きくしたり小さくしたりするライトとか、あっという間に違う場所に行けるドアとか?」
さすがに未来製の青い猫型ロボットみたいなのは無理だったよ。作ってみたかったけどこの世界にその材料は存在しなかったんだよね。
「……なんですかそれ?」
「……説明するとなると難しいかなぁ」
ボクが「うーん」と首を傾げるとフリージアは「ユーキ様も冗談を言うんですね」と、目を細めて楽しそうに笑った。
「まぁ、いいや。それよりもこれからどこに行こうか。フリージアはどこか行きたい場所はあるのかい?」
「わたしが決めていいんですか?」
「もちろんだよ。それにボクはセレーネお嬢がいた国以外はほぼ知らないからね、頼りにしてるよ」
するとフリージアは一気にカフェオレを飲み干すと目を輝かせて身を乗り出してきた。
「実は、昔から行ってみたかった所があるんです……!」
興奮気味にその場所の事を語るフリージアは、なんだか子供みたいで面白かった。
「よし、じゃあそこに行こう。途中に町があれば食料も買えるしね」
セレーネお嬢がくれた軍資金が尽きる前にどっかで商売もして稼がないといけないし、材料も調達しなきゃいけないなぁ。
「しばらくは退屈しないですみそうだ」
こうしてボクとフリージアを乗せたキャンピングカーは勢いよく走り出したのだった。
「さぁ、ユーキ様!お仕事もビシバシやりますよ~!」
「はいはい。フリージアは仕事熱心だね。在庫はいっぱいあるから頑張って売りさばいてよ」
「任せてください!ユーキ様の顔面さえあれば、24時間働けますからぁ!」
……ボクの顔面がなんだって?フリージアは時々よくわからないことを叫ぶんだよなぁ。まぁいいか。
「そんなに働かなくてもいいんだけど……まぁ程々にね」
その後、不思議な乗り物に乗った白衣の変人と看板娘が売りに来る便利グッズは瞬く間に評判となった。だが、なぜかひとつの街に長居することは無くあっという間に立ち去ってしまうのだとか。そして必ずその後を追ってくるようにひとつの人影が疾風の如く現れるそうなのだが……。
常人離れしたその人物は、一悶着起こしたりしながらひたすら走っているので誰にも捕まえることが出来ずその正体はわからずじまいだった。
キャンピングカーの中をキョロキョロと見渡しながらフリージアがはしゃいだ声をあげた。最初の頃のツンデレキャラはもはや見る影もないが、そんなフリージアの姿をユーキは微笑ましく感じていた。
ほらまぁ、ボクって拾った子猫は最後まで面倒を見るタイプだからさ。それに、ボクの無茶振りにも付き合ってくれるし、食べ慣れないだろう物を作って出してもなんの警戒心もなく食べる姿を見てたら多少は情が湧くってもんだろう?
なんだろう、ずっとツンツンしてた野良猫がボクの手から餌を食べた時の喜びのような……。まぁ、そんな感じさ。
「こら、フリージア。まだケガが治りきってないんだからおとなしくしてなよ」
「もう大丈夫ですよぉ。ユーキ様って意外と心配性ですよね」
セレーネお嬢の元から旅立ってからまだ半日程だったが、キャンピングカーは順調に進んでいた。この速さならオスカーからも逃げ切れるだろうと少しは安堵する。頑張って作ったかいがあったってものさ!
「それにしてもこんな乗り物まで作ってしまうなんて、ユーキ様に作れない物なんかないって感じですね!」
こらこら、運転中なんだから後ろで跳び跳ねるんじゃないよ。危ないだろ。ってことで自動操縦にしたよ。どのみちボク運転免許持ってないんだよね。いや、ちょっとハンドルを握ってみたかっただけなんだけどさ。
「あー、運転って肩が凝るなぁ。もう二度としないよ」
ボクが肩を回しながらキッチンスペースに行くとフリージアがすでにコーヒーを準備してくれていた。
「ユーキ様はぶらっくこーひーで、わたしはかふぇおれです」
ちなみにこの世界にコーヒーが無いってわかった時には衝撃を受けたよ。紅茶も飲むけどボクは断然コーヒー派なんだ。まぁ偶然森の中にコーヒー豆の代わりになる植物を見つけてそれを材料に生成できたからいいんだけどね。でもこの世界の人はコーヒー飲まないだろうからとセレーネお嬢にも教えてなかったんだけど、フリージアは特別に飲ませてみたよ。だって一緒に生活するのに隠れて飲むのなんて無理だろう?そしたらブラックコーヒーは苦くて飲めないけどカフェオレにしてみたら気に入ったみたいだね。もちろん他言無用さ。ふたりだけの内緒だよって言ったらなぜか赤くなったり飛び上がったりしていたけど……フリージアは見ていて飽きないよね。
「うん、ありがとう。いい香りだ」
フリージアもコーヒーを淹れるの上手くなったなぁ。今ではフリージアの淹れたコーヒーがないと物足らないんだよね。ついでにお茶請けにプリンがあれば言うこと無しさ。苦いコーヒーと甘いプリン。最高だろう?
「……一応言っておくけど、ボクにだって作れない物もあるからね?」
「そうなんですか?ユーキ様なら不可能はないって断言するかと思ってました」
熱いカフェオレをフーフーと冷ましながらフリージアが驚いたように目を丸くして言うが、ボクはそんな自信過剰じゃないよ?失礼な。
「ボクをなんだと思っているんだい?」
「えー、なんとなくユーキ様ならなんでも有りかと思いまして……。逆に作れない物ってなんなんですか?」
「ん?そうだなぁ……。未来や過去に行ったりする引き出しとか、物体を大きくしたり小さくしたりするライトとか、あっという間に違う場所に行けるドアとか?」
さすがに未来製の青い猫型ロボットみたいなのは無理だったよ。作ってみたかったけどこの世界にその材料は存在しなかったんだよね。
「……なんですかそれ?」
「……説明するとなると難しいかなぁ」
ボクが「うーん」と首を傾げるとフリージアは「ユーキ様も冗談を言うんですね」と、目を細めて楽しそうに笑った。
「まぁ、いいや。それよりもこれからどこに行こうか。フリージアはどこか行きたい場所はあるのかい?」
「わたしが決めていいんですか?」
「もちろんだよ。それにボクはセレーネお嬢がいた国以外はほぼ知らないからね、頼りにしてるよ」
するとフリージアは一気にカフェオレを飲み干すと目を輝かせて身を乗り出してきた。
「実は、昔から行ってみたかった所があるんです……!」
興奮気味にその場所の事を語るフリージアは、なんだか子供みたいで面白かった。
「よし、じゃあそこに行こう。途中に町があれば食料も買えるしね」
セレーネお嬢がくれた軍資金が尽きる前にどっかで商売もして稼がないといけないし、材料も調達しなきゃいけないなぁ。
「しばらくは退屈しないですみそうだ」
こうしてボクとフリージアを乗せたキャンピングカーは勢いよく走り出したのだった。
「さぁ、ユーキ様!お仕事もビシバシやりますよ~!」
「はいはい。フリージアは仕事熱心だね。在庫はいっぱいあるから頑張って売りさばいてよ」
「任せてください!ユーキ様の顔面さえあれば、24時間働けますからぁ!」
……ボクの顔面がなんだって?フリージアは時々よくわからないことを叫ぶんだよなぁ。まぁいいか。
「そんなに働かなくてもいいんだけど……まぁ程々にね」
その後、不思議な乗り物に乗った白衣の変人と看板娘が売りに来る便利グッズは瞬く間に評判となった。だが、なぜかひとつの街に長居することは無くあっという間に立ち去ってしまうのだとか。そして必ずその後を追ってくるようにひとつの人影が疾風の如く現れるそうなのだが……。
常人離れしたその人物は、一悶着起こしたりしながらひたすら走っているので誰にも捕まえることが出来ずその正体はわからずじまいだった。
466
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(20件)
あなたにおすすめの小説
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
「『お前に書く手紙などない』と言った婚約者へ、私は7年間手紙を書き続けた——ただし、届け先は別の人でした」
歩人
ファンタジー
辺境伯令嬢リゼットは、婚約者に7年間手紙を書き続けた。返事は一度もなかった。
「お前に書く手紙などない。顔も覚えていない」——婚約破棄。しかしリゼットは
泣かなかった。手紙の本当の届け先は、最初から別にあったから。前世の情報分析
能力で辺境の異変を読み解き、暗号として織り込んだ7年分の手紙。それを受け取り
続けていたのは第一王子。リゼットは誰にも知られず、王国を守っていた。
婚約破棄の翌朝、王子からの手紙が届く。「7年間、ありがとう。迎えに行く」
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
砂の揺籠
哀川アルマ
ファンタジー
ハーブロート公爵家の愛人の子、レイラ・ハーブロート公爵令嬢は、典型的な我儘令嬢でどうしようもないと噂される。
義母も相当な放蕩な女で、苦労している姉のシローヌ・ハーブロート公爵令嬢に同情の声が寄せられ、ハーブロート公爵の名声は地に落ちつつあった。
王太子妃の開いたお茶会でも暴れるレイラだが…?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
初の投稿です。
楽しんでいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
そもそもとして、もっと早く婚約破棄出来たのでは?
なんか主人公も詰めが甘いし、オスカーの顛末をギャグにしちゃったのが面白くなかったです。
シリアステイストの方が設定が映えた気がしますね。
感想ありがとうございます!
シリアスを書くのが苦手なのでついギャグに走ってしまうんです。すみません(^_^;)
オーガ拘束用の鎖で馬鹿王子を捕縛しますか。
感想ありがとうございます!
確かに、それくらいのを用意しないと捕まえられない気がします……!
オスカーはキモいし野放しは危険なのですぐに捕獲してどっかに幽閉してください(笑)
ユーキがかわいそうすぎる🥺
感想ありがとうございます!
残念王子、ここに極まれり……(^_^;)
捕獲してもすぐに逃げてしまうのでどうしたものかみんなが頭を悩ませております(笑)
ユーキ、頑張って逃げて〜っ