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番外編 ルゥナの日記②
しおりを挟むルゥナ・アレクサンドルト(16歳)の日記より一部抜粋。
ど、どうしよう!どうしよう!?どうしようぅぅぅ!!
なんかもう頭がパニックで考えがまとまらないので、とりあえず日記に書きながら考えようと思う……。
今日は異国へ遊びに来た。遊びにって言っても異国の王太子の誕生日パーティーにお呼ばれしたのだ。
異国の王太子の名前はコリン。10年前のあのときに産まれた赤ちゃんで……私の幼なじみで大切な弟分でもある。
あんなにふにゃふにゃな赤ちゃんだったのに子供の成長とは早いもので……今では立派な美少年に育っている。
そう、私の弟であるルディとはひとつしか違わないし、私にとってはオムツだって替えたことのある弟も同然な男の子だ。だが、会う度に甘えてくれるし母性本能をくすぐられているのかやたらと可愛い。愛でて撫で回したいと葛藤するほどだ。
ずっと昔に約束したんだからと、一緒に躍ろうと言われたこともある。確かに小さい頃は私もお転婆だったから飛んだり跳ねたりしていたけど、さすがにもうあんなに跳ねれないと断りたかったのだが……コリンのうるうる瞳に負けて踊ったりもした。うぅ、スカートでこんなの踊ったら全部見えちゃうわ。っていうか、そんな約束した?って聞いたらうるうるされた。……どうやらしたらしい。
確か私のルーナおばあちゃまは踊り子だったと聞いていたけれど、どんなふうに躍るのか見てみたかったなぁ。とも思う。
そう言えば、 最近やたらと背の伸びたコリンはあどけなさも残しながら妖艶な微笑みをする完璧美少年になっていて、よその国からお見合いの申し込みが殺到しているそうだと聞いた。これはからかってやらねばと意気揚々と会いに来たのに……。
「僕はずっとルゥナのことが好きだよ」
と告白されるなんて思いもしなかったのだ。
「わ、私は6歳も年上だし……」
「ルゥナは童顔だから気にならないよ」
「で、でも、コリンのオムツだって替えたことあるのに……」
「と言うことは、僕の全部をもう知ってるってことだよね?」
なぜ私は6歳も年下の男の子相手にドギマギしているのか……。よくわからないけど、なぜかコリンの雰囲気がいつもより大人びていてやたらとドキドキしてしまったのだ。
「ルゥナは誰か好きな人がいるの?」
「へっ?いや、いないけど……」
「じゃあ、僕と結婚して?」
「へ?え?えぇぇぇえぇぇ?!」
告白に続いての突然のプロポーズにひたすら驚くしかなかった……。
その後、コリンを説得しようと奮闘していたのに……私たちのことをこっそり見ていたルディがそれをレベッカおばさまや一緒に異国に来ていた父様たちに報告したせいで大騒ぎになってしまったのだ。あとでゲンコツよ!
まさかコリンがお見合い話を「好きな人がいるから」と全て断っていて、まさかその相手が私だなんてわかるわけがない。
そりゃ、コリンの事は嫌いじゃないしどちらかというと好きだけど、そんな10歳の子供相手に恋愛感情なんか持てるわけないじゃないか。私はショタコンじゃないのよ!
「じゃあ、僕が大人になるまでにルゥナに好きな人が出来たら諦めるよ。だから、僕にもチャンスをちょうだい?」
なんてあざと可愛い笑顔でお願いされたら断れるわけもなく……。
「……か、格好良くなってたら考えてあげるわ」
なんて変な強がりを言ってしまった。
あぁ……父様、母様、天国のルーナおばあちゃま。ルゥナはどうやらショタコンだったみたいです。
でも、コリンの微笑みには勝てません────!
***
「コリンは昔っから姉上の事を大好きだって言ってたけど、結婚したいって本気だったんだね」
「当たり前だよ、ルディ。なんのために君に頼んでルゥナの好みのタイプとか何に弱いかとか調べてもらったと思ってるのさ?」
「確かに、姉上って自分に甘えてくれる母性本能をくすぐるタイプに弱いみたいだとは言ったけど……(めんどくさいからいつも姉上がコリンの事を言ってるのをそのまま伝えたのにまさかこんなことになるとはなぁ)。まぁ、義理の兄がコリンなら気を遣わなくていいし頑張って」
「ありがとう、未来の弟よ!」
とりあえず数年後にどうなっているかはわからないが、ルゥナの心情以外は平和である。
終わり
※スピンオフ「幼なじみの年下王太子は取り扱い注意!」へ続く……。
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