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《17》悪役令嬢は一応気にする
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「……えーと、これってどんな状況なの?御主人様」
いつもの如く、いつの間にか私の背後にいたルークが後ろから私を抱きしめながら首を傾げていた。えー、もう、好き。その疑問顔もプライスレス!
「ルーク、いつの間に……。皇子はどうしたの?」
思わず見惚れそうになるのをぐっと我慢して問うと、なんだか爽やかな笑みを向けられた。やだ、素敵な微笑み。好き。
「ん?今すぐ(御主人様を)獣人の国に連れて行くとかなんとか騒いで誘拐しようと企んでいたから、柱にくくりつけておいたよ」
「まぁ!話し合いが終わるのも待たずに(ルークを)連れ去ろうとするなんて……!やっぱりお母様に説得してもらって正解だったわ!」
「説得って……あの猫耳のおっさんを?」
「もう、ルークったら……猫耳のおっさんだなんて、あれは獣人の皇帝よ?不敬になっちゃうわ」
誰かに聞かれたら大変だと、思わず人差し指を立てて「シーッ!」と唇に当てる。ルークは「ごめんごめん。……まぁ、アレに比べたら誰も気にしないと思うけど」と視線を動かした。
「それは、まぁ……。でもねーーーー」
確かに私もちょっとだけそうかなって思っていた。だって……。
「おーほほほほほほ!さぁ、泣いて叫んで服従なさい!」
「ぎゃーーーーっ」
お母様に説得を頼んだら、皇帝を簀巻きにして天井から吊るし、高笑いしながら鞭打ちを始めたのだ。さすがに過激では?と戸惑ったが、お母様曰く昔からこの皇帝とのコミュニケーションはこうゆうものらしい。それになによりも、私が真剣に訴えているのに「……皇子が、ルー?……え、誰と交際だって?えっ、どういう……?」と、まるで何も知らないみたいな顔ですっとぼけられたので助けようとも思わなかったのだが。
「お母様は皇帝とは仲良しの幼馴染みらしくて、このちょっぴり過激な遊びが唯一のコミュニケーション方法らしいの。昔からこの方法ならなんでも言うことを聞いてくれたそうなのよ!」
「わぁーお、鞭の女王様かぁ。おっかないね」
ルークがにっこりと笑ったが、なぜかその目は笑っていない。どうしてそんな遠くを見ているのかしら?
うーん、それにしても前世の記憶を思い出してからは驚く事ばかりだ。まさか獣人がこんなコミュニケーションを好むだなんてゲームではわからなかったもの。(というか、ゲームには獣人とか出てこなかったし)
「人と獣人が分かり合うのって大変なのね。あまり交流が無いのも致し方ない気がするわ」
「そうだね、御主人様は獣人とは関わり合いにならないほうがいいと思うよ(たぶんこんなコミュニケーションとってるのって、この人たちだけだと思うけど)」
そしてその後ーーーー。
簀巻きから解放された皇帝は毛布にくるまって震えているのだが、お母様は「久々の再会で感極まったのよ」と言っていたので問題はないらしい。もちろん皇子のプロポーズ問題も無かったことにしてくれた。さすがお母様、説得上手だわ!極度の人見知り(獣人皇帝は当てはまらず)以外は頼りになるお母様であった。
「なんなら、もっと遊んであげてもいいのだけれど……」
久々の鞭が楽しかったのか、お母様が楽しそうに笑みを浮かべる。普段人見知りで天井裏の住人になっているお母様がこんなに快活になるのは喜ばしい事だが、私としてもルークの事さえ諦めてくれればこれ以上は説得してもらう事もないしなぁ。それに……。
「あんまり度が過ぎると、ややこしい案件になりそうな予感がするわ」
「ははは、もうじゅうぶんにややこしい案件になってると思うけど」
ルークが乾いた笑いをしながらポツリとなにかを呟く。よく聞こえなくて聞き返そうとしたその時。
「そこまでよ、マーリちゃん!はい、知らない人!」「お、奥様……ふごっ?!」
と、突如現れた見覚えのある人たちが、見覚えのない人をお母様に投げつけてきたのだ。誰かしら、あの人。いきなりぶん投げられて床に激突して失神してるみたいだけど?!
「し、ししししし、知らない人ぉぉぉ?!」
驚いたお母様が鞭を放り投げ天井裏に逃げ込むと、「ホホホ」と上品な声が響いた。
「相変わらず、人見知りなのねぇ。その子はわたくしの新しい従者よ。それはともかく、それ以上やったら国際問題になるからやめておきなさいな」
「母親になって落ち着いたかと思ったら、相変わらずお転婆な娘だ……」
そう言ってお母様そっくりな微笑みを浮かべて立っていたのは、なんとお母様のお母様……秘境に住むお祖母様とお祖父様だったのだ。
お母様の母国は獣人の国とも多少関わりのある秘境である。だからお祖母様たちにとったら国際問題は困るわけで……えーと、その獣人の皇帝、足で踏んでますよ?
「あら、失礼。ほほほほほ」
「こっちも相変わらず、マーリが苦手みたいだなぁ」
やっぱり誰も、国際問題なんか気にしてなさそうである。
いつもの如く、いつの間にか私の背後にいたルークが後ろから私を抱きしめながら首を傾げていた。えー、もう、好き。その疑問顔もプライスレス!
「ルーク、いつの間に……。皇子はどうしたの?」
思わず見惚れそうになるのをぐっと我慢して問うと、なんだか爽やかな笑みを向けられた。やだ、素敵な微笑み。好き。
「ん?今すぐ(御主人様を)獣人の国に連れて行くとかなんとか騒いで誘拐しようと企んでいたから、柱にくくりつけておいたよ」
「まぁ!話し合いが終わるのも待たずに(ルークを)連れ去ろうとするなんて……!やっぱりお母様に説得してもらって正解だったわ!」
「説得って……あの猫耳のおっさんを?」
「もう、ルークったら……猫耳のおっさんだなんて、あれは獣人の皇帝よ?不敬になっちゃうわ」
誰かに聞かれたら大変だと、思わず人差し指を立てて「シーッ!」と唇に当てる。ルークは「ごめんごめん。……まぁ、アレに比べたら誰も気にしないと思うけど」と視線を動かした。
「それは、まぁ……。でもねーーーー」
確かに私もちょっとだけそうかなって思っていた。だって……。
「おーほほほほほほ!さぁ、泣いて叫んで服従なさい!」
「ぎゃーーーーっ」
お母様に説得を頼んだら、皇帝を簀巻きにして天井から吊るし、高笑いしながら鞭打ちを始めたのだ。さすがに過激では?と戸惑ったが、お母様曰く昔からこの皇帝とのコミュニケーションはこうゆうものらしい。それになによりも、私が真剣に訴えているのに「……皇子が、ルー?……え、誰と交際だって?えっ、どういう……?」と、まるで何も知らないみたいな顔ですっとぼけられたので助けようとも思わなかったのだが。
「お母様は皇帝とは仲良しの幼馴染みらしくて、このちょっぴり過激な遊びが唯一のコミュニケーション方法らしいの。昔からこの方法ならなんでも言うことを聞いてくれたそうなのよ!」
「わぁーお、鞭の女王様かぁ。おっかないね」
ルークがにっこりと笑ったが、なぜかその目は笑っていない。どうしてそんな遠くを見ているのかしら?
うーん、それにしても前世の記憶を思い出してからは驚く事ばかりだ。まさか獣人がこんなコミュニケーションを好むだなんてゲームではわからなかったもの。(というか、ゲームには獣人とか出てこなかったし)
「人と獣人が分かり合うのって大変なのね。あまり交流が無いのも致し方ない気がするわ」
「そうだね、御主人様は獣人とは関わり合いにならないほうがいいと思うよ(たぶんこんなコミュニケーションとってるのって、この人たちだけだと思うけど)」
そしてその後ーーーー。
簀巻きから解放された皇帝は毛布にくるまって震えているのだが、お母様は「久々の再会で感極まったのよ」と言っていたので問題はないらしい。もちろん皇子のプロポーズ問題も無かったことにしてくれた。さすがお母様、説得上手だわ!極度の人見知り(獣人皇帝は当てはまらず)以外は頼りになるお母様であった。
「なんなら、もっと遊んであげてもいいのだけれど……」
久々の鞭が楽しかったのか、お母様が楽しそうに笑みを浮かべる。普段人見知りで天井裏の住人になっているお母様がこんなに快活になるのは喜ばしい事だが、私としてもルークの事さえ諦めてくれればこれ以上は説得してもらう事もないしなぁ。それに……。
「あんまり度が過ぎると、ややこしい案件になりそうな予感がするわ」
「ははは、もうじゅうぶんにややこしい案件になってると思うけど」
ルークが乾いた笑いをしながらポツリとなにかを呟く。よく聞こえなくて聞き返そうとしたその時。
「そこまでよ、マーリちゃん!はい、知らない人!」「お、奥様……ふごっ?!」
と、突如現れた見覚えのある人たちが、見覚えのない人をお母様に投げつけてきたのだ。誰かしら、あの人。いきなりぶん投げられて床に激突して失神してるみたいだけど?!
「し、ししししし、知らない人ぉぉぉ?!」
驚いたお母様が鞭を放り投げ天井裏に逃げ込むと、「ホホホ」と上品な声が響いた。
「相変わらず、人見知りなのねぇ。その子はわたくしの新しい従者よ。それはともかく、それ以上やったら国際問題になるからやめておきなさいな」
「母親になって落ち着いたかと思ったら、相変わらずお転婆な娘だ……」
そう言ってお母様そっくりな微笑みを浮かべて立っていたのは、なんとお母様のお母様……秘境に住むお祖母様とお祖父様だったのだ。
お母様の母国は獣人の国とも多少関わりのある秘境である。だからお祖母様たちにとったら国際問題は困るわけで……えーと、その獣人の皇帝、足で踏んでますよ?
「あら、失礼。ほほほほほ」
「こっちも相変わらず、マーリが苦手みたいだなぁ」
やっぱり誰も、国際問題なんか気にしてなさそうである。
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