【完結】ヒロインはラスボスがお好き

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願望がただ漏れしてしまった。

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    みなさん、こんにちは!アイリ・ルーベンス、15歳になりました!
 
 今週中に入寮して、来週から学園が始まります。入学式からがゲームのストーリー開始で、ゲームでは初日から攻略対象者たちと顔を会わせたりミニイベントがおきたり悪役令嬢に目をつけられるなどの予定となっておりますが、ルーちゃんとは寮の部屋は絶対隣がいいね!と約束してる親友だし(その時ルーちゃんが「そんなにわたくしの隣がいいなら、そうなるように全権力を使ってそうしてあげても、よくてよ?」と手をもじもじさせながら顔をツンとしつつ、横目で私の反応をチラチラと見ながら言ったのがものすごく可愛かったので全力でお願いした。使えるものは親の権力でも絞って1滴残らず使おう!が私とルーちゃんのモットーである)、攻略対象者たちの変態へのフラグはオープニングムービー時点で全てへし折ったはずなので、私の学園生活は安泰のはずである。

 でもここでひとつだけ問題が発生した。それは、攻略対象者たちとのイベントをクリアしないと吸血鬼の呪いが発覚しないことだ。
 発覚しないと、吸血鬼はラストまでほぼ出てこない。つまり、このままではゲーム終了時にちょろっと出て来るだけになってしまう可能性があるのだ。

 しかし、せっかく関わらないで済む攻略対象者たちとはかかわり合いになりたくない。なので考えた結果……。

 直接、吸血鬼様を口説くことにしました☆

 ちなみに吸血鬼様の住み処は迷いの森と言われる恐ろしい森の奥にある。え?なんで知ってるかって?

    そんなの、もちろん前世の記憶で裏公式設定にある吸血鬼様の情報を暗記して詠唱できるくらいに覚えていたからである。もちろんスリーサイズから性癖までバッチリ思い出した。
 ストーカー?上等だ。自分のことよりも吸血鬼様の情報を丸暗記していた前世の私、ぐっじょぶ!

 そんなわけで現在、森の中をさ迷い中。でもなんとなく道がわかる(直感)。たぶん吸血鬼の呪いと祝福のおかげだろう。通常ならこの森は散々迷ったあげくに元の道に戻るか、全く違う所に出てしまい森の中心部にはたどり着けないのだ。

 木々が揺れ、天候が怪しくなってきた。頭上からパタパタと音がして見上げると、小さなコウモリが数匹飛び回っている。

「わぁ、可愛いー」

 私は背中のリュックからいくつか果物を取り出してコウモリたちに見せた。

「おいでー」

 コウモリたちはしばらく警戒していたが一匹がフラフラと果物にピトっとくっつくと、残りのコウモリたちも次々とやって来て果物の果汁を啜り始める。裏公式設定ではこの森のコウモリはほとんどがフルーツや樹液を食する種類で危険は無いと書いてあった。
 私は吸血鬼ラブになってからは吸血鬼の眷属にあたるコウモリが可愛く見えてしょうがないので全然怖くない。お腹いっぱいになったコウモリ(最初の一匹)が私の頭の上に留まり羽をパタパタと動かした。

「きゅいっきゅいっ」

 なにその鳴き声。めっちゃ可愛い。さらにコウモリが好きになった瞬間であった。

 私の頭をツンツンとつつき、ある方向を示す。どうやら道を教えてくれてるようだ。

「吸血鬼様の所に連れてってくれるの?」

「きゅいっ」

 なんとなくわかる(直感)と進んでいたけどやはり合っていたようだ。そしてしばらく進むと立派なお城が見えた。

 飾ってある旗も外壁もボロボロでいかにも廃墟なお城だったが、ここに吸血鬼様がいると思うとまるでシンデレラ城のようだった。私は門の所にいき、ノッカーを使ってコンコンと門を叩く。

「吸血鬼様いらっしゃいますか?」

「きゅいっ」

 すると生温い風が吹き、私を包んだ。

『……!!立ち去れ』

 風に運ばれてどこからか声が聞こえる。この声は、この超絶イケメンボイスは……!!と、私は感動で身震いした。

『震えるほど恐ろしいのなら今すぐ立ち去れ。どうやってコウモリを手懐けたか知らんが、俺様の眷属に何かしたらお前の命は無いと思え』

 はっ!いかん、感動しすぎて気絶するところだった。

「私は吸血鬼様に会いに来たんです。コウモリは餌付けしました!」

「きゅいっ」

 私の頭の上でコウモリがどや顔で鳴いた。

『……そうか、空腹でいたところを仲間共々助けられたと……。俺様に会いたがっていたからお礼に連れてきた…と』

 え。このコウモリ、あの鳴き声でそんな説明してたの?どこにそんな長いセリフ入ってたの?

『……わかった、では面会を許可しよう』

 城の門が古びた音を立てて開いた。中を覗くと長い廊下に手前から順に灯りがつき奥の部屋へと道を示した。

「きゅいっ」

 コウモリが、こっちだよ!と言いたげに羽を動かした。うん、これなら私にもわかる。そして奥の部屋の扉を開き、一歩中へと進む。

『……ようこそ、人間の娘よ』

「!!」

 そこには、艶やかな黒い髪とルビーのような紅い瞳をした超絶イケメンが超絶イケメンボイスを携えてソファーに座っていた。

 ……あぁ、本物が、本物が目の前にいる……!

『俺様が怖いか。まぁ、無理もない。それで俺様に会いに来た用件はなんだ?コウモリの恩があるからな、今回だけは殺さずに聞いてやる』

 私は両手を握りしめて、思わず願望のままに叫んでしまった。

「私の観賞用になってください!!」

『…………は?』



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