15 / 58
完璧なる毒舌執事が素敵すぎる
しおりを挟む
入寮当日の朝。
私は馬車に荷物を乗せ終えた吸血鬼様こと執事のセバスチャンと一緒に家族に別れの挨拶をしていた。
「では、いってまいります。お父様、お母様、ウィリー」
私と同じピンクゴールドの髪とエメラルドグリーンの瞳の今年で5歳になる可愛い弟(予告通りちゃんと産まれました)がうるうると涙を浮かべて私の服の裾を掴んだ。
「お姉さま、もう会えないの?」
「長期休みには必ず帰ってくるからすぐ会えるわ。そしたらいっぱい遊んであげるわね。だからいい子にしているのよ?」
ウィリーはこくんと頷き、はにゃっと笑った。
あぁ、可愛い!私の弟が可愛い!すでに世界一いい子です!
「うん、わかりました。セバスちゃん、お姉さまをお願いしますね!悪いやつらから守ってくださいね!」
ウィリーは「セバスチャン」と教えても「セバスちゃん」だと思っているのでちょっと発音が違う。だが、可愛いから全て許されるのだ。
セバスチャンはウィリーに視線を合わせてにっこりと笑った。
「ご安心下さい、ウィリー様。アイリ様なら自力でも相手を全殺しにできます」
全部、殺したらダメな気がする。でもウィリーは、ぱぁっと顔を輝かせた。
「お姉さまなら、めりけんさっくでむてきですね!」
はい、ルーちゃんが、ルーちゃんのボディーガードさん特製の私の手のサイズに合わせた新しいメリケンサックをプレゼントしてくれました。その効果は絶大です。
家族や使用人の中では、セバスチャンは最近やって来た遠い親戚から紹介された私の専属執事として認識していて、私のことはセバスチャンに任せておけば安心!となっている。(お世話してくれる侍女はもちろんいたのだが、結婚するので役目を交代してその人は引退した)
「アイリ、セバスチャンに迷惑をかけないようにね」
「セバスチャンに嫌われるようなことだけはしてはいけませんよ」
セバスチャンを連れ帰って数日。最初の基本設定だけは催眠術をかけて思い込ませたけど、それ以外はセバスチャンは実力で私の世話をこなしていた。(おもに暴走を止めておとなしくさせる)
おかげで、あのメリケンサック振り回して暴走していた娘が人並みにおとなしくなったとか、女の子らしい振る舞いをできるようになった(セバスチャンの色気オーラに鼻血を我慢して動きがとまった)とかと大喜びし、もう私の操縦はセバスチャンにしか出来ない!と家族&使用人たちからの太鼓判をもらってしまったのだ。
おかげで両親が完璧なセバスチャン推しになっていました。
「わかってます!必ずセバスチャンと既成事実を作って帰ってきますから!」
ちなみに両親からは「ぜひセバスチャンをアイリの婿に!」と言われているのだが、セバスチャンはにっこり執事スマイルでいつもこう返す。
「私、アイリ様のような幼児体型に欲情いたしませんので」
吸血鬼執事は毒舌執事になっていた。普通は執事が主人にこんな事をいったら怒られそうなものだが、両親は揃って私に必ずこう言う。
「アイリ!毎日牛乳を飲むと胸が大きくなるそうよ!」
「いっそ媚薬でも使うしかないのか!」
「私には媚薬などの毒物は効果はありません。アイリ様に早く解雇されるように頑張ります」
毎回同じやり取りをしている。そして両親は「どうしたらいいんだっ」と毎回頭を抱える。楽しそうでなによりだ。
「もうっ!セバスチャンは私に興味無さすぎなのよーっ!」
これから1年間側にいる契約なんだから、少しぐらい興味を持とうとくらいしてくれてもいいのに!と怒りの拳(メリケンサックの装着は0.3秒でできるようになった)を振り上げるが、その手をセバスチャンが瞬時に掴み自分の口元に持っていくと「チュッ」と小さな音が鳴った。
「では、興味が持てるように努力して下さい。アイリ様?」
毒舌執事のいじわるな笑みと超絶イケメンボイスで私の腰が砕ける。
「がっ、がんばり……ます……」
セバスチャンは地面にヘナヘナと座り込んだ私をさっと抱き上げて、ささっと馬車に乗せ、さささっと出発した。
「では、いってまいります」
セバスチャンの行動には誰もツッコミなどしない。すでにルーベンス家では当たり前の光景になっていた。
「アイリ、頑張ってセバスチャンを口説き落とすんだよーっ」
「セバスチャンとの吉報をまっていますよ~」
「セバスちゃんがお兄さまになったら、ぼくうれしい!」
家族からの声援にはセバスチャンのことしかなかったのがうれしいやら悲しいやらである。あぁ、でも毎日憧れの吸血鬼様の顔を見られて、触れられて、さらには前世の私でも知らなかった表情まで見れてこんなに幸せな事はない。
鼻血の出しすぎで貧血になりそうだ。
「どうされました?アイリ様」
また鼻血が出そう(思い出し鼻血)になって思わず鼻をつまむ私をセバスチャンがまたいじわるだけど楽しそうに笑って見ていた。
「べつに……。楽しそうだなって思って」
するとセバスチャンは目を細めて優しく微笑んだ。
「……思ってたよりは、楽しいかもな」
それは、セバスチャンではなく、吸血鬼様としての本心の笑顔。素敵すぎる――――!!
ぶはっ。
私は吸血鬼スマイルと漂う色気オーラに耐えきれなくなって鼻血を出してまたもや失神した。
******
失神してしまったアイリの鼻にティッシュをねじ込みながら(慣れた手つき)セバスチャンは苦笑いしていた。
「まったく、こっちは血を吸わないようにしてるというのに、無駄に鼻血ばかり出すんだから……。今夜は苦手だと言っていたレバー料理だな」
ちなみにこの吸血鬼は家事は完璧、料理は一流シェフにも負けない腕前であった。独り暮らしが長いと、自分のことは自分でしないといけないのである。
私は馬車に荷物を乗せ終えた吸血鬼様こと執事のセバスチャンと一緒に家族に別れの挨拶をしていた。
「では、いってまいります。お父様、お母様、ウィリー」
私と同じピンクゴールドの髪とエメラルドグリーンの瞳の今年で5歳になる可愛い弟(予告通りちゃんと産まれました)がうるうると涙を浮かべて私の服の裾を掴んだ。
「お姉さま、もう会えないの?」
「長期休みには必ず帰ってくるからすぐ会えるわ。そしたらいっぱい遊んであげるわね。だからいい子にしているのよ?」
ウィリーはこくんと頷き、はにゃっと笑った。
あぁ、可愛い!私の弟が可愛い!すでに世界一いい子です!
「うん、わかりました。セバスちゃん、お姉さまをお願いしますね!悪いやつらから守ってくださいね!」
ウィリーは「セバスチャン」と教えても「セバスちゃん」だと思っているのでちょっと発音が違う。だが、可愛いから全て許されるのだ。
セバスチャンはウィリーに視線を合わせてにっこりと笑った。
「ご安心下さい、ウィリー様。アイリ様なら自力でも相手を全殺しにできます」
全部、殺したらダメな気がする。でもウィリーは、ぱぁっと顔を輝かせた。
「お姉さまなら、めりけんさっくでむてきですね!」
はい、ルーちゃんが、ルーちゃんのボディーガードさん特製の私の手のサイズに合わせた新しいメリケンサックをプレゼントしてくれました。その効果は絶大です。
家族や使用人の中では、セバスチャンは最近やって来た遠い親戚から紹介された私の専属執事として認識していて、私のことはセバスチャンに任せておけば安心!となっている。(お世話してくれる侍女はもちろんいたのだが、結婚するので役目を交代してその人は引退した)
「アイリ、セバスチャンに迷惑をかけないようにね」
「セバスチャンに嫌われるようなことだけはしてはいけませんよ」
セバスチャンを連れ帰って数日。最初の基本設定だけは催眠術をかけて思い込ませたけど、それ以外はセバスチャンは実力で私の世話をこなしていた。(おもに暴走を止めておとなしくさせる)
おかげで、あのメリケンサック振り回して暴走していた娘が人並みにおとなしくなったとか、女の子らしい振る舞いをできるようになった(セバスチャンの色気オーラに鼻血を我慢して動きがとまった)とかと大喜びし、もう私の操縦はセバスチャンにしか出来ない!と家族&使用人たちからの太鼓判をもらってしまったのだ。
おかげで両親が完璧なセバスチャン推しになっていました。
「わかってます!必ずセバスチャンと既成事実を作って帰ってきますから!」
ちなみに両親からは「ぜひセバスチャンをアイリの婿に!」と言われているのだが、セバスチャンはにっこり執事スマイルでいつもこう返す。
「私、アイリ様のような幼児体型に欲情いたしませんので」
吸血鬼執事は毒舌執事になっていた。普通は執事が主人にこんな事をいったら怒られそうなものだが、両親は揃って私に必ずこう言う。
「アイリ!毎日牛乳を飲むと胸が大きくなるそうよ!」
「いっそ媚薬でも使うしかないのか!」
「私には媚薬などの毒物は効果はありません。アイリ様に早く解雇されるように頑張ります」
毎回同じやり取りをしている。そして両親は「どうしたらいいんだっ」と毎回頭を抱える。楽しそうでなによりだ。
「もうっ!セバスチャンは私に興味無さすぎなのよーっ!」
これから1年間側にいる契約なんだから、少しぐらい興味を持とうとくらいしてくれてもいいのに!と怒りの拳(メリケンサックの装着は0.3秒でできるようになった)を振り上げるが、その手をセバスチャンが瞬時に掴み自分の口元に持っていくと「チュッ」と小さな音が鳴った。
「では、興味が持てるように努力して下さい。アイリ様?」
毒舌執事のいじわるな笑みと超絶イケメンボイスで私の腰が砕ける。
「がっ、がんばり……ます……」
セバスチャンは地面にヘナヘナと座り込んだ私をさっと抱き上げて、ささっと馬車に乗せ、さささっと出発した。
「では、いってまいります」
セバスチャンの行動には誰もツッコミなどしない。すでにルーベンス家では当たり前の光景になっていた。
「アイリ、頑張ってセバスチャンを口説き落とすんだよーっ」
「セバスチャンとの吉報をまっていますよ~」
「セバスちゃんがお兄さまになったら、ぼくうれしい!」
家族からの声援にはセバスチャンのことしかなかったのがうれしいやら悲しいやらである。あぁ、でも毎日憧れの吸血鬼様の顔を見られて、触れられて、さらには前世の私でも知らなかった表情まで見れてこんなに幸せな事はない。
鼻血の出しすぎで貧血になりそうだ。
「どうされました?アイリ様」
また鼻血が出そう(思い出し鼻血)になって思わず鼻をつまむ私をセバスチャンがまたいじわるだけど楽しそうに笑って見ていた。
「べつに……。楽しそうだなって思って」
するとセバスチャンは目を細めて優しく微笑んだ。
「……思ってたよりは、楽しいかもな」
それは、セバスチャンではなく、吸血鬼様としての本心の笑顔。素敵すぎる――――!!
ぶはっ。
私は吸血鬼スマイルと漂う色気オーラに耐えきれなくなって鼻血を出してまたもや失神した。
******
失神してしまったアイリの鼻にティッシュをねじ込みながら(慣れた手つき)セバスチャンは苦笑いしていた。
「まったく、こっちは血を吸わないようにしてるというのに、無駄に鼻血ばかり出すんだから……。今夜は苦手だと言っていたレバー料理だな」
ちなみにこの吸血鬼は家事は完璧、料理は一流シェフにも負けない腕前であった。独り暮らしが長いと、自分のことは自分でしないといけないのである。
5
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!
ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。
※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。
【完結】私ですか?ただの令嬢です。
凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!?
バッドエンドだらけの悪役令嬢。
しかし、
「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」
そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。
運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語!
※完結済です。
※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///)
※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。
《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった
木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。
今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。
せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。
床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。
その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。
他サイトでもアップしています。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
気配消し令嬢の失敗
かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。
15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。
※王子は曾祖母コンです。
※ユリアは悪役令嬢ではありません。
※タグを少し修正しました。
初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる