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[1-1] Lesson*1 快楽
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王国アルドスには魔法がある。それは生まれに関係なく「個性」として扱われ、ほぼ全ての人間に大なり小なり備わっている。魔力値の高い者は平民でも重用されるため、平民の暮らしも安定した、のんびり平和な国家だ。
そんな中にあって、侯爵令嬢にして王太子妃候補筆頭、アデリーゼ・バルドウィン(17)には魔力が一切なかった。空なのである。儀式で測った時にはその結果に周りの者も含めて呆然としたが、日常生活では特別な魔道具が使えない程度の話でもあり、今はさほど気にして居ない。
プラチナブロンドの髪とローズクォーツの瞳を持つ清楚な見た目に反し、中身はなかなかに自由奔放だ。今も彼女は、王城で双眼鏡を覗き込み、近衛騎士を盗み見することに必死だった。
「ジーク様……まじ王子……っ」
「いや本物の我が国の王子がここにいるのだが?」
「ちょっと黙っててください」
視線は騎士に釘付けのまま、今日も銀髪翠眼の本当の王子様はぞんざいに扱われていた。
「ほんと騎士が好きだよね、君」
「ええもう……それはもう」
性癖なので。
開花したのは幼少期、とてもとてもと……ってもカッコいい!!騎士様を見てしまったのだ!
顔も名前も覚えてないけれど、『この人と結婚する!』って大騒ぎしたのは覚えている。まるで物語に出てくる白馬に乗った王子様に見えたのよね……。
「本当の王子には興味ないのにね」
「ありますよー。だって近衛騎士をお側に侍らせていられるじゃないですか!見放題ですよ!」
「僕にその趣味はないから」
「それは宝の持ち腐れですね!」
「その言葉、そうやって使うものじゃないよ」
笑い上戸のランドルフ様は現王太子。アデリーゼは彼の婚約者候補のひとりである。なお現在のところ、候補者は3名居て一緒に教育を受けている。
アデリーゼが趣味としている近衛騎士を間近に見るためには、何かしらの理由をつけて王城に来る必要がある。その最短の近道がアデリーゼにとって「王太子妃候補」という役目であり、侯爵令嬢と言う立場を存分に活用した結果、の、今なのである。
「いや実際めちゃくちゃ頑張ってるんですよ!『素敵なレディ』になるために!」
「そうだね。でもアディも、今後しばらくは登城してのレッスンはないんだろう?見納めていくといいよ」
「うう……閨教育ほんといらない……。」
そう、王太子妃教育もそろそろ大詰め。この後は閨教育を、候補者たちは自宅で励む予定らしい。
「まぁ、行儀作法の一環と思って励んでくれ……私のためにも」
ニヤリと笑う王太子に、じとっとした視線だけを送ってため息をつく。まだ貴方の嫁になると決まってませんけど。何にしてもこれは気が重いなぁ、とアデリーゼは二つ目のため息をついた。
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王国アルドスには魔法がある。それは生まれに関係なく「個性」として扱われ、ほぼ全ての人間に大なり小なり備わっている。魔力値の高い者は平民でも重用されるため、平民の暮らしも安定した、のんびり平和な国家だ。
そんな中にあって、侯爵令嬢にして王太子妃候補筆頭、アデリーゼ・バルドウィン(17)には魔力が一切なかった。空なのである。儀式で測った時にはその結果に周りの者も含めて呆然としたが、日常生活では特別な魔道具が使えない程度の話でもあり、今はさほど気にして居ない。
プラチナブロンドの髪とローズクォーツの瞳を持つ清楚な見た目に反し、中身はなかなかに自由奔放だ。今も彼女は、王城で双眼鏡を覗き込み、近衛騎士を盗み見することに必死だった。
「ジーク様……まじ王子……っ」
「いや本物の我が国の王子がここにいるのだが?」
「ちょっと黙っててください」
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「ほんと騎士が好きだよね、君」
「ええもう……それはもう」
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「本当の王子には興味ないのにね」
「ありますよー。だって近衛騎士をお側に侍らせていられるじゃないですか!見放題ですよ!」
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「それは宝の持ち腐れですね!」
「その言葉、そうやって使うものじゃないよ」
笑い上戸のランドルフ様は現王太子。アデリーゼは彼の婚約者候補のひとりである。なお現在のところ、候補者は3名居て一緒に教育を受けている。
アデリーゼが趣味としている近衛騎士を間近に見るためには、何かしらの理由をつけて王城に来る必要がある。その最短の近道がアデリーゼにとって「王太子妃候補」という役目であり、侯爵令嬢と言う立場を存分に活用した結果、の、今なのである。
「いや実際めちゃくちゃ頑張ってるんですよ!『素敵なレディ』になるために!」
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そう、王太子妃教育もそろそろ大詰め。この後は閨教育を、候補者たちは自宅で励む予定らしい。
「まぁ、行儀作法の一環と思って励んでくれ……私のためにも」
ニヤリと笑う王太子に、じとっとした視線だけを送ってため息をつく。まだ貴方の嫁になると決まってませんけど。何にしてもこれは気が重いなぁ、とアデリーゼは二つ目のため息をついた。
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