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2: Reunion 〜改めまして〜
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***
「パウラ嬢。無事に婚約者候補から降りられたそうですね」
「先生!」
「その呼び方は懐かしいですが、私はもう貴方の先生ではありませんので、できれば名前でお願いします」
「あっ、はい!ええと、リッツ様?」
「……名前で、どうぞ」
「……ヴィクトル様?」
「はい」
魔法省の事務所で手続き中のパウラのところに、魔法薬の研究室長でもあるヴィクトル・リッツ侯爵がやって来た。私はこれから彼の統括する研究室へと配属になる予定なのだ。
王太子妃教育の中にあった魔法課程は彼が訪れて授業を行ってくれていたため、生徒として馴染み深い『先生』。今日からは上司となる。
先生……いやヴィクトル様は栗色の髪に緑の瞳の、涼しげな顔立ち。26歳という若さで王城の薬師室長へ昇進した異例の才能の持ち主、と言われている。さらにはすでに侯爵位を継いでおられる。立派の鑑のような方です。
「こちらとしてはもう少しこう、何か王家に対し慰謝料的なものでも発生するかと危惧しておりましたが……逆に就職のお祝いを頂戴してしまいました」
「そもそも王太子妃教育の過程で、希望者へは魔法教育を高度なところまで行っていますからね。パウラ嬢の成績はとても優秀でしたので、王室としてもそちらを期待されたのでしょう。しかし……本当にこれで、よろしかったのですか?」
王太子妃、ひいては王妃への道を降りてまで、と言外に尋ねられる。
「ええ。私は国政などには向いてないのでは、と、あの教育の途中で自らを思い知りました。なので、以前より希望していた魔法省にお世話になれて、本当に良かったと思っています。」
「そうですか。とても大きな決断をされたんですね」
「はい。それに私、魔法薬を作るのがとても好きなんです!研究の現場に立てる事を、とても嬉しく思っています。」
心からの気持ちを告げると、先生はようやく納得した様子で頷いた。
「事務手続きが終わったら、研究棟に行きましょう。皆さん、新人を楽しみに待っていますよ」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
こうして馴染み深い人に支えられ、私は魔法省へと足を踏み入れた。
この国の魔法省は大きく二つの機関に分かれている。
魔道士が所属する魔道師団と、治癒魔法と魔法薬の研究、開発をする医局だ。
先生や私が所属するのは医局で、一般の薬師から研究者まで、魔法薬に関しての全てがここにある。私はここに薬師兼研究者見習いとして入ることになった。夢に見ていた生活に、ワクワクする気持ちがとまらない。
***
「パウラ・ガリオンと申します。どうぞよろしくお願いします」
ぺこり、と頭を下げると部屋に暖かい拍手が広がった。ここでは伯爵家などの身分差はなく、一律に新人として扱うとのことだ。
「パウラには、まずこちらの薬局で調剤のお手伝いをしてもらいます」
既存の魔法薬の分量や調合方法などを覚える為という。基礎から教えてもらえるのは、とてもありがたい。
「はい!よろしくお願いします!」
生まれて初めての『仕事』は、社交とはまた別の大変さを持つものだった。それでも一つずつ目の前の仕事をこなし、先輩に質問をして問題の乗り越え方を学んでいく。
また、今は自宅から王城へ通っているが、希望すれば寮に入ることもできるという。仕事に慣れてきたら、そうしてみたいな……と、ゆるっと考えていた。
「どうですか?薬局の仕事は」
お仕事開始から4日目、職員食堂でランチをとっていたら、前の席にお茶のトレイを持ったヴィクトル様が現れた。普段は研究室におられるので、会うのは2日ぶりとなる。
「はい!学ぶことが多くて楽しいです」
「楽しい、ですか。それは何よりです。正直、御令嬢の貴方にこんな雑事を……と、拒否されるかと思っていたのですが」
「いえ、薬品にとって計量はとても大切な作業と思います。初歩から教えていただけて、ありがたいです」
きょとん、と目を開くヴィクトル様に、あれ?なんか変なこと言ったかな?とちょっと首を傾げる。
「なるほど。城の教育を受けて来られた方は、やはり根性が違いますね」
「ええ、根性でしたら人一倍!」
一呼吸置いた後、ふっと先生が笑う。その事に、周りの方々がびっくりしたようにこちらを見ていた。
「どうやら、候補者だった方々は皆さん一筋縄ではいかないようだ……これからも楽しみにしていますよ。」
「ええと、よろしくご指導ください」
「はい、承ります」
ほんのり笑っておられる先生。授業の時から思ってましたが、普段の無表情と笑顔のギャップはいい感じですよね。という話を休憩終わりに薬局でしてみたのですが。
「笑顔?氷のヴィクトル様の、笑顔?」
「はい。……え?氷の?」
「新人ちゃん……いやパウラ。知らなかったの?あの人、表情筋が凍りついてることで有名なのよ?」
「えぇっ?!でも、先生は確かに……」
授業の時も普通に笑っていたし、そんなことはなかったはずだ。
「その噂、さっき聞いた!マジだったんだ、室長が笑ってた、っての」
「うそぉ」
「本当らしい……」
「パウラ、何したの……?見るコツはある……?」
コツとは。と、休憩終わりのチャイムと共にヴィクトル様がやって来た。
「はい、午後のお仕事に戻ってください」
「わっ、噂をすれば」
「私の事ですか?」
「室長、さっき笑ってたって本当ですか?」
「さっき?……ああ。」
そこで流し目で見られると、私のせいみたいじゃないですか?
「そうですね。そうかもしれません。」
「マジだ……」
広がるどよめきに、私も『ほんとに『氷の室長』さんだったんだ……』と改めて知る。自分の知るヴィクトル・リッツ様の印象とは違うことが、旧知であるはずなのにと、とても新鮮に思う。
「パウラ、後でここの執務室へ来てください」
「あ、はい、これが終わったら伺います」
また、どよどよ。何だろう、何か失敗したかな?それとも……今の話、まずかった?
***
「失礼します」
ノックをして、許されてからドアを開ける。先生の執務室は薬品と書類でいっぱいで、小さな研究室のようだ。
「ああ、お疲れ様。ちょっとそこに座って待っていてください」
「はい。お邪魔します。」
書類の影から先生が顔を覗かせた。応接セットもかなり書類で圧迫されていたけれど、ソファには座れる隙間があったのでそっと座る。
こんなにたくさんの書類、仕分けしなくていいのかなぁ……と眺めていると。
「お待たせ。すまないね、書類だらけで」
「いえ。あの、よろしかったら整理のお手伝いをしましょうか?」
「うーん、とりあえず今の形で頭に入ってるのがなぁ……」
「え?」
「このままで、どこに何があるかは把握してるんです」
ええっ、と驚きの声が出てしまう。が、『例えば』と私の横に積んである紙の束の中程にある一枚は、某なんとかの案件でというので、許可を得て抜き取り内容を見ればその通りで。
え、これ……頭脳の無駄遣いではありませんか?
「頭脳はどうでもいいけれど、整理した方がいいのも事実でね……実は、それで君を呼んだんです」
「は。やはり整理なさいますか?」
「うん。ただし、私が指示する内容でやってもらいたいから、しばらく薬局へ行けなくなるかもしれない……つまり本来君にお願いすべき薬関係の仕事がしばらくできなくなるかもしれないんだけど、それでも大丈夫ですか?」
そちらはまだお手伝い程度だし、こちらも整理自体は室長がなさって、私は紙処理の綴要員となるのが妥当だろう。
「あちらのお仕事の都合がよければ、私自身は構いません」
「そうですか。本当の雑事で申し訳ないが……では、手伝いをお願いします。」
「かしこまりました」
早速明日から、この部屋の整理にとりかかるらしい。
「先生、結構溜め込まれましたね……?」
「忙しさにかまけててね。でもこの間、ここにランドルフ殿下がみえて『これはない』とチェックされてしまいました」
「なるほど。ラルフ様はあれで綺麗好きですしね」
そうなのだ。あの掴み所のない殿下、なかなかに綺麗好きなのである。執務室も自ずから手入れをされていて、いつもピカピカで整っている。それとは逆に、初めて目にした先生の部屋は、……これはこれで、目を見張るものがあります。
「殿下の部屋は別格ですよ……。ペン一本も曲がっていない」
「まあ、ふふ。確かにちょっと、潔癖ですわね」
「ですよね?ああ、やっとこの話に同意してもらえました」
どうやら自分の部屋を棚に上げて、と言い続けられてきたらしい。この様子ではさもありなん、だけど。
「先生も『氷の』と呼ばれる割には、こういうところはざっくりされてますのね」
「氷ね……表情筋を使い忘れるだけで、私はそんな大した人間ではないです。それにしても、貴女はなかなか『先生』呼びが抜けないですね」
「あ、申し訳ありません!つい」
「いや、特に問題はないんですが……」
ふ、と笑ったように見えた。何となく、2人になると授業を思い出して、癖のように『先生』と口をついてしまう気がする。それもその筈、先生と生徒として3年間お世話になりましたもんね。
「さて、それでは明日から片付ける準備をしておきましょう。貴女もあちらのデスクを今日中に処理してきてください」
「わかりました。それでは、失礼します」
「うん、よろしく」
パタン、と部屋を出ると薬局の方から視線が飛んできた。
「室長、なんだって?」
「はい、明日から室長室の書類の整理を手伝って欲しいと言われました。なので、しばらくあちらに篭ります。」
というと、部屋の全員が驚いた。
「ええっ!!あの紙の山をついに崩すの?」
「新人が来たと思って、仕事のないうちがチャンスだと思ったんだろうなぁ……あれは大変だぞ」
「きっと指示も細かいよぉ」
でしょうね!
「書類運ぶのとか、大変なことは言ってください。手伝いますから」
「はい!ありがとうございます」
そんなこんなで、お手伝いしていた部署のお仕事を極力片付けて、室長部屋のお片付けを請け負いました。いつまでかかるのかなぁ。
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「パウラ嬢。無事に婚約者候補から降りられたそうですね」
「先生!」
「その呼び方は懐かしいですが、私はもう貴方の先生ではありませんので、できれば名前でお願いします」
「あっ、はい!ええと、リッツ様?」
「……名前で、どうぞ」
「……ヴィクトル様?」
「はい」
魔法省の事務所で手続き中のパウラのところに、魔法薬の研究室長でもあるヴィクトル・リッツ侯爵がやって来た。私はこれから彼の統括する研究室へと配属になる予定なのだ。
王太子妃教育の中にあった魔法課程は彼が訪れて授業を行ってくれていたため、生徒として馴染み深い『先生』。今日からは上司となる。
先生……いやヴィクトル様は栗色の髪に緑の瞳の、涼しげな顔立ち。26歳という若さで王城の薬師室長へ昇進した異例の才能の持ち主、と言われている。さらにはすでに侯爵位を継いでおられる。立派の鑑のような方です。
「こちらとしてはもう少しこう、何か王家に対し慰謝料的なものでも発生するかと危惧しておりましたが……逆に就職のお祝いを頂戴してしまいました」
「そもそも王太子妃教育の過程で、希望者へは魔法教育を高度なところまで行っていますからね。パウラ嬢の成績はとても優秀でしたので、王室としてもそちらを期待されたのでしょう。しかし……本当にこれで、よろしかったのですか?」
王太子妃、ひいては王妃への道を降りてまで、と言外に尋ねられる。
「ええ。私は国政などには向いてないのでは、と、あの教育の途中で自らを思い知りました。なので、以前より希望していた魔法省にお世話になれて、本当に良かったと思っています。」
「そうですか。とても大きな決断をされたんですね」
「はい。それに私、魔法薬を作るのがとても好きなんです!研究の現場に立てる事を、とても嬉しく思っています。」
心からの気持ちを告げると、先生はようやく納得した様子で頷いた。
「事務手続きが終わったら、研究棟に行きましょう。皆さん、新人を楽しみに待っていますよ」
「ありがとうございます、よろしくお願いします」
こうして馴染み深い人に支えられ、私は魔法省へと足を踏み入れた。
この国の魔法省は大きく二つの機関に分かれている。
魔道士が所属する魔道師団と、治癒魔法と魔法薬の研究、開発をする医局だ。
先生や私が所属するのは医局で、一般の薬師から研究者まで、魔法薬に関しての全てがここにある。私はここに薬師兼研究者見習いとして入ることになった。夢に見ていた生活に、ワクワクする気持ちがとまらない。
***
「パウラ・ガリオンと申します。どうぞよろしくお願いします」
ぺこり、と頭を下げると部屋に暖かい拍手が広がった。ここでは伯爵家などの身分差はなく、一律に新人として扱うとのことだ。
「パウラには、まずこちらの薬局で調剤のお手伝いをしてもらいます」
既存の魔法薬の分量や調合方法などを覚える為という。基礎から教えてもらえるのは、とてもありがたい。
「はい!よろしくお願いします!」
生まれて初めての『仕事』は、社交とはまた別の大変さを持つものだった。それでも一つずつ目の前の仕事をこなし、先輩に質問をして問題の乗り越え方を学んでいく。
また、今は自宅から王城へ通っているが、希望すれば寮に入ることもできるという。仕事に慣れてきたら、そうしてみたいな……と、ゆるっと考えていた。
「どうですか?薬局の仕事は」
お仕事開始から4日目、職員食堂でランチをとっていたら、前の席にお茶のトレイを持ったヴィクトル様が現れた。普段は研究室におられるので、会うのは2日ぶりとなる。
「はい!学ぶことが多くて楽しいです」
「楽しい、ですか。それは何よりです。正直、御令嬢の貴方にこんな雑事を……と、拒否されるかと思っていたのですが」
「いえ、薬品にとって計量はとても大切な作業と思います。初歩から教えていただけて、ありがたいです」
きょとん、と目を開くヴィクトル様に、あれ?なんか変なこと言ったかな?とちょっと首を傾げる。
「なるほど。城の教育を受けて来られた方は、やはり根性が違いますね」
「ええ、根性でしたら人一倍!」
一呼吸置いた後、ふっと先生が笑う。その事に、周りの方々がびっくりしたようにこちらを見ていた。
「どうやら、候補者だった方々は皆さん一筋縄ではいかないようだ……これからも楽しみにしていますよ。」
「ええと、よろしくご指導ください」
「はい、承ります」
ほんのり笑っておられる先生。授業の時から思ってましたが、普段の無表情と笑顔のギャップはいい感じですよね。という話を休憩終わりに薬局でしてみたのですが。
「笑顔?氷のヴィクトル様の、笑顔?」
「はい。……え?氷の?」
「新人ちゃん……いやパウラ。知らなかったの?あの人、表情筋が凍りついてることで有名なのよ?」
「えぇっ?!でも、先生は確かに……」
授業の時も普通に笑っていたし、そんなことはなかったはずだ。
「その噂、さっき聞いた!マジだったんだ、室長が笑ってた、っての」
「うそぉ」
「本当らしい……」
「パウラ、何したの……?見るコツはある……?」
コツとは。と、休憩終わりのチャイムと共にヴィクトル様がやって来た。
「はい、午後のお仕事に戻ってください」
「わっ、噂をすれば」
「私の事ですか?」
「室長、さっき笑ってたって本当ですか?」
「さっき?……ああ。」
そこで流し目で見られると、私のせいみたいじゃないですか?
「そうですね。そうかもしれません。」
「マジだ……」
広がるどよめきに、私も『ほんとに『氷の室長』さんだったんだ……』と改めて知る。自分の知るヴィクトル・リッツ様の印象とは違うことが、旧知であるはずなのにと、とても新鮮に思う。
「パウラ、後でここの執務室へ来てください」
「あ、はい、これが終わったら伺います」
また、どよどよ。何だろう、何か失敗したかな?それとも……今の話、まずかった?
***
「失礼します」
ノックをして、許されてからドアを開ける。先生の執務室は薬品と書類でいっぱいで、小さな研究室のようだ。
「ああ、お疲れ様。ちょっとそこに座って待っていてください」
「はい。お邪魔します。」
書類の影から先生が顔を覗かせた。応接セットもかなり書類で圧迫されていたけれど、ソファには座れる隙間があったのでそっと座る。
こんなにたくさんの書類、仕分けしなくていいのかなぁ……と眺めていると。
「お待たせ。すまないね、書類だらけで」
「いえ。あの、よろしかったら整理のお手伝いをしましょうか?」
「うーん、とりあえず今の形で頭に入ってるのがなぁ……」
「え?」
「このままで、どこに何があるかは把握してるんです」
ええっ、と驚きの声が出てしまう。が、『例えば』と私の横に積んである紙の束の中程にある一枚は、某なんとかの案件でというので、許可を得て抜き取り内容を見ればその通りで。
え、これ……頭脳の無駄遣いではありませんか?
「頭脳はどうでもいいけれど、整理した方がいいのも事実でね……実は、それで君を呼んだんです」
「は。やはり整理なさいますか?」
「うん。ただし、私が指示する内容でやってもらいたいから、しばらく薬局へ行けなくなるかもしれない……つまり本来君にお願いすべき薬関係の仕事がしばらくできなくなるかもしれないんだけど、それでも大丈夫ですか?」
そちらはまだお手伝い程度だし、こちらも整理自体は室長がなさって、私は紙処理の綴要員となるのが妥当だろう。
「あちらのお仕事の都合がよければ、私自身は構いません」
「そうですか。本当の雑事で申し訳ないが……では、手伝いをお願いします。」
「かしこまりました」
早速明日から、この部屋の整理にとりかかるらしい。
「先生、結構溜め込まれましたね……?」
「忙しさにかまけててね。でもこの間、ここにランドルフ殿下がみえて『これはない』とチェックされてしまいました」
「なるほど。ラルフ様はあれで綺麗好きですしね」
そうなのだ。あの掴み所のない殿下、なかなかに綺麗好きなのである。執務室も自ずから手入れをされていて、いつもピカピカで整っている。それとは逆に、初めて目にした先生の部屋は、……これはこれで、目を見張るものがあります。
「殿下の部屋は別格ですよ……。ペン一本も曲がっていない」
「まあ、ふふ。確かにちょっと、潔癖ですわね」
「ですよね?ああ、やっとこの話に同意してもらえました」
どうやら自分の部屋を棚に上げて、と言い続けられてきたらしい。この様子ではさもありなん、だけど。
「先生も『氷の』と呼ばれる割には、こういうところはざっくりされてますのね」
「氷ね……表情筋を使い忘れるだけで、私はそんな大した人間ではないです。それにしても、貴女はなかなか『先生』呼びが抜けないですね」
「あ、申し訳ありません!つい」
「いや、特に問題はないんですが……」
ふ、と笑ったように見えた。何となく、2人になると授業を思い出して、癖のように『先生』と口をついてしまう気がする。それもその筈、先生と生徒として3年間お世話になりましたもんね。
「さて、それでは明日から片付ける準備をしておきましょう。貴女もあちらのデスクを今日中に処理してきてください」
「わかりました。それでは、失礼します」
「うん、よろしく」
パタン、と部屋を出ると薬局の方から視線が飛んできた。
「室長、なんだって?」
「はい、明日から室長室の書類の整理を手伝って欲しいと言われました。なので、しばらくあちらに篭ります。」
というと、部屋の全員が驚いた。
「ええっ!!あの紙の山をついに崩すの?」
「新人が来たと思って、仕事のないうちがチャンスだと思ったんだろうなぁ……あれは大変だぞ」
「きっと指示も細かいよぉ」
でしょうね!
「書類運ぶのとか、大変なことは言ってください。手伝いますから」
「はい!ありがとうございます」
そんなこんなで、お手伝いしていた部署のお仕事を極力片付けて、室長部屋のお片付けを請け負いました。いつまでかかるのかなぁ。
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