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短編:ある学園の授業風景
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短編:ある学園の授業風景
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よく晴れ渡った青い空。芝生の上を走る爽やかな風。昼寝をしたくなる暖かな日差し。
これで昼寝をしなければ、太陽さんに失礼というものだ。というわけで、俺は昼寝をしている。
そんな俺に影が差す。
「やあ、スピナー君。今日も君はクモと戯れているのかい? 高貴な者が、そのような下等な昆虫を使うなんて、恥ずかしいよ」
面倒なんだが、目を開けて声の主を見つめる。
ベニック公爵の嫡子ナルジニア。サラサラの金色の髪をした眉目秀麗な彼は、事あるごとに俺に絡んでくる。
ただ、彼はクモが昆虫ではないことは知らないようで、いつも無知を振りまいている。
「ナルジニア殿は暇のようだが、俺は暇じゃないんだ。悪いけど、話しかけないでくれるか」
人の昼寝を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んでしまえと切に思う。
「なっ!? 【クモ使い】のくせに!」
誰でも加護を持つこの世界。
貴族たちは騎士系や剣士系、魔法使い系のような戦闘系加護をもてはやしていた。貴族にだって【農夫】の加護や【鍛冶師】の加護を持つ者は居る。【クモ使い】という加護の何が悪いのか、俺にはさっぱり分からない。
「ナルジニア殿は【剣王】の加護だったな。才能に胡坐をかいていたら、碌な人間にはならないぞ」
「言わせておけば!」
俺に侮蔑の視線を投げかけていた青い瞳が怒りに染まり、ナルジニアは剣の柄に手をかけた。
「そんなに沸点が低いとは、貴族として心の修行が足りないようだ。人の加護をとやかく言う前に、我が身を振り返って自分を律するべきだぞ」
俺は再び目を閉じて昼寝の続きをする。
「き、貴様!」
金切り声がしたところで、ナルジニアの気配が止まった。
どさりと何かが倒れるような音がする。
「ミネルバ。ゴミはゴミ箱にな」
「キュ」
【クモ使い】の俺がクモを使役するのは当然のこと。
俺に危害を加えようとする奴が、俺のクモに無力化されるのも当然のこと。
ミネルバは俺が最初に使役するようになったクモ。愛情を注いで育てたとても可愛い子だ。
静かになったので昼寝を楽しんでいると、頬を誰かが突っついた。
「もう時間か……」
もうすぐ昼の休憩が終わると、ミネルバが起こしてくれた。
体長50センチの黒地に赤色の縞がある大きなクモ。それがミネルバ。俺の大事な子供だ。
起き上がった俺についている埃をミネルバが払ってくれる。可愛いやつだ。
王立レイジング学園に通う俺は、今年最上級の6年生になった。
貴族の子弟や優秀な平民の子供が、この学園に入学しようと国中から集まってくる。
入学試験に受からないといけないが、10歳の年から15歳の年までの6年間、この学園で切磋琢磨するのだ。
先程のナルジニアのような奴が多いので、正直言って面倒くさい場所だ。
午後の授業は戦闘術。【クモ使い】の俺はテイマー枠。
俺の横を器用に8本の脚を動かして歩くミネルバと共に授業に参加する。
グラウンドには多くの生徒が集まっている。俺はその端のほうでミネルバを抱きかかえ、教師を待つ。
「キュウキュウ」
ミネルバが俺の腕の中ではしゃいでいる。
周囲にはテイマー系の加護を持つ生徒が、その使役する動物や魔物を従えている。
中にはベビードラゴンのような、飛行する魔物を従えている生徒もいる。だけど、テイマーは貴族としては正統派ではないので、強い魔物を従えていてもあまり評判は良くない。
それがクモのような節足動物になると、その風当たりはかなり強い。
「戦闘訓練を始めるぞー」
戦闘訓練は50前後の無精髭を生やした大柄な男性教師が主任教師をしていて、他に3人の常任教師、2人の副教師が授業を受け持つ。
主任教師は戦士、常任教師の2人は魔法使い、もう1人の常任教師は騎士の加護を持っている。副教師は弓士とテイマーの加護なので、俺はテイマーの加護を持った副教師の授業を受ける。
テイマー担当の副教師は、30前と若い。使役しているのは、一角馬という珍しい魔物。
その走る速度は普通の馬など相手にならないし、1日に1000キロを走り抜けるスタミナもある。戦闘力もかなりあって、頭部にある角から稲妻を放つ。
「今日は使役する魔物同士を戦わせましょうか。2人1組になってください」
生徒たちが組を作る。俺はポツーン。
「あー、スピナー君は見学で良いでしょう」
俺はいつも見学だ。
学園に入学した直後の戦闘訓練で、当時の教師が使役していたワイバーンを倒してしまったのがいけなかったらしい。
あまりにも弱すぎて、ミネルバに手加減させる間もなく首をチョンパしてしまった。
その後、調子に乗った主任教師を糸でグルグル巻きにして宙吊りにして髭と頭髪を全部切り落とした。あれから5年、教師たちは俺に何も言わなくなった。
暇だからグラウンドの片隅でミネルバとあやとりをして時間を潰す。
グラウンドの多くを使うのは、主任教師が指導する戦士や騎士系の加護を持った生徒たち。次に魔法使い系たちが大きな顔をしてグラウンドを使っている。
「はあ……、早く終わらないかな」
やることがないというのは、とても苦痛だ。
俺は授業を免除されているが、パパができるだけ学園に通うようにと言うから、たまに通っている。
学ぶことはなくても、人脈を作れるらしい。
「おい、スピナー! 僕と戦え!」
魚の骨やバナナの皮を髪の毛から生やしたナルジニアが、俺に木剣を向けて叫んだ。
お前、どこから出てきたんだよ……。あ、ミネルバがゴミ箱に捨てたんだった。
「えー、面倒だから嫌だ」
俺の答えが気に入らなかったのか、肩を震わせて叫んでいる。
騒ぎを聞きつけて教師たちがやってきたが、困った顔をしている。
「ナルジニア君。落ち着きたまえ」
「先生! こいつと僕の決闘を認めてください!」
ナルジニアは決闘の意味を知っているのだろうか?
貴族の決闘は、名誉と命を懸けるもの。負けたらそれこそ命がないと思わなければいけない。
俺ならとてもじゃないけど、決闘なんて面倒なことはしない。
「す、スピナー君。ナルジニア君がこのように言っているが、どうするかね?」
「先生、どうするとは、どのような意味ですか?」
「決闘を受けるか、どうかってことだよ」
髭面の主任教師は、決闘させていいと思っているのかな?
「先生もナルジニア殿も、決闘の意味を分かっているのですか?」
「そんなことは分かっているに決まっているだろう! 僕の名誉をかけて君と戦う!」
「命は懸けるのか? それともお遊びの決闘か?」
「決闘にお遊びも何もない! 命を懸けて名誉を守るためのものだ!」
「ふーん。で、先生もそれを認めたわけですね?」
「貴族の決闘に、余人の入る隙はない。我らが教師と言っても、貴族の名誉を懸けた決闘を却下できない」
学園規則に決闘は主任教師以上の許可と教師の監視下において行われるとあったと思ったけど、俺の勘違いか。
「決闘の条件は?」
「僕とスピナーの1対1。下賤な虫など神聖な決闘に使わないことだ!」
なにそれ? アホなの? いや、大バカだ。
「ナルジニア殿は何を言っているのかい?」
「正々堂々、1対1の戦いを希望しているだけだ」
「フーン。じゃあ、ナルジニア殿は武器と防具の全部をなしで戦うってことでいいのかな?」
「なんでそうなるんだ! 【剣王】の僕が剣を持たずに何をするんだ!」
「じゃあ、【クモ使い】の加護の俺が、なんでクモなしで決闘しなければならないんだ? 俺だけ加護を使うなというのは、明らかに不平等。それで正々堂々とか言うのだから、臍が茶を沸かすぞ」
俺に笑われて顔を真っ赤にしたナルジニアが、1対1なのにクモなど使うのはおかしいとアホなことを言っている。
「決闘というのは1対1で行われるのが基本だから、ナルジニア君の主張はもっともなことだよ」
おいおい、教師の癖にそんな一方的な条件を飲ませようなんて、クソだな。
ミネルバに丸坊主にされたことを、そんなに根に持っているの? ちっちゃい奴だな。
「主任、それはいくらなんでも」
「副教師が口を出すな!」
ある意味、あんたのためを思って副教師は言ってくれたのに、そんな態度をとっていいの?
「スピナー君が決闘を受けないのは問題ない。【剣王】の加護を持つナルジニア君が怖いのは当然だ」
これ、煽られているのかな?
こいつらに何を言っても無駄なので、いい加減面倒になってきた。
「まあ、いいですよ」
「「本当か!?」」
思いっきり食いついたな。
「いいですよ。ただし、こんな不平等な決闘を受ける以上、手加減はしませんからね」
調子に乗っていられるのも今の内だ! というような目をされた。
しかし、1対1の戦いなんて、久しぶりだな。
「これより、ナルジニア君とスピナー君の決闘を行う!」
主任教師が嬉しそうに宣言した。
こんな面倒なこと、早く終わらせよ。
「今日こそはお前を倒して、学年1位の座は僕のものだ!」
そんなに学年1位になりたいの?
ごめんな、過去5年間俺が1位で。
言ってくれれば、ちょっとは考えたよ。俺は空気読めるからさ。
もっとも、空気が読める俺でも、手加減できる限度があるけどね。
「両者、位置につきなさい」
主任教師が決闘の説明をした後、俺たちは10メートルほど離れて向かい合った。
しかし、ナルジニアは木剣を持っているのに俺は無手とか、本気で腹が立ってきたな。
この怒りをナルジニアに叩きつけてやろう。
「始め!」
「死ねぇぇぇっ!」
開始の合図と共にナルジニアが死ねと叫びながら突っ込んできた。殺す気満々だぞ、あいつ。
それならそれで、俺も心置きなくぶっ飛ばせる。
「俺は死ぬ気はないぞ」
ナルジニアが大上段から木剣を振り下ろす。それは俺の頭に当たる軌道を辿っていた。
頭に木剣が当たる直前、鋭く踏み込んでナルジニアの懐に入り、彼の脇に肩を入れて木剣を振り下ろす勢いを利用。
ナルジニアはぐるりと1回転して、背中から地面に叩きつけられた。
「ぐへっ」
肺の中の空気が一気に吐き出され、ナルジニアは息を吸うことができない。
柔よく剛を制す。昔の書物にあった技だ。
戦闘系の加護がなくても、体を鍛え、技を磨けばこれくらいできる。
「降参するか?」
俺にだって慈悲はある。ここで降参するなら、これ以上痛い目を見なくても済むぞ。
「ケホッケホッ。だ、誰が」
「理解してないようだから教えてやるけど、今俺が追撃したら君は死んでいたんだぞ」
今ので止めてもいいのに、主任教師は止めもしない。
生徒に殺し合いをさせて楽しいのかね。
「やってもいないことをとやかく言うな!」
俺の慈悲はナルジニアに届かないか。
ナルジニアは再び木剣を構え、俺に敵意を剥き出しにした。
ナルジニアに絡まれるのもいい加減飽き飽きしていたので、ここで二度と俺に絡まないように心を折っておくことにするか。
今ので不用意に飛び込むのは危険だと学んだナルジニアは、ジリジリと間合いを詰めてきた。
でもさ、ナルジニアが動かないなら、俺が動くよ。
散歩でもするかのように1歩、2歩と足を進めると、ナルジニアは大きく飛んで後ろに下がった。
そんなことは無視して、歩いていく。何度かナルジニアが飛びのいて距離を取るが、お構いなしだ。
「逃げるな、卑怯者!」
「怖いなら最初から決闘なんてするな!」
「どうせ勝てないんだから、早く降参しろよ!」
自分から決闘を申し込んだのに、消極的なナルジニアの行為にヤジが飛ぶ。
彼らはボルフェウス公爵家に縁のある家の子たち。
これでも公爵家の四男なので、それなりの縁故はある。いずれも以前俺がぶっ飛ばした奴らだけど。
ナルジニアはヤジを飛ばす生徒たちをチラチラ見ては俺を見る。奥歯を噛み、悔しさを滲み出す。
そんな表情をしたって勝てないんだから、勝てる手筋を考えろよ。頭を使え。
「卑怯だぞ!」
「何が卑怯なんだ?」
「ああやって僕の心を惑わせようという魂胆だろ」
どうやらヤジが気に入らないようだ。
「自意識過剰もここまで来ると、国宝級だな。決闘を挑んだのはお前だぞ。俺は加護を使わずに相手してやっているのに、加護を使うナルジニアが俺を卑怯だと言う。滑稽すぎて、逆に笑えないぞ」
俺に反論されて悔しそうな顔をした。
卑怯はどっちなんだと、自分がやっていることを理解するべきだろう。
「う、うるさい!」
「いいから、戦えよ。戦う気がないのなら、降参しろ」
「だ、誰が降参なんてするものか!」
やっとやる気になったようで、木剣をブンブンッと振り回して突っ込んできた。
「うわぁぁぁぁぁぁっ」
剣の型など関係ない無茶苦茶振っているだけの木剣を躱し、ナルジニアの腕に手を添えてほいっと。
空中で1回転して地面に叩きつけられ、ナルジニアは涙目になった。
今度は俺も容赦する気はないので、そのまま寝技に持ち込む。
「ぎゃっ!?」
右腕を一瞬で折ってやったが、それで終わるつもりはない。
滑るように体勢を入れ替えて、今度は左腕を折る。
ナルジニアが声を出そうとしたので、声が出ないように顎を外す。
今、降参されたら恐怖を植えつけることができない。俺をイラつかせた責任は、その心を折ることで償ってもらうから降参なんてさせないよ。
両腕の次は両足を折っていく。さらには、肩と股関節を外す。
降参してないからまだやれるが、四肢の骨を折って関節も外した。最後に腰の骨でも折っておくか。
「世の中にはやってはいけないことがあるんだぞ」
ナルジニアの耳元で囁く。声は出させない。恐怖に染まる瞳が、許してほしいと訴える。
だけど、二度と立ち直れないように、徹底的にやる。
俺はこれまで何度もチャンスを与えてやった。それで分かってもらえない以上、心に刻み込む。
───俺に関わるなと。
「っ!?」
「殺しはしないが、一生癒えることのない傷を背負って生きろ」
腰骨を折り、俺は立ち上がる。
ナルジニアは痙攣し、意識を手放した。
糞尿を漏らし、両手両足が曲がってはいけない方向に曲がっている。
「先生、まだやるの? これ以上は殺すことになるよ?」
俺がそう言うと、口を大きく開けていた主任教師が我に返って、嫌々といった感じで俺の勝利を宣言した。
その後、学園の救護班によってナルジニアの治療が行われたが、完全回復はできなかった。
普通に生活するくらいは問題ないけど、激しい運動はできなくなった。
それ以前に、常に何かにビクビクして、部屋から出てこなくなったらしい。
これで鬱陶しい奴に絡まれることもなく、残り少ない学園生活を謳歌できる。
ベニック公爵家からボルフェウス公爵家にクレームがあった。
いくら決闘でもここまでやる必要はないというのが、ベニック公爵家の言い分。
それに対してボルフェウス公爵家の回答は、決闘を申し込んだのはナルジニアでこちらは加護さえ使ってない。
俺の実力は5年間誰にも負けてないのだから、誰にでも分かっていたこと。
無謀なことをしておいて苦情を言ってくるなど、常識を弁えない行為だと言い返してやったらしい。パパったら、格好いいじゃない。
決闘の上のことなので、殺されても文句を言えないのが決まり。
それを無視して文句を言ってきたベニック公爵家は、貴族にあらずという評判が立った。
もちろん、そういった評判を立てたのはマイパパ。
それ以降、ボルフェウス公爵家に文句は言ってこないが、ベニック公爵の矛先は学園に向かった。
ナルジニアが動けなくなったところで、すぐに止めておけばここまで酷いことにはならなかった。
学生同士の決闘は、教師が管理することになっている。それはやり過ぎないための、ストッパーとしての意味合いが強い。
決闘を許し審判をした主任教師は、ベニック公爵の圧力によって管理不行き届きということで罷免された。
主任教師が罷免されただけでは、嫡子を使い物にならないようにされたベニック公爵の怒りは収まらない。
罷免後の主任教師の姿を見た者は居ない。その意味は誰にでも分かったが、誰も口にしなかった。
短編:ある学園の授業風景
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よく晴れ渡った青い空。芝生の上を走る爽やかな風。昼寝をしたくなる暖かな日差し。
これで昼寝をしなければ、太陽さんに失礼というものだ。というわけで、俺は昼寝をしている。
そんな俺に影が差す。
「やあ、スピナー君。今日も君はクモと戯れているのかい? 高貴な者が、そのような下等な昆虫を使うなんて、恥ずかしいよ」
面倒なんだが、目を開けて声の主を見つめる。
ベニック公爵の嫡子ナルジニア。サラサラの金色の髪をした眉目秀麗な彼は、事あるごとに俺に絡んでくる。
ただ、彼はクモが昆虫ではないことは知らないようで、いつも無知を振りまいている。
「ナルジニア殿は暇のようだが、俺は暇じゃないんだ。悪いけど、話しかけないでくれるか」
人の昼寝を邪魔する奴は、馬に蹴られて死んでしまえと切に思う。
「なっ!? 【クモ使い】のくせに!」
誰でも加護を持つこの世界。
貴族たちは騎士系や剣士系、魔法使い系のような戦闘系加護をもてはやしていた。貴族にだって【農夫】の加護や【鍛冶師】の加護を持つ者は居る。【クモ使い】という加護の何が悪いのか、俺にはさっぱり分からない。
「ナルジニア殿は【剣王】の加護だったな。才能に胡坐をかいていたら、碌な人間にはならないぞ」
「言わせておけば!」
俺に侮蔑の視線を投げかけていた青い瞳が怒りに染まり、ナルジニアは剣の柄に手をかけた。
「そんなに沸点が低いとは、貴族として心の修行が足りないようだ。人の加護をとやかく言う前に、我が身を振り返って自分を律するべきだぞ」
俺は再び目を閉じて昼寝の続きをする。
「き、貴様!」
金切り声がしたところで、ナルジニアの気配が止まった。
どさりと何かが倒れるような音がする。
「ミネルバ。ゴミはゴミ箱にな」
「キュ」
【クモ使い】の俺がクモを使役するのは当然のこと。
俺に危害を加えようとする奴が、俺のクモに無力化されるのも当然のこと。
ミネルバは俺が最初に使役するようになったクモ。愛情を注いで育てたとても可愛い子だ。
静かになったので昼寝を楽しんでいると、頬を誰かが突っついた。
「もう時間か……」
もうすぐ昼の休憩が終わると、ミネルバが起こしてくれた。
体長50センチの黒地に赤色の縞がある大きなクモ。それがミネルバ。俺の大事な子供だ。
起き上がった俺についている埃をミネルバが払ってくれる。可愛いやつだ。
王立レイジング学園に通う俺は、今年最上級の6年生になった。
貴族の子弟や優秀な平民の子供が、この学園に入学しようと国中から集まってくる。
入学試験に受からないといけないが、10歳の年から15歳の年までの6年間、この学園で切磋琢磨するのだ。
先程のナルジニアのような奴が多いので、正直言って面倒くさい場所だ。
午後の授業は戦闘術。【クモ使い】の俺はテイマー枠。
俺の横を器用に8本の脚を動かして歩くミネルバと共に授業に参加する。
グラウンドには多くの生徒が集まっている。俺はその端のほうでミネルバを抱きかかえ、教師を待つ。
「キュウキュウ」
ミネルバが俺の腕の中ではしゃいでいる。
周囲にはテイマー系の加護を持つ生徒が、その使役する動物や魔物を従えている。
中にはベビードラゴンのような、飛行する魔物を従えている生徒もいる。だけど、テイマーは貴族としては正統派ではないので、強い魔物を従えていてもあまり評判は良くない。
それがクモのような節足動物になると、その風当たりはかなり強い。
「戦闘訓練を始めるぞー」
戦闘訓練は50前後の無精髭を生やした大柄な男性教師が主任教師をしていて、他に3人の常任教師、2人の副教師が授業を受け持つ。
主任教師は戦士、常任教師の2人は魔法使い、もう1人の常任教師は騎士の加護を持っている。副教師は弓士とテイマーの加護なので、俺はテイマーの加護を持った副教師の授業を受ける。
テイマー担当の副教師は、30前と若い。使役しているのは、一角馬という珍しい魔物。
その走る速度は普通の馬など相手にならないし、1日に1000キロを走り抜けるスタミナもある。戦闘力もかなりあって、頭部にある角から稲妻を放つ。
「今日は使役する魔物同士を戦わせましょうか。2人1組になってください」
生徒たちが組を作る。俺はポツーン。
「あー、スピナー君は見学で良いでしょう」
俺はいつも見学だ。
学園に入学した直後の戦闘訓練で、当時の教師が使役していたワイバーンを倒してしまったのがいけなかったらしい。
あまりにも弱すぎて、ミネルバに手加減させる間もなく首をチョンパしてしまった。
その後、調子に乗った主任教師を糸でグルグル巻きにして宙吊りにして髭と頭髪を全部切り落とした。あれから5年、教師たちは俺に何も言わなくなった。
暇だからグラウンドの片隅でミネルバとあやとりをして時間を潰す。
グラウンドの多くを使うのは、主任教師が指導する戦士や騎士系の加護を持った生徒たち。次に魔法使い系たちが大きな顔をしてグラウンドを使っている。
「はあ……、早く終わらないかな」
やることがないというのは、とても苦痛だ。
俺は授業を免除されているが、パパができるだけ学園に通うようにと言うから、たまに通っている。
学ぶことはなくても、人脈を作れるらしい。
「おい、スピナー! 僕と戦え!」
魚の骨やバナナの皮を髪の毛から生やしたナルジニアが、俺に木剣を向けて叫んだ。
お前、どこから出てきたんだよ……。あ、ミネルバがゴミ箱に捨てたんだった。
「えー、面倒だから嫌だ」
俺の答えが気に入らなかったのか、肩を震わせて叫んでいる。
騒ぎを聞きつけて教師たちがやってきたが、困った顔をしている。
「ナルジニア君。落ち着きたまえ」
「先生! こいつと僕の決闘を認めてください!」
ナルジニアは決闘の意味を知っているのだろうか?
貴族の決闘は、名誉と命を懸けるもの。負けたらそれこそ命がないと思わなければいけない。
俺ならとてもじゃないけど、決闘なんて面倒なことはしない。
「す、スピナー君。ナルジニア君がこのように言っているが、どうするかね?」
「先生、どうするとは、どのような意味ですか?」
「決闘を受けるか、どうかってことだよ」
髭面の主任教師は、決闘させていいと思っているのかな?
「先生もナルジニア殿も、決闘の意味を分かっているのですか?」
「そんなことは分かっているに決まっているだろう! 僕の名誉をかけて君と戦う!」
「命は懸けるのか? それともお遊びの決闘か?」
「決闘にお遊びも何もない! 命を懸けて名誉を守るためのものだ!」
「ふーん。で、先生もそれを認めたわけですね?」
「貴族の決闘に、余人の入る隙はない。我らが教師と言っても、貴族の名誉を懸けた決闘を却下できない」
学園規則に決闘は主任教師以上の許可と教師の監視下において行われるとあったと思ったけど、俺の勘違いか。
「決闘の条件は?」
「僕とスピナーの1対1。下賤な虫など神聖な決闘に使わないことだ!」
なにそれ? アホなの? いや、大バカだ。
「ナルジニア殿は何を言っているのかい?」
「正々堂々、1対1の戦いを希望しているだけだ」
「フーン。じゃあ、ナルジニア殿は武器と防具の全部をなしで戦うってことでいいのかな?」
「なんでそうなるんだ! 【剣王】の僕が剣を持たずに何をするんだ!」
「じゃあ、【クモ使い】の加護の俺が、なんでクモなしで決闘しなければならないんだ? 俺だけ加護を使うなというのは、明らかに不平等。それで正々堂々とか言うのだから、臍が茶を沸かすぞ」
俺に笑われて顔を真っ赤にしたナルジニアが、1対1なのにクモなど使うのはおかしいとアホなことを言っている。
「決闘というのは1対1で行われるのが基本だから、ナルジニア君の主張はもっともなことだよ」
おいおい、教師の癖にそんな一方的な条件を飲ませようなんて、クソだな。
ミネルバに丸坊主にされたことを、そんなに根に持っているの? ちっちゃい奴だな。
「主任、それはいくらなんでも」
「副教師が口を出すな!」
ある意味、あんたのためを思って副教師は言ってくれたのに、そんな態度をとっていいの?
「スピナー君が決闘を受けないのは問題ない。【剣王】の加護を持つナルジニア君が怖いのは当然だ」
これ、煽られているのかな?
こいつらに何を言っても無駄なので、いい加減面倒になってきた。
「まあ、いいですよ」
「「本当か!?」」
思いっきり食いついたな。
「いいですよ。ただし、こんな不平等な決闘を受ける以上、手加減はしませんからね」
調子に乗っていられるのも今の内だ! というような目をされた。
しかし、1対1の戦いなんて、久しぶりだな。
「これより、ナルジニア君とスピナー君の決闘を行う!」
主任教師が嬉しそうに宣言した。
こんな面倒なこと、早く終わらせよ。
「今日こそはお前を倒して、学年1位の座は僕のものだ!」
そんなに学年1位になりたいの?
ごめんな、過去5年間俺が1位で。
言ってくれれば、ちょっとは考えたよ。俺は空気読めるからさ。
もっとも、空気が読める俺でも、手加減できる限度があるけどね。
「両者、位置につきなさい」
主任教師が決闘の説明をした後、俺たちは10メートルほど離れて向かい合った。
しかし、ナルジニアは木剣を持っているのに俺は無手とか、本気で腹が立ってきたな。
この怒りをナルジニアに叩きつけてやろう。
「始め!」
「死ねぇぇぇっ!」
開始の合図と共にナルジニアが死ねと叫びながら突っ込んできた。殺す気満々だぞ、あいつ。
それならそれで、俺も心置きなくぶっ飛ばせる。
「俺は死ぬ気はないぞ」
ナルジニアが大上段から木剣を振り下ろす。それは俺の頭に当たる軌道を辿っていた。
頭に木剣が当たる直前、鋭く踏み込んでナルジニアの懐に入り、彼の脇に肩を入れて木剣を振り下ろす勢いを利用。
ナルジニアはぐるりと1回転して、背中から地面に叩きつけられた。
「ぐへっ」
肺の中の空気が一気に吐き出され、ナルジニアは息を吸うことができない。
柔よく剛を制す。昔の書物にあった技だ。
戦闘系の加護がなくても、体を鍛え、技を磨けばこれくらいできる。
「降参するか?」
俺にだって慈悲はある。ここで降参するなら、これ以上痛い目を見なくても済むぞ。
「ケホッケホッ。だ、誰が」
「理解してないようだから教えてやるけど、今俺が追撃したら君は死んでいたんだぞ」
今ので止めてもいいのに、主任教師は止めもしない。
生徒に殺し合いをさせて楽しいのかね。
「やってもいないことをとやかく言うな!」
俺の慈悲はナルジニアに届かないか。
ナルジニアは再び木剣を構え、俺に敵意を剥き出しにした。
ナルジニアに絡まれるのもいい加減飽き飽きしていたので、ここで二度と俺に絡まないように心を折っておくことにするか。
今ので不用意に飛び込むのは危険だと学んだナルジニアは、ジリジリと間合いを詰めてきた。
でもさ、ナルジニアが動かないなら、俺が動くよ。
散歩でもするかのように1歩、2歩と足を進めると、ナルジニアは大きく飛んで後ろに下がった。
そんなことは無視して、歩いていく。何度かナルジニアが飛びのいて距離を取るが、お構いなしだ。
「逃げるな、卑怯者!」
「怖いなら最初から決闘なんてするな!」
「どうせ勝てないんだから、早く降参しろよ!」
自分から決闘を申し込んだのに、消極的なナルジニアの行為にヤジが飛ぶ。
彼らはボルフェウス公爵家に縁のある家の子たち。
これでも公爵家の四男なので、それなりの縁故はある。いずれも以前俺がぶっ飛ばした奴らだけど。
ナルジニアはヤジを飛ばす生徒たちをチラチラ見ては俺を見る。奥歯を噛み、悔しさを滲み出す。
そんな表情をしたって勝てないんだから、勝てる手筋を考えろよ。頭を使え。
「卑怯だぞ!」
「何が卑怯なんだ?」
「ああやって僕の心を惑わせようという魂胆だろ」
どうやらヤジが気に入らないようだ。
「自意識過剰もここまで来ると、国宝級だな。決闘を挑んだのはお前だぞ。俺は加護を使わずに相手してやっているのに、加護を使うナルジニアが俺を卑怯だと言う。滑稽すぎて、逆に笑えないぞ」
俺に反論されて悔しそうな顔をした。
卑怯はどっちなんだと、自分がやっていることを理解するべきだろう。
「う、うるさい!」
「いいから、戦えよ。戦う気がないのなら、降参しろ」
「だ、誰が降参なんてするものか!」
やっとやる気になったようで、木剣をブンブンッと振り回して突っ込んできた。
「うわぁぁぁぁぁぁっ」
剣の型など関係ない無茶苦茶振っているだけの木剣を躱し、ナルジニアの腕に手を添えてほいっと。
空中で1回転して地面に叩きつけられ、ナルジニアは涙目になった。
今度は俺も容赦する気はないので、そのまま寝技に持ち込む。
「ぎゃっ!?」
右腕を一瞬で折ってやったが、それで終わるつもりはない。
滑るように体勢を入れ替えて、今度は左腕を折る。
ナルジニアが声を出そうとしたので、声が出ないように顎を外す。
今、降参されたら恐怖を植えつけることができない。俺をイラつかせた責任は、その心を折ることで償ってもらうから降参なんてさせないよ。
両腕の次は両足を折っていく。さらには、肩と股関節を外す。
降参してないからまだやれるが、四肢の骨を折って関節も外した。最後に腰の骨でも折っておくか。
「世の中にはやってはいけないことがあるんだぞ」
ナルジニアの耳元で囁く。声は出させない。恐怖に染まる瞳が、許してほしいと訴える。
だけど、二度と立ち直れないように、徹底的にやる。
俺はこれまで何度もチャンスを与えてやった。それで分かってもらえない以上、心に刻み込む。
───俺に関わるなと。
「っ!?」
「殺しはしないが、一生癒えることのない傷を背負って生きろ」
腰骨を折り、俺は立ち上がる。
ナルジニアは痙攣し、意識を手放した。
糞尿を漏らし、両手両足が曲がってはいけない方向に曲がっている。
「先生、まだやるの? これ以上は殺すことになるよ?」
俺がそう言うと、口を大きく開けていた主任教師が我に返って、嫌々といった感じで俺の勝利を宣言した。
その後、学園の救護班によってナルジニアの治療が行われたが、完全回復はできなかった。
普通に生活するくらいは問題ないけど、激しい運動はできなくなった。
それ以前に、常に何かにビクビクして、部屋から出てこなくなったらしい。
これで鬱陶しい奴に絡まれることもなく、残り少ない学園生活を謳歌できる。
ベニック公爵家からボルフェウス公爵家にクレームがあった。
いくら決闘でもここまでやる必要はないというのが、ベニック公爵家の言い分。
それに対してボルフェウス公爵家の回答は、決闘を申し込んだのはナルジニアでこちらは加護さえ使ってない。
俺の実力は5年間誰にも負けてないのだから、誰にでも分かっていたこと。
無謀なことをしておいて苦情を言ってくるなど、常識を弁えない行為だと言い返してやったらしい。パパったら、格好いいじゃない。
決闘の上のことなので、殺されても文句を言えないのが決まり。
それを無視して文句を言ってきたベニック公爵家は、貴族にあらずという評判が立った。
もちろん、そういった評判を立てたのはマイパパ。
それ以降、ボルフェウス公爵家に文句は言ってこないが、ベニック公爵の矛先は学園に向かった。
ナルジニアが動けなくなったところで、すぐに止めておけばここまで酷いことにはならなかった。
学生同士の決闘は、教師が管理することになっている。それはやり過ぎないための、ストッパーとしての意味合いが強い。
決闘を許し審判をした主任教師は、ベニック公爵の圧力によって管理不行き届きということで罷免された。
主任教師が罷免されただけでは、嫡子を使い物にならないようにされたベニック公爵の怒りは収まらない。
罷免後の主任教師の姿を見た者は居ない。その意味は誰にでも分かったが、誰も口にしなかった。
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