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第一部
・
階段を上がって来る足音がする。近づいてくる。足音は部屋の前を通り過ぎていく。
僕の部屋のドアを開けた。多分。もう音はあまり聞こえないけど、もう一度僕を確かめに行ったんだろうって思った。
僕はとても神聖な気持ちになって、ベッドの上で真上を向いてぴんと足を伸ばした。
しばらくするとこの部屋のドアハンドルが動く音が部屋に小さく響いて、僕は入口に目をやった。
透は入ってくるなりベッドの上の僕に気付いて一瞬足を止めた。
それから電気はつけずに中へ入って来て、部屋の奥にある机の上のスタンドライトをつけてしばらくごそごそ何かをしてた。
僕は両手できゅっとタオルケットを握り締めたまま、透が来るのを待った。
やがてライトが消され、透がこっちに来た。
僕がどきどき見上げてると、透はふっと笑い「初夜って感じ」と言ってそっと僕が握り締めてたタオルケットを引っ張って剥ぎとった。
そのまま横へ腰を下ろし、透は僕の裸を眺めた。
それから僕の胸から腹にかけて、大きな手で撫でた。
「今夜でいいってことだよね」
「うん……」
「海の傍の別荘で、波の音を聞きながら、とかじゃなくていいの」
「うん……」
だって波の音はいつでも聞こえるよ。心の中に。
あの日ふたりで聞いた潮騒も、昨日砂を握り締めて泣いていた夜の、海のざわめきも。
迎えに来てくれた透と最後に歩いた眩しい浜のあの煌めき、靴に踏みしめられて音を立てる濡れた砂、照り返しの熱気すら……今、鮮やかに蘇る。
透は自分も服を脱いで僕に口づけながら覆いかぶさってきた。
宝物になったみたいに感じさせるキスが、体のあちこちに落とされる。
かつて人ではないように扱われた同じ体が、これ以上ないくらいに大切に触れられる。
僕は彼に足を開きながら、まるでこの瞬間のためにすべてがあったのだと思うくらい、胸を幸福に満たされて甘い声を上げた。
正面から揺さぶられた後、息を乱しながらベッドにうつ伏せになり、背後から覆いかぶさる透をふたたび受け入れる。
卑猥な音と何度も穿たれるその振動に、追い上げられていく。
堪えるようにシーツに爪を立てる僕の手を、透の手が包みこむ。
上擦る僕の嬌声に煽られて、僕を揺さぶる力が強くなる。
──首筋に、透の唇を感じた。
まるでソフトクリームを食べる時のように僕のうなじをかぷりと甘噛みして、舐める。
官能が高まる。
それは今までに感じたことのないもので、普段そこに触れられてもこんな感じはしないっていう、予感めいた感覚。
よく知っている悦びに追い上げられながら、うなじがどんどん熱くなってく。
触れ合った場所の境目が分からなくなるほど溶け合う。
激しく揺さぶられ、そして自分の呼吸さえ分からなくなるその頂きで────
叫ぶように口を開けたけど声は出なかった。
絶頂を迎えた瞬間に噛まれた、その感覚だけはあって、あとは頭のてっぺんからしっぽの骨の先までビシッと衝撃が走って、音が消えた。
僕の部屋のドアを開けた。多分。もう音はあまり聞こえないけど、もう一度僕を確かめに行ったんだろうって思った。
僕はとても神聖な気持ちになって、ベッドの上で真上を向いてぴんと足を伸ばした。
しばらくするとこの部屋のドアハンドルが動く音が部屋に小さく響いて、僕は入口に目をやった。
透は入ってくるなりベッドの上の僕に気付いて一瞬足を止めた。
それから電気はつけずに中へ入って来て、部屋の奥にある机の上のスタンドライトをつけてしばらくごそごそ何かをしてた。
僕は両手できゅっとタオルケットを握り締めたまま、透が来るのを待った。
やがてライトが消され、透がこっちに来た。
僕がどきどき見上げてると、透はふっと笑い「初夜って感じ」と言ってそっと僕が握り締めてたタオルケットを引っ張って剥ぎとった。
そのまま横へ腰を下ろし、透は僕の裸を眺めた。
それから僕の胸から腹にかけて、大きな手で撫でた。
「今夜でいいってことだよね」
「うん……」
「海の傍の別荘で、波の音を聞きながら、とかじゃなくていいの」
「うん……」
だって波の音はいつでも聞こえるよ。心の中に。
あの日ふたりで聞いた潮騒も、昨日砂を握り締めて泣いていた夜の、海のざわめきも。
迎えに来てくれた透と最後に歩いた眩しい浜のあの煌めき、靴に踏みしめられて音を立てる濡れた砂、照り返しの熱気すら……今、鮮やかに蘇る。
透は自分も服を脱いで僕に口づけながら覆いかぶさってきた。
宝物になったみたいに感じさせるキスが、体のあちこちに落とされる。
かつて人ではないように扱われた同じ体が、これ以上ないくらいに大切に触れられる。
僕は彼に足を開きながら、まるでこの瞬間のためにすべてがあったのだと思うくらい、胸を幸福に満たされて甘い声を上げた。
正面から揺さぶられた後、息を乱しながらベッドにうつ伏せになり、背後から覆いかぶさる透をふたたび受け入れる。
卑猥な音と何度も穿たれるその振動に、追い上げられていく。
堪えるようにシーツに爪を立てる僕の手を、透の手が包みこむ。
上擦る僕の嬌声に煽られて、僕を揺さぶる力が強くなる。
──首筋に、透の唇を感じた。
まるでソフトクリームを食べる時のように僕のうなじをかぷりと甘噛みして、舐める。
官能が高まる。
それは今までに感じたことのないもので、普段そこに触れられてもこんな感じはしないっていう、予感めいた感覚。
よく知っている悦びに追い上げられながら、うなじがどんどん熱くなってく。
触れ合った場所の境目が分からなくなるほど溶け合う。
激しく揺さぶられ、そして自分の呼吸さえ分からなくなるその頂きで────
叫ぶように口を開けたけど声は出なかった。
絶頂を迎えた瞬間に噛まれた、その感覚だけはあって、あとは頭のてっぺんからしっぽの骨の先までビシッと衝撃が走って、音が消えた。
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