魔樹の子

クラゲEX

文字の大きさ
3 / 26

タビダチノヒニ

しおりを挟む
「あーーーー。」
戴枝式から三時間後__。

帰る前は魔術を試そう!と息巻いていたのに、
この始末。

全然やる気が出ない。
おい、やる気よ、何処?

「しょうがない。寝よう。」

教会に飯をたかる元気もなく、
そのまま寝てしまった。



8:50。

「アレーン。起きろー。」

「____んん、え、何で居んの?」

鍵を閉めた筈だが?

「魔術でちょちょいとねー。」

「犯罪だし、
プライバシー侵害だから今後絶対やるなよ。」

「分かったよー。」

こいつ本当に分かってんのか……?

「と言うか、何故俺の家に?」

徐に枝を取り出して、俺の目の前に見せる。


「魔術の練習だよー。」



9:00。

「魔術の練習ねえ…」
着替えを済ませて、外に出る。

見える魔素を吸って……
「吸った後、どうするんだっけ。」

断片的にしか覚えてない。

「しっかりしてよー。
村の外には、魔獣がウヨウヨしてるんだよー?
そんな状態で出たら、瞬殺だよー。」

「まあ、うん、その通りです…」

見通しの甘さが恥ずかしい…

魔獣。
どれだけの数がいるかは分かっていない、
人類の敵。それ相応の実力がなければ瞬殺、
あっても殺されることは多々ある。

魔獣の討伐には、
例え小さい魔獣1匹であったとしても、
複数人での討伐が当たり前。


逃げるのも一苦労の相手に魔術もなしで…
本当に考え無しだった。

「魔素を吸った後、想像に真名を与えればいいんだよー。」

真名…名前か。
想像に相応する名前を与えれば、
魔素はそれに応えてくれる。

「何でもできるな…」

「人によって、一度に吸える魔素の量は違うけどねー。あと想像力。」

____。想像力、あるかな。

「取り敢えずやってみようよー。」



言われるがまま、枝を手に取り魔素を吸う。

肺が大きく膨れて、気持ちはさながら風船。

あまり深呼吸することも無いから、少し頭痛。



想像するのは水の球…

名前、そのままでいいか

「水球。」


枝先に徐々に膨れる水の球。
反比例して、体は徐々に萎んでいく。

「おお!成功したぞ____ってなにそれ?」

横を見ると動く土塊がルークを肩に乗せて歩いている。

「作ってみたー。」

そんな軽いノリで作れるものか。
水の球で喜んでいる俺はすぐに消えてしまった。
跡形も無く。

「やっぱり苦手かも。」



16:30。


結局____

「出来ないんかい。」

俺が生んだ土塊は、動くことは終ぞ無かった。

その後、飯を食いに教会へ。


「もう大人なんだから自炊しろ。」

シスターの言葉が痛い。


寝に入るのは中々早い。

「いつも以上に疲れたからか…ねっむ。」


4:30。

朝早くに目が覚めて夜と見間違えるも、
時計を見てこんな時間に起きた自分に
少しいら立つ。

「なんて微妙な時間…」

今日は、ルーク来るのか?
教会に朝飯食いに行くにしても早い。
久々に手伝いでも____。


「____。」

静かな夜だった。やっぱり夜なんだ。

4:30な訳が無かった。



5:00。

「大体持ったかな?」

身分証、換金出来そうなもの、着替え、etc…

ドアを捻って外に出る。
そこに他の動作は要らない。



5:10。


村から出る。
閑静な村、
五時なんだから、
少し生活音がしてても良いと思うが。

「アレーン。」

伸びた声が前からする。

外にはルークが立っていた。

「行くんだねー。」

「ああ、行ってくるよ。」

「シスターによろしく伝えといてくれ。」

「分かったよー。
帰ってきたら旅の報告、よろしくねー。」

「ああ、今まで五年とちょっと、
長く付き合ってくれてありがとう。」

「今生の別れみたいだねー。
…戻ってこいよ。」




__多分別れの挨拶はこうだろう。



「うん、戻ってくる。」

そう言って、村を後にした。



しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

冤罪で殺された聖女、生まれ変わって自由に生きる

みおな
恋愛
聖女。 女神から選ばれし、世界にたった一人の存在。 本来なら、誰からも尊ばれ大切に扱われる存在である聖女ルディアは、婚約者である王太子から冤罪をかけられ処刑されてしまう。 愛し子の死に、女神はルディアの時間を巻き戻す。 記憶を持ったまま聖女認定の前に戻ったルディアは、聖女にならず自由に生きる道を選択する。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

靴屋の娘と三人のお兄様

こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!? ※小説家になろうにも投稿しています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

処理中です...