魔樹の子

クラゲEX

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ハクチ編

ホシノタンジョウギ

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冷えた腕と脚は大きな髪の毛のようで、
重い分風に揺れることもなく、ただそこにあるのみ。

目は開かず、何か原初に似た感覚で包まれている。

今は、ただ目覚めるその日を待つ。



何百もの日を越した気がする。
思考は徐々に回復し、目に光の兆しが見え始める。

そこから数千の日を跨いだろう。
死にかけの虫の様に、醜くも懸命にもがき始める。

数えるのを辞めたとき、
やっと自分を取り戻せた。


「……此処は?」

一面草原、花もちらほら咲いている。
しかしそれに似合わず、空は暗く閉鎖されている。

殺された筈がこうして自分が分かるのは、
「死後の世界?」

「違いますよ。」

すぐ返された。
いや、答えが欲しいと思ってはいたがこうも素早く返されては少々拍子抜け、
期待外れ?…予想外れだ。

「すいませんね。貴方の思っていたような、一人安寧の聖域でなくて。」

思考が読まれた!?

「読めますよ。まあ此処に来るのは大抵が重傷なんでね。精神的にも肉体的にも。」

肉体的はともかく、精神的に重傷な奴には逆効果では?

「こうでもしないとさっさと立ち直って出ていかないんでね。荒療治ですよ荒療治。」

「そういう貴方は…両面から見ても立派に健康、なんで運ばれたんです?」

いや、こっちは死にかけてたし、
運ばれてきたと言っても誰が運んだのか、
此処はどこなのか、
あんたは誰なんだって感じなんですが?

「死にかけてた?___あぁ、分かりましたよ。貴方魔者ですか。そうでしょう。ここは樹との混じり物にとって、絶好の肉林ですからね。詰め替えし放題、組み替え氏放題!」

なんか最後テンション高いな…
魔者ってのは合ってるけど、
いい加減ここが何処なのか、
あんたは誰なのか、教えてくれませんかね?

「すみません、すみません。
客人は久しぶりなもんで、
ここがどこなのか、ですね。
此処は魔樹と呼ばれているあの寄生樹の内側ですよ。私は案内人兼支配人。
えーと、名乗りたいところなんですが、
生憎、名前がありせん。適当に幹とでも読んでください。」

魔樹の内側?一体…答えてくれ、幹。

「早速呼んでくれましたね。
いいでしょう。教えましょう!
内側の存在は星の欠片であるこの
舟が燃え尽きず、冷え切らず、
死滅しない様に生存し続けている理由です。
魔樹がこの舟…
貴方達の認識だと星なんですっけ。
まあその全てに根を張っているからなんです。その影響で、魔樹の極小端末、“枝”が条件を満たした上で、連れてきたいと思わせた人間を連れてこれるんです。何処からでも。
この星の真核、始まりの樹、
第九次元特異起源体、えーと?地球の頃はなんて呼ばれてたっけな、
ああ!そうだ、そうでした。
“パンドリー“、星の運行の中枢に。」
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