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優一の弟の話。

ニイニが好きな理由。

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春月は最初から優一が好きだったわけではない。性的でもそうだが“姉弟”の中でも好きではなかった。理由は“嫉妬”だった。例えで言うならばこうだ。

※あくまでも例です。

その1、一緒にデパート。

「ねぇ、走ったら危ないよ?」
(春月)

「うるさいな~もー。……うわっ!!!」
(優一)

ー今日は雨降ってたから滑るのに………何走ってんだ……

優一は靴が滑って尻餅をついた。

その2、遊園地にて。

「あれ面白そうっ!!!」
(優一)

「あっ、離れたら迷子になるよっ!」
(春月)

「大丈夫だって!」
(優一)

結果誘拐まがいの迷子になった。

ーだから言ったのに………

いつも可愛がられるのは弟の“俺”ではなく兄の“優一”だった。だが分かってしまったのだ。優一の“可愛さ”に。

[ 数日後 ]
面倒なことに嫌いな兄とのお留守番を頼まれた。

ー最悪だ。なんでよりにもよって、アイツと“二人”で留守番しなきゃならないんだ。

「喉乾いたな~。春月何か飲む?」
「水。」
「分かった!」

ー………素直で可愛いな………?かわ、いい?アイツが?

「持ってきたよっ!うわっ!!!」

優一は足下にあったコードに片足を引っかけた。バランスを崩した優一は顔面からこけた。

「!だ、大丈夫っ!?にいっ!!」
「……えへへ、ごめんねこぼしちゃった。」

『ドキュッン!!』

「あ、い、いいから早く、拭こう。」

ーなんだ………さっきのは………

「うん。……あー、牛乳まみれになっちゃった……えへへ」

『バキュンッ!!』

「うっ!」

この時春月は優一に“愛”と言う名のハートに矢を射たれたのだ。




ーーーーー
小学6年生になるとお年玉を貯めて買ったカメラで優一を取ることが日課になっていた。

ーあの時ニイニに射たれてからもう3年か~………はぁ……もうニイニしかいらないな~

優一はモテてはいなかったが春月はおモテになった。6年生になってから12月まで告られた回数は数え切れない。けれど春月にはどうでもいいことだった。

ーニイニのために今度は盗聴器を買おう……ふふ、よろこんでくれるかな?けど嫌がったら監禁すれば良いし……いっぱいニイニが見れるし………

完全にヤバい奴だなこいつ。

「早くニイニも精通が来たら良いのにな~………」

そこまで知ってんのっ!!

「来たらニイニの精液全部俺が、飲むから、ね?ニイニ………」

春月は笑顔を浮かべながら写真に微笑んだ。写真には優一の寝顔が写っていた。





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