ありがとう、さようなら

大嶋 桃枝

文字の大きさ
1 / 2
魅惑のローズと氷の心

魅惑の歌声を持つ私と私の物にならない貴方。

しおりを挟む
 私の声、身体、男達は皆、花に群がる蜂のごとく私に堕ちる。魅惑的な私、女は皆私を悪魔の魔女と罵った。ナンセンスな言葉よね。けど女達は諦めない、私を貶めようと罠を作り、そして男達は私を守ろうと皆、心を壊す。
 あぁ、退屈。本当に退屈過ぎて反吐が出そう。そんな時貴方が私の世話役になった。最初は私に乗らない貴方に退屈だった。また退屈なのね、と。けれど貴方の魅惑に気付いた時にはもう遅かった。私は貴方にどっぷり浸かっていた。
 なんで?なんで?私を見てくれないの?どうして?私に何が足りないの?私の身体は誰もが望む姿。私の声は誰もが天使だと称える声。私の何が、何が足りないの…………



─────
〈バーバリー・ロンス〉
ここはバー。誰もがここに安らぎを求めて金を落としにくる。私は今日も母の為にこのを売りにきた。

「ラ~、ララ、ラ~ララララ~ララ…………」

私の声は天使と称えられる程美しい。古びたピアノの音に合わせて歌えば、ほら、もう堕ちた。何度も何度も歌ってしまえば墜ちない者などいない。だって全てが称賛されるに値するのだから。

「あら、なぁ~に?」

私の胸元にチップを入れてダンディーな彼が私の腰元を抱える。

「今日も素敵だね、ローズ。」
「あら、ありがとうマイケル。けれど、それだけ?」

彼が求めるのは私の声と身体、今日は身体の方らしい。

「よく分かっているね、夜、ロンスの地下で………」
「えぇ、分かったわ」

本当は嫌。男のモノなんか気持ち悪い。けれど私の母の為には身体を売らなければならない。拒否権などないのだ。
私はこの嫌悪な気持ちを割り切る為、歌をまた歌う。周囲からの声が聞こえる、いや聞こえさせているのだろう。

『今日はマイケルか、俺ももう少しで金が貯まるし、ローズのあの中に入れるぜ』

気色悪い。

『また、チップ貰って。あの子どれだけ阿婆擦れあばずれなのかしら、いつかこの世からいなくなるわね』

仕方ないじゃない、貴方にはあの大金を稼ぐお金なんてあるの?

こうやって心の中で、嫌みを言うのが私の精神安定剤。誰もいない所で親指の爪を噛んでしまいたい衝動に刈られる。けれど私は綺麗でなければならない。それだけが私の存在理由なのだから。

─────
「今日は素晴らしかったよ」

マイケルの欲望を私の身体をもって処理を終わらせた。マイケルは眠気で薄れゆく声で私にキスをねだる。

「しょうがないわね………」

私は彼に口づけをする。勿論濃厚な方。

「今日は本当に素晴らしかった、ありがとう。」

そう言って彼はベッドに身体を委ねる。やっと眠った、本当に男は単純だ。簡単で退屈。けれど身体はぐったりと疲れてしまう。
近くにあった時計を眺める、もう朝だ。

「今日はオレンジを買おうかしら」

そんな他愛のない素っ気ない言葉を口にする。さぁ、母さんの為に薬を買わなければ………

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...