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友達

お礼。

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 [ 保険室 ]
「保健室の先生いないね。」
「うん、先生はこの時間帯はご飯食べてるから。」
「そ、そーなんだ………えっ、と………」
「キミのおかげで遅れて行くどころか、授業にもでられなかったよ。」
「す、すいません…………」
「いや、別に怒って無いけど。」

犬のようにしょげている姿が涙には少し面白く見えたようで。

『クーン…………』

犬と重ねて見えたらしい。

「ふふ。」
「あっ!今笑っただろっ!!」
「えっ。」

ー俺いま、笑ったんだ。…………久しぶりかもしれない。

久しぶりの笑顔のことで少し戸惑ったが、これだけは言わなければいけない事を真尋に言った。

「あのさ、何か俺、多分ヤバい事にあってるっぽいから、あまり近付かない方が良いっぽいんだけど。」

他人事のように喋るが、涙にはそれが普通なのだ。

「知ってる。」
「なら………」
「知ってるからどーにかすんだよ!お前は流されやすいタイプなんだからな!?」
「は、はぁ…………」

押しの強さに流されそうになる。

「だーかーら、俺がお前を守ってみせるから!」
「はっ?」

なにを言っているんだ?というような顔をする涙。途端になぜ?と言う疑問が残った。自分のどこをどう守ると言うのだろうか。守ってもらいたいことはないと言うのに。

「なにを守るの?」
「えっ!?えーと、それはだなー……………色々っ!!色々抜けてる所あんだろだからそこをカバーするんだよ!」

笑顔でそう言った。涙はなぜか“分からない”気持ちに包まれた。

ーなんだろう………これ。なんか胸がぎゅっとなるようなそんな感じ…………


ーーーーー
数分して、保健室の先生がやって来た。
先生の印象は、少し癖っ毛の茶色の髪に髪型はおさげ。スリムな体型に合った長身。少し濃いメイク。そして、喉仏。

ー…………あれ、の、喉仏、だよ、な?え?男?男なのか?

「あら、涙ちゃんじゃないの~、またそんなに汚れて~。少しは汚れないように逃げなさいっていったでしょっ!?」  
「すみません。けど、ケガは酷くないでしょ?」
「まぁ、先月に比べたらね。」  
「あ、あの~」

真尋は気になった為、先生に聞くことにした。

「せ、先生は、お、男なんですか?」
「……………」

「あら、分かっちゃった?そうよ、私は男よ。てか、見たことない生徒ね。名前は?」
「あ、真尋って言います。鈴川 真尋。」
「鈴川くんね。私は、柳 優介(やなぎ ゆうすけ)。みんな優ちゃんって言うから、鈴川くんも優ちゃんって呼んでね?」
「あ、はい!」

ー濃そうな人だなー……………

その後、涙の怪我を優ちゃんが手当てし、教室に帰ることにした。

ーうーん…………なんか忘れてる様な…………あっ!!教材っ!!!あのままだった!やっべー早く取りにいかなきゃ…………

その後教室に戻り、こっぴどく怒られました。…………自分のせいだけど………





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