小学生女児ですがスキル『極上の女たらし』しかもらえなかったので全ヒロイン&女神をメロメロにして安泰生活目指すぜオラ

コウノトリ

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 声の大きさ、それと滑舌。


 歌舞伎を西洋風に真似するとはいえ、これは西洋も東洋も変わらない大事なことだ。


 歌舞伎の世界では、「一声、二顔、三姿」という。


 一番大事なのは声の質、二番目が顔で、三番目が所作などの姿、ということだ。


 一番大事にされるのが声というのは、昔はマイクとかなかったから、台詞をきちんと伝える必要があったらしい。


 それは演劇界の常識。
 現代っ子である私だって、ミュージカルをかじっているから、声はなおさら鍛えていた。



 と、色々言っても、歌舞伎は奥が深すぎる。いくら初めから文明の遅れた世界でも、ものになるまでには投資と時間がかかる。それで客を集め、カネ稼ぎだけでなく、人を呼び込み娯楽都市を築く、なんてことは長い年月がかかる。



 と、なれば、初めに行うのは義経千本桜などの演目の普及だ。


 オペラの世界では、イタリアが昔は一強だった。
 イタリアでは街角で「俺はあの歌手よりうまくあの曲を歌える」とみんながオペラを楽しんでいたという。


 それが今では衰退してきていて、代わりにドイツがオペラ新興国として出てきていた。



 ドイツのオペラは演出家が重要視されて、昔の貴族社会の演目をサラリーマンに変えてしまうなど、それはそれで賛否両論だった。



 私は吟遊詩人という人々を集めて、歌舞伎の演目を教えていった。



 そして、彼らに一人語りの形の演目にアレンジして民衆に広め、できるだけ昔のイタリアのように演目を民衆の文化として根付かせてほしいと頼んだ。


 もちろんオペラのような歌唱が主な演劇とは歌舞伎は違うが、そこは本業の吟遊詩人たち。歌舞伎の発声法で歌を作って、広めてくれることになった。



 かくして、「歌舞伎唄」という文化が、奥様の援助で広められることとなった。



 特に義経千本桜は人気にすぐに火がつき、街のあちこちで、なんと田楽として広まっていった。



 もちろんこの西洋風の世界では農業が主産業で、とても苦しい。田楽は農作業の辛さを紛らわすためのもので、歌舞伎唄は農民の文化として急速に広がっていったのである。



 私、ナイス!



 と、これがたった三か月で巻き起こったムーブメントなのは嬉しいのだけれど……。




 歌舞伎座、全然育たないなあ……。



 そもそも私も歌舞伎は子役としてちょっとかじっただけだしなあ……。
 限界、あるよね。


 まあ、長い目で見るとして。



 奥様にはお金ばっかりせびっちゃったから、ここらで公演をしたいんだけど、うーん、こんな田舎じゃ大して客は入らないし……。



「あ」


 マオン公女殿下の公爵領に行くか。
 あそこ、景気いいらしいじゃない。


 イェイ。




「――と、いうわけで、公爵領で歌舞伎の初公演をしようと思いますの。交通の要所ですから、きっと噂が噂を呼んで、エーデルワイズ伯爵領は文化立国できますわ!」
「あなたは……。メユ、本当にお金をかけさせますね。そんなこと、私だって歌舞伎座は見ましたが、あの人数を移動させるのですか? あなた、最小限の人数とかいって七十人も雇っているではありませんか。それもまだほとんど素人!」



「いやですわ奥様。公爵領で噂になることは確かなのですから、あっという間にお金は回収できます。それはもう、一度の公演で千人は集められますわ。ギリシャの古代演劇状なんてもっとすごいんですから」



「ギリシャ……? まあ、文化立国のことは、お金の面だけでなく、長い目で見ても、領民のためとは思いますから、……いいでしょう。でも覚えておきなさいね。あなたのしでかしていることで、伯爵領の財政はぎりぎりなのよ」



「肝に銘じておきますわ」
「まったく……」



 そうして私のアクアノーツ公爵領城下町への出張公演が決まった。中途半端な歌舞伎と歌舞伎唄でも、発声からしてこの世界の常識から外れていて、珍妙だろう。


 私が毎日鍛えている役者たちには張り切ってもらおう。

 
 ちなみに役者は男女どちらもいる。




 そしてマオン公女殿下は絶対にモノにする。


「……気合ね。ソレイユ、剣術の指南をして」
「はい、もちろん」
「ぼこぼこにするつもりで鍛えるわよ」
「え? どちらがぼこぼこになるのですか……?」
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