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■第一章 人間の行動の怖さ
03_ガケダンソー海岸とHIV / AIDSのまじめな話
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我らの誇る観光地・江ノ島(神奈川県藤沢市)から約10キロメートルほど離れたところに、「ガケダンソー海岸」という場所があります。本日はそこに関連する病気についてのお話を少し。
ある日の私はサイクリングをしておりました。
国号134号線はサイクリストの定番コースです。運動すればゴハンがうまい! いつもの3倍以上のカロリーを買い食いするから、運動すると体重が増えるタイプです。いいんです、筋力はアップします。
その日もヒーコラヒーコラ、バヒンバヒンと坂を上がり、差し掛かること崖の上。
ガケダンソー海岸というのは、この国号134号線の南側、その仮名の通りガケの下にある海岸です。四輪で通る時は気がつかなかったんですが、なんとこの崖下の岩場に十名ちかくの人間がいて、楽しそうに遊んでいるではありませんか!
どこかからあそこに降りられると知ったことにも驚きでしたが、さらに衝撃的だったのは遊んでいる男性たちの格好です。
Oh!
Tバ~ック。
スーパービキ~ニ。
ア~ンド、ジャパニーズクラシックパンツa.k.a.ふんど~し~!
私の中にゴシップ大好きなニューヨーク・ガール「ジェシカ」が降臨して、色とりどりのパッショナブル・スイム・ウェアに「ゥワ~ォ」と感嘆します。
新宿の伊勢丹でマネキンが履かされていたHOMのスーパービキニよりももっと際どい布の量。色とりどりのブーメランは、まるで魅惑のバタフライ。そしてなにより、伝統行事以外でふんどしを着用されている方をお見かけしたのは初めてです。ふんどし自体は、ホルモン屋のマスターが御神輿で着用しているので、なくはないという存在なのですが。(※1)
それにしても、岩場にいる男性の皆さんはとても楽しそうです。シュノーケリングをしている人もいて、あそこがシュノーケルを使って遊ぶのに適した場所なのであれば、我が家から一番近いスポットとなるので私も利用したいくらいです。
しかし私がそこでシュノーケリングをすることは、おそらくないでしょう。
察しのいい方はお気づきかと思いますが、このガケダンソー海岸は、ゲイの方が出会いを求めて集まるスポットの中でも過激な場所。俗に言う「ハッテン場」だったのです。
さて。
私はHIV / AIDS(※2) エデュケーションリーダーという活動をしていた時期があります。これはラジオ局が共同実施していたキャンペーンで、HIV / AIDSに対する関心を持って正しい知識を得てもらうことを目的とした啓発運動です。
この話題をきっかけに親しくなったサノオ先生という方がいまして、ご自身がゲイであることを公言しています。自営業で仕事の幅が広く、メイン業の他にも、ゲイの方へのインタビュー記事やコラムなどを専門媒体で扱っているという多彩な活躍ぶり。神奈川の方ではないのでたまにしか会えませんが、ウェブ会議中も引き出しが豊富で、とても参考になる小話をしてくれます。
サノオ先生はハッテン場についても造詣が深く、そこでのHIVや性病について「モラルや衛生の面で大きな問題がある」とおっしゃっていました。サノオ先生が行かれるのはもっぱら会話交流をするカフェバーですが、そこでは「ハッテン場での行為による後悔」という話を幾度も聞かれています。HIVキャリアの方がいらっしゃるんですね。この話題になったときの具体的内容は……、全年齢の公開作品ではお伝えできないので、この辺にとどめます。
医療機関からの情報発信は「HIVキャリアとなっても、きちんと薬を飲んでいればAIDSの発症を防げる」というものです。が、実際に感染した方は大変なショックを受けています。生命の危機だけでなく、社会的な面でも。身近にサノオ先生のような聞き上手がいてくれたらいいのですが、誰でもそういう方に会えるとは限りませんし……。
性的マイノリティの方は出会いの場も限られているため、上記のような場所を訪れる方は今後もいると拝察します。「ハッテン場での行為による後悔」とならぬよう、願うばかりです。
平成時代に読み心に残った作品で、家田荘子さんの「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過した一年の壮絶記録」(文藝春秋)というルポルタージュがあります。あの頃と比べて、令和時代では市井におけるHIV / AIDSの認知度や知識がどのように変化したのでしょうか。
意外なことに、HIV / AIDSだけでなく性病全般の認知度や知識は学校教育に取り入れられていることなどにより向上していました。「過去と比べて認知度が下がっているのでは?」と私は少々心配でしたが、それはないようでよかったです。「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」でも、新規HIV感染者・AIDS患者報告数が減少していたのです。
……とはいえ、近年では性病感染者数が再びの増加というニュースもあります。超高齢社会で性行為のできる年齢層の人口自体は急速に減っているのにこの状況ですから、単純に喜べないのかもしれません。
※1
ちなみに地元の祭ではふんどしではなく、ステテコ。マスターがよその祭へ応援に行く際に「ドレスコードがふんどし」という時があります。
※2
HIVはヒト免疫不全ウイルス (Human Immunodeficiency Virus)で、エイズは後天性免疫不全症候群 (Acquired Immunodeficiency Syndrome)というHIVによって引き起こされる病気の総称。HIVの感染は性行為によるものが最多で、腸管粘膜による性行為は、人体の構造上感染リスクが高くなります。
୨୧┈┈┈┈┈୨୧
ホラー・ミステリー大賞参加ボタンを押し忘れました。お気に入り追加・しおりをいただけるとうれしいです(*ᴗˬᴗ)
ある日の私はサイクリングをしておりました。
国号134号線はサイクリストの定番コースです。運動すればゴハンがうまい! いつもの3倍以上のカロリーを買い食いするから、運動すると体重が増えるタイプです。いいんです、筋力はアップします。
その日もヒーコラヒーコラ、バヒンバヒンと坂を上がり、差し掛かること崖の上。
ガケダンソー海岸というのは、この国号134号線の南側、その仮名の通りガケの下にある海岸です。四輪で通る時は気がつかなかったんですが、なんとこの崖下の岩場に十名ちかくの人間がいて、楽しそうに遊んでいるではありませんか!
どこかからあそこに降りられると知ったことにも驚きでしたが、さらに衝撃的だったのは遊んでいる男性たちの格好です。
Oh!
Tバ~ック。
スーパービキ~ニ。
ア~ンド、ジャパニーズクラシックパンツa.k.a.ふんど~し~!
私の中にゴシップ大好きなニューヨーク・ガール「ジェシカ」が降臨して、色とりどりのパッショナブル・スイム・ウェアに「ゥワ~ォ」と感嘆します。
新宿の伊勢丹でマネキンが履かされていたHOMのスーパービキニよりももっと際どい布の量。色とりどりのブーメランは、まるで魅惑のバタフライ。そしてなにより、伝統行事以外でふんどしを着用されている方をお見かけしたのは初めてです。ふんどし自体は、ホルモン屋のマスターが御神輿で着用しているので、なくはないという存在なのですが。(※1)
それにしても、岩場にいる男性の皆さんはとても楽しそうです。シュノーケリングをしている人もいて、あそこがシュノーケルを使って遊ぶのに適した場所なのであれば、我が家から一番近いスポットとなるので私も利用したいくらいです。
しかし私がそこでシュノーケリングをすることは、おそらくないでしょう。
察しのいい方はお気づきかと思いますが、このガケダンソー海岸は、ゲイの方が出会いを求めて集まるスポットの中でも過激な場所。俗に言う「ハッテン場」だったのです。
さて。
私はHIV / AIDS(※2) エデュケーションリーダーという活動をしていた時期があります。これはラジオ局が共同実施していたキャンペーンで、HIV / AIDSに対する関心を持って正しい知識を得てもらうことを目的とした啓発運動です。
この話題をきっかけに親しくなったサノオ先生という方がいまして、ご自身がゲイであることを公言しています。自営業で仕事の幅が広く、メイン業の他にも、ゲイの方へのインタビュー記事やコラムなどを専門媒体で扱っているという多彩な活躍ぶり。神奈川の方ではないのでたまにしか会えませんが、ウェブ会議中も引き出しが豊富で、とても参考になる小話をしてくれます。
サノオ先生はハッテン場についても造詣が深く、そこでのHIVや性病について「モラルや衛生の面で大きな問題がある」とおっしゃっていました。サノオ先生が行かれるのはもっぱら会話交流をするカフェバーですが、そこでは「ハッテン場での行為による後悔」という話を幾度も聞かれています。HIVキャリアの方がいらっしゃるんですね。この話題になったときの具体的内容は……、全年齢の公開作品ではお伝えできないので、この辺にとどめます。
医療機関からの情報発信は「HIVキャリアとなっても、きちんと薬を飲んでいればAIDSの発症を防げる」というものです。が、実際に感染した方は大変なショックを受けています。生命の危機だけでなく、社会的な面でも。身近にサノオ先生のような聞き上手がいてくれたらいいのですが、誰でもそういう方に会えるとは限りませんし……。
性的マイノリティの方は出会いの場も限られているため、上記のような場所を訪れる方は今後もいると拝察します。「ハッテン場での行為による後悔」とならぬよう、願うばかりです。
平成時代に読み心に残った作品で、家田荘子さんの「私を抱いてそしてキスして―エイズ患者と過した一年の壮絶記録」(文藝春秋)というルポルタージュがあります。あの頃と比べて、令和時代では市井におけるHIV / AIDSの認知度や知識がどのように変化したのでしょうか。
意外なことに、HIV / AIDSだけでなく性病全般の認知度や知識は学校教育に取り入れられていることなどにより向上していました。「過去と比べて認知度が下がっているのでは?」と私は少々心配でしたが、それはないようでよかったです。「令和2年版 厚生労働白書-令和時代の社会保障と働き方を考える-」でも、新規HIV感染者・AIDS患者報告数が減少していたのです。
……とはいえ、近年では性病感染者数が再びの増加というニュースもあります。超高齢社会で性行為のできる年齢層の人口自体は急速に減っているのにこの状況ですから、単純に喜べないのかもしれません。
※1
ちなみに地元の祭ではふんどしではなく、ステテコ。マスターがよその祭へ応援に行く際に「ドレスコードがふんどし」という時があります。
※2
HIVはヒト免疫不全ウイルス (Human Immunodeficiency Virus)で、エイズは後天性免疫不全症候群 (Acquired Immunodeficiency Syndrome)というHIVによって引き起こされる病気の総称。HIVの感染は性行為によるものが最多で、腸管粘膜による性行為は、人体の構造上感染リスクが高くなります。
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