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■第三章 幽霊の正体見たり猫柳
15_弟が悪霊やUFOを見ている。見てしまうことはあるので、嘘つき呼ばわりはしないであげて欲しい
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さて、私の弟が見てしまったものの話です。「04_白昼堂々の賽銭泥棒が私に向かって『へへっ』と不敵に笑いかけた」で紹介した、弟Aの再登場。
(弟Bは存在自体が迫真のミステリーでありますが、本作品での出番はありません)
彼は、悪霊とUFOを見たことがあります。
【悪霊】
高熱を出し、旅行先で一人寝込んでいたら、血まみれの男の生首が現れて眼前まで迫ってきた。
【UFO】
寝ていたら、光とともに何らかの会話のような音が聞こえ、自宅から県道の方向へと去っていった。
UFOについては私が同じ部屋で寝ていた時間だったため、「どうしてお前は起きなかったのだ」と怒られました。そんなことを言われても、私は眠いときにはガスッと寝ることにしています。除夜の鐘が鳴っていようと、緊急地震速報が来ようと、私は己の睡眠欲に従うまでッ!
もとい、それぞれの案件について。
弟Aは決して冗談を言うタイプではないので、どちらも見たのだろうと思います。ただし、この「悪霊とUFOを見た」ということが、悪霊とUFOの存在を裏付けるような目撃証言として使えるものかは、難しいところです。
「インフルエンザの異常行動事例」と「レビー小体型認知症」。このいずれかをご存知でしょうか?
インフルエンザの異常行動事例は、一時期「タミフルによる異常行動」と大々的に報道されたため、記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。少年による飛び降り・転落死がニュースとして世間を震撼させました。その後は、インフルエンザに罹患すること自体が異常行動の要因だったという報道に変わり、「タミフル服用に限らず、インフルエンザ患者からは目を離さないように」とアナウンスされるに至ったのですが……。
実際に異常行動を起こしたという少年のインタビュー(読売新聞社連載・医療ルネサンス)を読みましたが、実に具体的な行動経緯を知ることができ、その内容に驚きました。
・高熱で寝込んでいたところ、黒くモヤモヤしたオバケの気配を感じた
・逃げようとしたが、迫り来る気配に進路を塞がれた
・仕方がなく、部屋の窓から逃げた
・モヤモヤが迫ってきたため、やむを得ず屋根から飛び降りた
……幸いにして隣家の住民に救助され、大きな怪我もなかったということですが、周囲にとっては大事件です。
インフルエンザの異常行動事例は川崎市健康安全研究所が定期的に報告をあげていますが、異常行動報告件数とインフルエンザ罹患者数は見事にリンクしています。さらに恐るべきは、その発生傾向。
・20歳未満が98%
・男性が74%
という圧倒的な数字です。
弟Aのコンディションを鑑みるに、異常行動までいかずとも、恐怖体験が発生する条件がそれなりに整っていたと思えます。(UFOの日の体調はおぼえていません、ごめんなさい)
余談ですが、私の好きな「お父さんは心配症(岡田あーみん)」というマンガにも、非常によく似た事例が紹介されており、納得いたしました。
さて、もう一つの「レビー小体型認知症」。これは三大認知症のひとつで、アルツハイマー型認知症、血管性認知症と共に患者の多いものです。大きな特徴としては「幻視」、つまり「実際にはないものが本人には見える」ということが挙げられます。
超高齢社会ニッポン、とにかく患者の母数が多いので、詳細な体験談もあちこちで拝見できます。「小人が踊っている」「知らない人が襲いかかってくる」等々。パナソニックエイジフリーがレビー小体型認知症を体験するためのVR(仮想空間)体験ソフトを制作したことも、ちょっぴり話題になりました。
ちなみにレビー小体型認知症の患者傾向は、男女比ざっくり2:1なので、7割弱が男性です。
これらは例として挙げたものとなりますので、弟Aの見たものの真相解明ではなく、あくまで可能性です。
しかしながら、何らかの理由があって「人には見えないものが見えてしまう」「恐怖体験をする」ということはあるのです。本人にはしっかりと見えていて、ましてやそれは嘘などではないのです。
姉としては、弟Aの体験をそう捉えています。
私も体調が悪いと目がチカチカ(閃輝暗点)します。ゆえに、他人から「全然まぶしくなけいど、アンタのそれ本当なの?」などと言われては身も蓋もありません。私としては、チカチカがひどいと視界がほとんどなくなってしまうほどで、真剣に困っているのです。この現象も、「人には見えないものが見えてしまう」という意味では似たようなものです。
さてさて、弟A。
私がラクシュミ(インドの美の女神様)を目指して一心不乱にヨガポーズをとっている最中、勝手に部屋を開けて、「何やってんの」と嘲笑するような男です。姉は今、その時のことを思い出してプリプリしていますよ。
奴は嘘を付くような人間ではないのですが、そういうデリカシーのないところがちょっと嫌いです。
୨୧┈┈┈┈┈୨୧
ホラー・ミステリー大賞参加ボタン押し忘れました。お気に入り追加・しおりをいただけるとうれしいです(*ᴗˬᴗ)
(弟Bは存在自体が迫真のミステリーでありますが、本作品での出番はありません)
彼は、悪霊とUFOを見たことがあります。
【悪霊】
高熱を出し、旅行先で一人寝込んでいたら、血まみれの男の生首が現れて眼前まで迫ってきた。
【UFO】
寝ていたら、光とともに何らかの会話のような音が聞こえ、自宅から県道の方向へと去っていった。
UFOについては私が同じ部屋で寝ていた時間だったため、「どうしてお前は起きなかったのだ」と怒られました。そんなことを言われても、私は眠いときにはガスッと寝ることにしています。除夜の鐘が鳴っていようと、緊急地震速報が来ようと、私は己の睡眠欲に従うまでッ!
もとい、それぞれの案件について。
弟Aは決して冗談を言うタイプではないので、どちらも見たのだろうと思います。ただし、この「悪霊とUFOを見た」ということが、悪霊とUFOの存在を裏付けるような目撃証言として使えるものかは、難しいところです。
「インフルエンザの異常行動事例」と「レビー小体型認知症」。このいずれかをご存知でしょうか?
インフルエンザの異常行動事例は、一時期「タミフルによる異常行動」と大々的に報道されたため、記憶に残っている方もいるのではないでしょうか。少年による飛び降り・転落死がニュースとして世間を震撼させました。その後は、インフルエンザに罹患すること自体が異常行動の要因だったという報道に変わり、「タミフル服用に限らず、インフルエンザ患者からは目を離さないように」とアナウンスされるに至ったのですが……。
実際に異常行動を起こしたという少年のインタビュー(読売新聞社連載・医療ルネサンス)を読みましたが、実に具体的な行動経緯を知ることができ、その内容に驚きました。
・高熱で寝込んでいたところ、黒くモヤモヤしたオバケの気配を感じた
・逃げようとしたが、迫り来る気配に進路を塞がれた
・仕方がなく、部屋の窓から逃げた
・モヤモヤが迫ってきたため、やむを得ず屋根から飛び降りた
……幸いにして隣家の住民に救助され、大きな怪我もなかったということですが、周囲にとっては大事件です。
インフルエンザの異常行動事例は川崎市健康安全研究所が定期的に報告をあげていますが、異常行動報告件数とインフルエンザ罹患者数は見事にリンクしています。さらに恐るべきは、その発生傾向。
・20歳未満が98%
・男性が74%
という圧倒的な数字です。
弟Aのコンディションを鑑みるに、異常行動までいかずとも、恐怖体験が発生する条件がそれなりに整っていたと思えます。(UFOの日の体調はおぼえていません、ごめんなさい)
余談ですが、私の好きな「お父さんは心配症(岡田あーみん)」というマンガにも、非常によく似た事例が紹介されており、納得いたしました。
さて、もう一つの「レビー小体型認知症」。これは三大認知症のひとつで、アルツハイマー型認知症、血管性認知症と共に患者の多いものです。大きな特徴としては「幻視」、つまり「実際にはないものが本人には見える」ということが挙げられます。
超高齢社会ニッポン、とにかく患者の母数が多いので、詳細な体験談もあちこちで拝見できます。「小人が踊っている」「知らない人が襲いかかってくる」等々。パナソニックエイジフリーがレビー小体型認知症を体験するためのVR(仮想空間)体験ソフトを制作したことも、ちょっぴり話題になりました。
ちなみにレビー小体型認知症の患者傾向は、男女比ざっくり2:1なので、7割弱が男性です。
これらは例として挙げたものとなりますので、弟Aの見たものの真相解明ではなく、あくまで可能性です。
しかしながら、何らかの理由があって「人には見えないものが見えてしまう」「恐怖体験をする」ということはあるのです。本人にはしっかりと見えていて、ましてやそれは嘘などではないのです。
姉としては、弟Aの体験をそう捉えています。
私も体調が悪いと目がチカチカ(閃輝暗点)します。ゆえに、他人から「全然まぶしくなけいど、アンタのそれ本当なの?」などと言われては身も蓋もありません。私としては、チカチカがひどいと視界がほとんどなくなってしまうほどで、真剣に困っているのです。この現象も、「人には見えないものが見えてしまう」という意味では似たようなものです。
さてさて、弟A。
私がラクシュミ(インドの美の女神様)を目指して一心不乱にヨガポーズをとっている最中、勝手に部屋を開けて、「何やってんの」と嘲笑するような男です。姉は今、その時のことを思い出してプリプリしていますよ。
奴は嘘を付くような人間ではないのですが、そういうデリカシーのないところがちょっと嫌いです。
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