風の想い 風の行方

木葉風子

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想い④

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帰りは助手席に敬
2列目には輝と江莉香
3列目には怜と楓子
そして2人の間に座る希美

「何が可笑しいんだ?」
助手席の敬がクスクス笑う
「だって、尚登さん
怜たち、まるで親子みたいで」
尚登も笑顔で言う
「そうだなぁ
あの子のおかげかもね」
「えっ?どういうこと?」
「あいつらが気持ちを
確かめ合うことが
できたのはさ」
「確かにね…」

窓の外をみている希美
「雲が泳いでる」
「えっ?」
希美を見る楓子
「流れている雲が
泳いでいるように
見えるんだよ」
怜が言った
「子供の発想って
すごいね」
関心して希美を見つめる
相変わらず外を眺める希美

「小鳥さんだ」
鳥が空高く飛ぶ
楓子の膝の上に座る希美
彼女に訊ねる
「小鳥さんのおうちには
パパとママいるんでしょ」
「ノンちゃん…そうね
きっと一緒にいるよ」
「いいなぁ~
ママが一緒で」
寂しげな希美
「ノンちゃん」
「ふぅちゃん
お目々が光ってるよ」
楓子の瞳から溢れる涙
「ほら…」
怜がハンカチを差しだす
「ありがとう」
そんな楓子を
思いやる江莉香

❨ふぅちゃん
そうだよね
あなたは
甘えられなかた…
あなたの記憶の中には
おとうさんもおかあさんも
いないの?

私にもおかあさんは
いないけど、でも、
心の中には居てくれる
一緒に遊んだこと
ご飯を食べたこと
そして、子守唄を
歌ってくれたこと
しっかり覚えてるから❩

今にも泣きそうな江莉香
「どうしたの?江莉香さん」
隣にいる輝が心配そうに聞く
「ちょっとね…おかあさん
思いだしたの」
「そっか、江莉香さんも」
「輝くんには素敵なご両親が
居てくれていいわね」
羨ましそうに輝を見る江莉香
「でも、ぼくだけ親がいて
みんなに悪い気がするんだ」
哀しげに話す輝
「そんなこと気にする
必要ないわよ
誰も羨ましいなんて
思ってないわよ
むしろ、みんなの分も
幸せにならなきゃあね
あなたが幸せなら
みんなも幸せ

私だって、ふぅちゃんが
幸せじゃなきゃ私も
幸せになれない…

彼らだって、
きっと同じよ
だって、あなたは
3人の弟なんだから!」
「弟…」
「そうよ、みんな大切な
家族なのよ」

家族…
血が繋がって無くても
気持ちが、心が
繋がっていれば
本当の家族になれる




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