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木葉風子

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調査終了『二人』帰り道

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辺りはすっかり
暗くなっていた
コインパーキングまで
ゆっくりと歩く二人

「これで
よかったんだよな…」

「確信が取れないことは
報告しないよ」

「嘘も方便…か?」

「別に嘘はついてないよ」

「そうだけど…」

ふと、空を見上げた奏

「へえー
この辺じゃ星が綺麗だ」

奏の言葉に
時も空を見上げた

「まぁ、新宿や渋谷
みたいなネオンは光って
ないからね
東京といっても
いろいろな場所がある
いろいろな人もいる…」

そう言いながら
夜道を歩く二人
時の横顔を見る奏

❨なぁ 時
もし、おまえと
出会えなかったら
誰も信じられずに
俺はいまだに
一人ぼっちだったよ❩

立ち止まり
時の背中を見つめる

❨俺はおまえと一緒に
いられて幸せだよ❩

コインパーキングに着いた
そして車の鍵を開けた

「奏 帰るよ」
時が呼んでいる

「すぐ行くよ」
時の元に駆けて行く


二人を乗せた車が動きだす
走りだした車の上に
丸い月が浮かぶ
まるで二人の行き先を
照らすように
明るく光っていた 
 
  




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