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4章 影 ‐idea‐
1. 境 ‐asylum‐(9)
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余談だが、紅輝、白蓮、茴香、そして、ヒメロパの実年齢は、その見た目以上。
常津清霊宮の三神は、それこそ世界と同い年(いくつだ)だし、ヒメロパも、こう見えて200歳以上。なんと、磨弧より100歳はお姉さんなのであった。
「茴香、ヒメロパをたしなむべからず」
「うーわ。こやつ、まーだ言うとるのかい。ウケるのー」
やんわりと眉を上げて諫める白蓮のとなりでは、紅輝がカップをもてあそびながら、肩をすくめている。
そんな紅輝を、茴香は、涙の浮いた目でキッとにらんで、
「はい、言います! 拙者、姉上とマヨヒヶ里に帰れるまで、言い続けます! でも、ちょっとのどが渇きましたね……ああ、これはよいところに、ヒメロパ殿。その角砂糖を失礼しますよ、かぼかぼかぼかぼ……」
「キャ――――ッ!? う、茴香さま、お砂糖をそのように一気に召し上がっては、いけませんわ~~っ!!」
「あ――――っ!! おれも、おれも角砂糖ラッパ飲みシタイヨ! うああああ、相棒どこぞああぁ~~~~っ!」
「ぶご、ぼぉんむぉんもんむーぶぇむ。ぶぇんぶぇんぶぇぶぶぇ、ぶぶぇぶも……」
「おおおおやめなさいまし、フレアさん! はしたないですわよ! というか……んぁあああーっ、もうっ! はばかりながら、茴香さま! いつも申し上げておりますが、どうか、お振る舞いをお正しくださいましっっっ!!!」
ヒメロパがソプラノで叫び、頭を抱えた、そのときだ。
「馬鹿にしてるのか、ナイアス・アキツィーズッッッ!!!!」
水天井を突き破って、男の怒鳴り声が地下書庫の空気をふるわせた。
ギョッとして、フレアは声のしたほうを見あげる。
怒鳴り声におどろいた魚や妖精たちが、蜘蛛の子を散らすようにパッと逃げ出して、マリンブルーの水中はぎこちない静謐にゆれる。
だが、おどろいたのは、フレアと魚たちだけだったようだ。
常津清霊宮の三神は、それこそ世界と同い年(いくつだ)だし、ヒメロパも、こう見えて200歳以上。なんと、磨弧より100歳はお姉さんなのであった。
「茴香、ヒメロパをたしなむべからず」
「うーわ。こやつ、まーだ言うとるのかい。ウケるのー」
やんわりと眉を上げて諫める白蓮のとなりでは、紅輝がカップをもてあそびながら、肩をすくめている。
そんな紅輝を、茴香は、涙の浮いた目でキッとにらんで、
「はい、言います! 拙者、姉上とマヨヒヶ里に帰れるまで、言い続けます! でも、ちょっとのどが渇きましたね……ああ、これはよいところに、ヒメロパ殿。その角砂糖を失礼しますよ、かぼかぼかぼかぼ……」
「キャ――――ッ!? う、茴香さま、お砂糖をそのように一気に召し上がっては、いけませんわ~~っ!!」
「あ――――っ!! おれも、おれも角砂糖ラッパ飲みシタイヨ! うああああ、相棒どこぞああぁ~~~~っ!」
「ぶご、ぼぉんむぉんもんむーぶぇむ。ぶぇんぶぇんぶぇぶぶぇ、ぶぶぇぶも……」
「おおおおやめなさいまし、フレアさん! はしたないですわよ! というか……んぁあああーっ、もうっ! はばかりながら、茴香さま! いつも申し上げておりますが、どうか、お振る舞いをお正しくださいましっっっ!!!」
ヒメロパがソプラノで叫び、頭を抱えた、そのときだ。
「馬鹿にしてるのか、ナイアス・アキツィーズッッッ!!!!」
水天井を突き破って、男の怒鳴り声が地下書庫の空気をふるわせた。
ギョッとして、フレアは声のしたほうを見あげる。
怒鳴り声におどろいた魚や妖精たちが、蜘蛛の子を散らすようにパッと逃げ出して、マリンブルーの水中はぎこちない静謐にゆれる。
だが、おどろいたのは、フレアと魚たちだけだったようだ。
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