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4章 影 ‐idea‐
3. 想 ‐distortion‐(23)
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『はあ!? 聞こえないのよ、うるさくて! とにかく、あんた、ちゃんとしなさいよね、お姉ちゃんなんだから! ハルヒやアイナにまで迷惑かけて……いつまでもヘンナーナントカーって、恥ずかしい……』
「……わかったから……うん、じゃあね……」
出たときと同じく、重いため息とともに凜々花は通話を切る。
「……凜々花……今の……」
おずおずと瑞葉が声をかけると、凜々花はいつもの天真爛漫な笑顔をみなに向けて、
「あはー。うちの母親、声大きくてー……あっ! 話の腰、折っちゃったね。ごめんね、利ちゃんー」
いや、それは……。と、利彦は言葉につまって、目を泳がせる。
やそや、茫然自失としていたカムナオビまでも、驚いた、あるいは心配そうな表情で、凜々花を見つめている――。
康弘が「凜々花ちゃん~」と、眉を曇らせ、のぞき込む。
「『大丈夫』は大丈夫じゃない人が言うって、オバァが言ってたさぁ~」
「……あー……」
凜々花は気まずく目をそらす。
気道がふさがったかのような、苦しさ。
たぶん、なにか言いたいことがあるんだろうな、とは思うが、それが具体的にどんな言葉や気持ちなのか――
考えようとすると、とたんに頭のなかが真っ白に――
『……頑張らなきゃ……』
脳内で、声が再生された。
聞いたことはないが、知っている声だ。
正確に言えば、知っているセリフだ。
「……わかったから……うん、じゃあね……」
出たときと同じく、重いため息とともに凜々花は通話を切る。
「……凜々花……今の……」
おずおずと瑞葉が声をかけると、凜々花はいつもの天真爛漫な笑顔をみなに向けて、
「あはー。うちの母親、声大きくてー……あっ! 話の腰、折っちゃったね。ごめんね、利ちゃんー」
いや、それは……。と、利彦は言葉につまって、目を泳がせる。
やそや、茫然自失としていたカムナオビまでも、驚いた、あるいは心配そうな表情で、凜々花を見つめている――。
康弘が「凜々花ちゃん~」と、眉を曇らせ、のぞき込む。
「『大丈夫』は大丈夫じゃない人が言うって、オバァが言ってたさぁ~」
「……あー……」
凜々花は気まずく目をそらす。
気道がふさがったかのような、苦しさ。
たぶん、なにか言いたいことがあるんだろうな、とは思うが、それが具体的にどんな言葉や気持ちなのか――
考えようとすると、とたんに頭のなかが真っ白に――
『……頑張らなきゃ……』
脳内で、声が再生された。
聞いたことはないが、知っている声だ。
正確に言えば、知っているセリフだ。
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