常世のシャッテンシュピール ~自己否定王子とうそつき魔法少女~【前編】

KaTholi(カトリ)

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4章 影 ‐idea‐

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 暗闇。

 海と空の、その境目が混ざりあい、どろどろと溶けあった常闇とこやみを、

 わたしは舟に乗り――
 おれは、おれから離れて――
 ひとり、漂っていた。

 わずかに思い出せるぬくもりは、

 わたしを舟に押し込む、両親の手のひら。
 あるいは、おれをはらい流した、おれの安堵の吐息。

 はてしないほどの人恋しさを波にもてあそばれ、
 空しいぬくもりにすがりつき、

 創りあげたのは、
 流れ着いたのは、
 海のかなた――常世とこよの国。

 ――おまえは、高天原たかまがはらのためにも――

 希望だったその言葉を、

 わたしは呪い、

 おれは――まだ、諦めない。
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