異世界立志伝 ー邪神の使徒になり幼女達と広めて行くー

無為式

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近隣掌握

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 ビィーからの報告を受けたバエルは、漆黒の受話器を耳に当てたまま、薄く笑みを浮かべました。

「……よくやった、ビィー。そのままゴブリン共に『拠点化』の作業を始めさせてくれ。祈りの合間にスコップとつるはしを握らせれば、ポイント欲しさに倍速で動くはずだからね」

「了解であります、兄上。……おい、いつまで泣いてるですか、この愚図共! さっさと道具をポイントで交換して、防壁を築く準備をするです!」

 通信の向こうで、ビィーの冷酷な怒号と、それに怯えながらも歓喜するゴブリンたちの奇声が聞こえ、通信は途絶えました。バエルは満足げに頷くと、視線を次なる目的地に視線を向けます。

 一方、深い森の奥に隠れ住むコボルトの里。

そこでは、緑色の軍服を鮮やかに着こなした四女のマキが、巨大なデスサイズを肩に担いで欠伸をしていました。

「……はぁ。長兄から言われて来てみたけど、本当、湿気臭くて嫌になっちゃうな」

 マキの目の前には、リザードマンの恐怖に怯え、穴蔵に固まって震えているコボルトたちがいました。
 
 彼らはマキが放つ「死の臭い」に完全に気圧されています。

 マキは行商隊の荷台から、山のような「高カロリーの軍用食」と「ビーフジャーキー」を無造作にぶちまけました。

「ほら、ワンちゃんたち。お腹空いてるでしょ? 食べていいよ、長兄……バエル様からの『先行投資』。でも、食べ終わったら地獄の始まりだから、覚悟しておいてね?」

 コボルトたちは震える手でジャーキーを口に運びます。
 
 その強烈な塩気と肉の旨みに目を見開く彼らに対し、マキはデスサイズを軽々と振り回し、風圧でコボルトたちの毛を逆立てました。

「美味しい? でも、君たちがリザードマンに怯えて隠れてる間、その肉を噛む力もどんどん無くなっていくんだよ。……ねえ、リザードマンに食べられるのと、私の下で戦い方を教わるの、どっちがマシかな?」

 マキは里の広場に、女神像型ダンジョンコアを乱暴に突き刺しました。

「はい、全員整列! 女神様に祈って『指輪』を受け取って! それが君たちの『首輪』になるから!」

 コボルトたちが恐怖と空腹の充足感から、縋るように女神像に祈り始めると、その指に鈍い光を放つ指輪がはめられていきます。それを見届けたマキは、不敵に笑って現代兵器の入った箱を蹴り開けました。

「よし。指輪を受け取った奴から、この『タクティカル・クロスボウ』と『トランシーバー』を配るよ。

 鼻が良いだけの君たちを、リザードマンを暗闇から一方的に狩る『特殊部隊』に仕立て上げてあげる。……ついてこれない奴は、その場で首を刈っちゃうからね?」

 こうして、二つの里は数日のうちに、バエルを絶対神と仰ぐ「狂信的な軍事拠点」へと変貌を遂げました。

• ゴブリンの里(ビィー管理):漆黒の防壁が築かれ、トラップが仕掛けられた、難攻不落の要塞。

• コボルトの里(マキ管理):現代の通信機とクロスボウを使いこなし、森の影から死を運ぶ狙撃兵の巣。

バエルは、オークの里の本陣で地図を広げてます。

「……外堀は埋まった、ビィーとマキがこれだけ仕上げてくれれば、リザードマンたちは自分たちが何を『捕まえに』行くのか、その恐ろしさを知ることになるよな」

 その時、懐の通信機から、はんなりとした、けれど凍りつくような声が響きました。ランからの定時連絡だ。

「……お兄はん、準備はよろしおすか? あの哀れなトカゲの戦士様たち、ようやく『バエル捕獲作戦』に向けて腰を上げはりましたえ」

 バエルの口元が、獲物を前にした肉食獣のように吊り上がりました。
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