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第六章
モテる男の彼女⑨
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蒼空さんのことを好きな人は、高校の時からたくさんいたし、モテる要素しかないのだから疑問はない。けれど、風花というのが少し厄介だ。林先輩がいなくなっても、他にも先輩がいるにも関わらず、風花の態度がかなり大きくなっている。
私は仕事で絡むこともなく、滅多に話をすることはないが、自分が一番でないと気が済まない性格は、周りの反感を買いやすい。今にして思えば林先輩と似ているのかもしれない。
「凛花先輩」
「どうしたの?」
「ここ教えてもらっていいですか?」
「どれどれ? ここはね」
私と同じ部署で、後輩の梨乃ちゃんが質問してくる。梨乃ちゃんも、今まで林先輩に仕事を振られていた一人だ。わからない時には、私にこっそりと聞いてくる。今はもうコソコソする必要がなくなったのだ。
「凛花先輩は、片桐部長のことどう思います?」
「へ!?」
質問に答え終わって、油断していたところでいきなり質問されて驚く。
「どうしたの? 急に」
「いえ。何でもないです」
「気になるじゃない」
「林先輩がいなくなって、みんな堂々と片桐部長を狙っているから……」
「えーっと、それは梨乃ちゃんもってこと?」
「フフフ、どうでしょう……」
意味深な言葉を残して自席に戻っていったが、私は内心モヤモヤだ。これだけ、蒼空さんを狙う人がいるのなら、林先輩がいた方が平和だったのではないか。
バレたら私はどうなるのだろうか……
仕事に集中しきれなくて、細かいミスをしてしまう。
「吉瀬さん、体調でも悪い?」
轟課長にまで心配された。
「いえ、大丈夫です」
私と蒼空さんの関係が動き出したばかりなのに、不安要素が次々と出てくる。まだ、彼女として胸を張って言える自信がない。そもそも、まだ親密だとも言い難い関係だ。それなのに、モテモテな蒼空さんを目の当たりにすると、恐くなってくる。
知り合ってからの時間は、社内の誰よりも長いけれど、蒼空さんのパートナーとして相応しいのだろうか……
不安で押し潰されそうだ――
私は仕事で絡むこともなく、滅多に話をすることはないが、自分が一番でないと気が済まない性格は、周りの反感を買いやすい。今にして思えば林先輩と似ているのかもしれない。
「凛花先輩」
「どうしたの?」
「ここ教えてもらっていいですか?」
「どれどれ? ここはね」
私と同じ部署で、後輩の梨乃ちゃんが質問してくる。梨乃ちゃんも、今まで林先輩に仕事を振られていた一人だ。わからない時には、私にこっそりと聞いてくる。今はもうコソコソする必要がなくなったのだ。
「凛花先輩は、片桐部長のことどう思います?」
「へ!?」
質問に答え終わって、油断していたところでいきなり質問されて驚く。
「どうしたの? 急に」
「いえ。何でもないです」
「気になるじゃない」
「林先輩がいなくなって、みんな堂々と片桐部長を狙っているから……」
「えーっと、それは梨乃ちゃんもってこと?」
「フフフ、どうでしょう……」
意味深な言葉を残して自席に戻っていったが、私は内心モヤモヤだ。これだけ、蒼空さんを狙う人がいるのなら、林先輩がいた方が平和だったのではないか。
バレたら私はどうなるのだろうか……
仕事に集中しきれなくて、細かいミスをしてしまう。
「吉瀬さん、体調でも悪い?」
轟課長にまで心配された。
「いえ、大丈夫です」
私と蒼空さんの関係が動き出したばかりなのに、不安要素が次々と出てくる。まだ、彼女として胸を張って言える自信がない。そもそも、まだ親密だとも言い難い関係だ。それなのに、モテモテな蒼空さんを目の当たりにすると、恐くなってくる。
知り合ってからの時間は、社内の誰よりも長いけれど、蒼空さんのパートナーとして相応しいのだろうか……
不安で押し潰されそうだ――
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