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第十一章

懐かしのメンバー③

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 土曜日、私と蒼空さんは開始時間の18時の一時間前にSAKURAへ到着した。パーティールームのある二階に到着すると、すでに数人が会場の前で談笑している。

「大介」
「蒼空! 久しぶり。と、凛花」

 先輩達から私と優香は名前で呼ばれていた。蒼空さんと腕を組んでいる私を見て、目を見開いた後にニヤニヤしている金ちゃん先輩は何もかも知っていることがわかる。自分の目で事実だと確認して、間違いなく楽しんでいるのだ。

「ご無沙汰しております」
「凛花が大人になってる……。しかも、更に綺麗になっちゃって」
「金ちゃん先輩、誉め上手なところは変わらないですね」
「いや、無自覚な凛花の方が変わってないと思うけど……」

 私達が話をしていると、他の懐かしいメンバーも加わってくる。

「片桐は相変わらずイケメンだな」
「やっぱり片桐が凛花を手に入れたのか……」
「美男美女でお似合いだ」

 蒼空さんは当時と変わらずイケメンだが、みんなが美女だとお世辞を言ってくれるのがなんだか気恥ずかしい。


 金ちゃん先輩も他の先輩も、当時の面影があって懐かしい。金ちゃん先輩は当時と変わらず可愛い系のイケメンで、20代前半に見える。いつの間にか私だけが歳を取ったのではないかと思わせられた。

 私達がパーティールームの前で懐かしさに浸っていると、次から次へと当時のメンバーがやって来る。

 私が今年28歳になるので、卒業から10年近く経っているということだ。

「凛花!」
「優香!」
「「久しぶり! プッ」」

 連絡は頻繁にしているが、実際に優香と会うのも半年振りくらいだ。

「なんか、凛花が輝いてる……」
「へ⁉」
「蒼空先輩に愛されまくってるんでしょう」
「なっ⁉」
「前から美人だけど、お肌が潤ってるもん。いいなぁー」
「ちょっ、優香!」
「だって本当のことでしょう? 毎日イケメンを見て暮らしてるんだもんね」
「……」

 確かに毎日蒼空さんと生活していて、やっと慣れたとは言え刺激をもらっている。蒼空さんと歩いていると見られることも多く、普段から美容に気を遣うようになった。



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