上 下
83 / 137
第十一章

懐かしのメンバー②

しおりを挟む
 金ちゃん先輩の仕事は早く、二カ月先の土曜日に集まることが決定する。シフト制の職業なら一カ月前では無理かもしれないけれど、二カ月前なら調整がつくのではないかと言うことだ。もっと先にしてしまうと、今の盛り上がっている気分が冷めてしまうと先輩らしい。

 現に、蒼空さんから言われて優香に連絡を入れた時に、二カ月先なら何とかなりそうだと言っていた。意地でも参加すると張り切っている優香を応援したい。

 結局、部員とマネージャーを合わせて62人いたうちの55人が出席になり、場所がSAKURAのパーティールームになった。蒼空さんの話では、地元に残っている人の方が少なく、地方から出てくる人のことも考えて便利な場所になったらしい。人気のホテルのパーティールームを簡単に借りられるものなのかと疑問に思けれど、何年振りかの集まりが楽しみだ。

「蒼空さん、何着て行こう……」

 数日後に迫った集まりに、テンションが上がり落ち着かない。

「凛花は何を着ても可愛いよ」
「もう、真剣に聞いてるのに」
「真剣に答えてる」
「蒼空さんは何を着て行くの?」
「まだ決めてない」

 何を着ても似合うのだからズルイ。

「よく考えたら、女性は凛花と優香だけだな」

 そう、蒼空さんの学年はマネージャーを入れなかったし、次の学年のマネージャーは男性だ。

「本当だね」
「……」

 なぜか蒼空さんのテンションが下がっているのは、気のせいなのだろうか。私は恋のライバルが現れることがないと思うと気が楽だ。モテる彼氏を持つと大変だとつくづく実感する。優香の目当てが金ちゃん先輩で良かった。

 私達が大人になったように、他の部員達も大人になっていると思うと全く想像ができない。顔を見て誰が誰かわかるものなのだろうか?

 色々と想像しているだけで、過去の記憶がよみがえり楽しみが増す。優香も楽しみにしているようで、毎日のようにメッセージが届く。優香に服装を聞くと、この日のためにワンピースを買ったと教えてくれた。優香の気合いの入りようにおかしくもあり微笑ましい気持ちになる。

 そしていよいよ当日を迎えた――



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

真面目系眼鏡女子は、軽薄騎士の求愛から逃げ出したい。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,665pt お気に入り:243

氷の騎士団長様の悪妻とかイヤなので離婚しようと思います

BL / 連載中 24h.ポイント:54,529pt お気に入り:5,025

最初に私を蔑ろにしたのは殿下の方でしょう?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:3,516pt お気に入り:1,958

旦那様!単身赴任だけは勘弁して下さい!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,512pt お気に入り:182

夜の帝王の一途な愛

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,100pt お気に入り:85

お高い魔術師様は、今日も侍女に憎まれ口を叩く。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:759pt お気に入り:120

二番目の夏 ー愛妻と子供たちとの日々— 続「寝取り寝取られ家内円満」

kei
大衆娯楽 / 完結 24h.ポイント:120pt お気に入り:26

運命の番を見つけることがわかっている婚約者に尽くした結果

恋愛 / 完結 24h.ポイント:16,393pt お気に入り:262

やり直し聖女は裏切りの勇者の愛から逃げ切りたい

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:85pt お気に入り:154

処理中です...