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第十四章
彼の家族⑤
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「俺達が話をしているのが気になるみたいだな。あいつ、本当に変わったな」
「そうですか?」
「吉瀬さんが相手で良かったよ」
「ありがとうございます⁇」
「プッ」
「ンンッ、ンン」
蒼空さんから、わざとらしい咳払いが聞こえてきた。私と轟課長は目で合図して仕事に戻る。轟課長は一人で笑いを堪えているようで、何度も咳払いをして誤魔化しているけれど、一層のこと大笑いしてくれた方がスッキリする。
オフィス内では、私達の関係が公になってから誰もなにも言ってこないけれど、まだ風花が蒼空さんを見つめている姿を見掛ける。気になる存在には変わりないのだ。風花の片想いに私が掛ける言葉はない。
蒼空さんの存在があることで、やはりオフィス内の雰囲気はいい意味で締まる。みんなでフォローしていた仕事も、蒼空さんがいることで円滑に進むのだ。
私にとっても開発部にとってもなくてはならない存在で、いなくなる日が来てほしくはない。
タイムリミットが近づいている今、私も今後のことを考えなくてはならない……
遅刻して出勤したこともあって、バタバタと仕事をこなしているうちに終業時間が近づいていた。蒼空さんは、昨日まで休んでいたこともあり、確実に残業になるだろう。
私は少しの残業で済みそうだと思っていた時だった。オフィスの入口にある受付からの着信が入る。
「開発部の吉瀬です」
「お疲れ様です。受付の安野です。吉瀬さんにお客様なのですが……」
何か言いづらそうに話が止まった。
「何か不審な点でも?」
確かに、私宛てのお客様事態が稀で、アポもなしでやって来るなんて不審なところしかない。
「驚かないで聞いて下さね」
「はい……」
「お客様の言葉をそのままお伝えします。片桐蒼空の妹です。兄には内緒で吉瀬凛花という人を呼び出して下さい。くれぐれも兄に知られないように吉瀬さんにも伝えて下さいと仰ってます」
「……」
お客様は蒼空さんの妹さんで、蒼空さんには内緒でここへ来たようだ。しかも、蒼空さんに知られてはいけないとは、嫌な予感しかない。
「そうですか?」
「吉瀬さんが相手で良かったよ」
「ありがとうございます⁇」
「プッ」
「ンンッ、ンン」
蒼空さんから、わざとらしい咳払いが聞こえてきた。私と轟課長は目で合図して仕事に戻る。轟課長は一人で笑いを堪えているようで、何度も咳払いをして誤魔化しているけれど、一層のこと大笑いしてくれた方がスッキリする。
オフィス内では、私達の関係が公になってから誰もなにも言ってこないけれど、まだ風花が蒼空さんを見つめている姿を見掛ける。気になる存在には変わりないのだ。風花の片想いに私が掛ける言葉はない。
蒼空さんの存在があることで、やはりオフィス内の雰囲気はいい意味で締まる。みんなでフォローしていた仕事も、蒼空さんがいることで円滑に進むのだ。
私にとっても開発部にとってもなくてはならない存在で、いなくなる日が来てほしくはない。
タイムリミットが近づいている今、私も今後のことを考えなくてはならない……
遅刻して出勤したこともあって、バタバタと仕事をこなしているうちに終業時間が近づいていた。蒼空さんは、昨日まで休んでいたこともあり、確実に残業になるだろう。
私は少しの残業で済みそうだと思っていた時だった。オフィスの入口にある受付からの着信が入る。
「開発部の吉瀬です」
「お疲れ様です。受付の安野です。吉瀬さんにお客様なのですが……」
何か言いづらそうに話が止まった。
「何か不審な点でも?」
確かに、私宛てのお客様事態が稀で、アポもなしでやって来るなんて不審なところしかない。
「驚かないで聞いて下さね」
「はい……」
「お客様の言葉をそのままお伝えします。片桐蒼空の妹です。兄には内緒で吉瀬凛花という人を呼び出して下さい。くれぐれも兄に知られないように吉瀬さんにも伝えて下さいと仰ってます」
「……」
お客様は蒼空さんの妹さんで、蒼空さんには内緒でここへ来たようだ。しかも、蒼空さんに知られてはいけないとは、嫌な予感しかない。
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