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第十四章
彼の家族⑥
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「わかりました」
とにかく一度会うしかない。いずれはご家族との対面は避けられないと思っていたけれど、こんなに突然訪ねてくるとは、予想すらできなかった。
隣の席の後輩に、少し席を外すと声を掛けて受付まで向かう。そこには、長身で迫力のある美女が立っていた。
「あなたが蒼空くんの彼女?」
美女の口から飛び出した、兄ではなく蒼空くんの呼び名に、緊張よりも微笑ましい気持ちになる。仲良しの兄妹なのだろう。
「は、はい」
「じゃあ、ちょっと時間をもらえない?お話したいから」
断る選択肢がない決定事項のような言葉に頷くしかない。
「あと少し仕事が残っていて」
「わかったわ。SAKURAのラウンジで待っているから終わったら必ず来て」
「は、はい……」
さすが蒼空さんの妹さんだけあってか、一切の隙がなく場所を指定された。優柔不断の私にはない尊敬する部分でもあるけれど、強気な物言いに不安が強くなる。それにしても、どうして私のことを知っているのかも疑問だ。蒼空さんに聞きたいが、内緒でと言われている。
急いで仕事を終わらせて蒼空さんを見ると、まだまだ終わりそうにない雰囲気だ。念のためオフィスを出てから、少し寄り道をして帰るとメッセージを送っておいた。
いきなりアポなしでやって来たとはいえ、人を待たせていると思うと落ち着かない。蒼空さんとつき合ってから頻繁に訪れるようになったSAKURAを目指す。
ラウンジに着いて、入口で席を見回すと目的の人物はSAKURAの雰囲気に溶け込んでいるけれど、一際目を引いている。
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「いえ。待ち合わせで」
「お連れ様はいらっしゃいましたか?」
「はい」
私の返事に店員さんが頷いてくれたので、妹さんの席に向かう。
「お待たせしてすみません」
「どうぞ」
「はい」
なぜか私達の席に視線が集まっている気がするけれど、今は緊張で気にする余裕がない。
「ねえ、どうやって蒼空くんに取り入ったの?」
「へ⁉」
突然の攻撃的な口調に呆然としてしまう。無条件に受け入れられるとは思っていなかったけれど、まさか突然呼び出されて自己紹介もなく攻められるとは思わなかった。
とにかく一度会うしかない。いずれはご家族との対面は避けられないと思っていたけれど、こんなに突然訪ねてくるとは、予想すらできなかった。
隣の席の後輩に、少し席を外すと声を掛けて受付まで向かう。そこには、長身で迫力のある美女が立っていた。
「あなたが蒼空くんの彼女?」
美女の口から飛び出した、兄ではなく蒼空くんの呼び名に、緊張よりも微笑ましい気持ちになる。仲良しの兄妹なのだろう。
「は、はい」
「じゃあ、ちょっと時間をもらえない?お話したいから」
断る選択肢がない決定事項のような言葉に頷くしかない。
「あと少し仕事が残っていて」
「わかったわ。SAKURAのラウンジで待っているから終わったら必ず来て」
「は、はい……」
さすが蒼空さんの妹さんだけあってか、一切の隙がなく場所を指定された。優柔不断の私にはない尊敬する部分でもあるけれど、強気な物言いに不安が強くなる。それにしても、どうして私のことを知っているのかも疑問だ。蒼空さんに聞きたいが、内緒でと言われている。
急いで仕事を終わらせて蒼空さんを見ると、まだまだ終わりそうにない雰囲気だ。念のためオフィスを出てから、少し寄り道をして帰るとメッセージを送っておいた。
いきなりアポなしでやって来たとはいえ、人を待たせていると思うと落ち着かない。蒼空さんとつき合ってから頻繁に訪れるようになったSAKURAを目指す。
ラウンジに着いて、入口で席を見回すと目的の人物はSAKURAの雰囲気に溶け込んでいるけれど、一際目を引いている。
「いらっしゃいませ。お一人ですか?」
「いえ。待ち合わせで」
「お連れ様はいらっしゃいましたか?」
「はい」
私の返事に店員さんが頷いてくれたので、妹さんの席に向かう。
「お待たせしてすみません」
「どうぞ」
「はい」
なぜか私達の席に視線が集まっている気がするけれど、今は緊張で気にする余裕がない。
「ねえ、どうやって蒼空くんに取り入ったの?」
「へ⁉」
突然の攻撃的な口調に呆然としてしまう。無条件に受け入れられるとは思っていなかったけれど、まさか突然呼び出されて自己紹介もなく攻められるとは思わなかった。
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