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第十八章
エピローグ③
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前回、敵視されていたことが嘘のように、なぜか兄妹が私を間に挟んで言い合いを始めた。
「いつまで外で騒いでいるの?」
兄妹を止める声が玄関から聞こえる。
「凛花ちゃん行きましょう」
結局、先に私の手を取った美和ちゃんに連れられて玄関まで来たけれど……
「まあ、あなた!」
「えっ⁉ ご無沙汰しております。お元気そうで!」
「「ええっ⁉」」
「主人に知らせなくちゃ」
今度は、お母様が慌てて室内に戻って行った。驚く兄妹の視線が私に突き刺さる。
「凛花ちゃん、母と知り合い?」
「えっ、あっ、まあ……」
「凛花どういうことだ?」
兄妹に詰め寄られているところに、お母様に連れられてお父様が走ってきた。
「凛花ちゃん!」
「「ええっ⁉」」
「ご無沙汰しております。お元気そうで良かったです」
「これは一体どういう状況?」
「まだ玄関先だ。話はリビングに行ってからだ」
豪邸の廊下を片桐家全員に囲まれて歩いている。嬉しそうに微笑んでくれるご両親と不思議顔の兄妹。
リビングのソファに腰を掛けた瞬間に、兄妹から話の続きを催促された。
「蒼空の最後の大会を見に行った時に」
「ちょっと待て、まさか試合を見に来てたのか?」
「ああ。来なくていいと言われたが、母さんと二人で見に行ったんだ」
「……。マジか」
いつも誰よりも大人な蒼空さんが、ご両親の前では高校生に戻ったように見える。
「会場で迷っていた俺達に声を掛けてくれたのが、凛花ちゃんだったんだ。人が多かったし蒼空を探すのに必死で、凛花ちゃんがまさか蒼空の学校のマネージャーだったとは今まで知らなかった。美和が蒼空のバスケ部のマネージャーさんがお相手だと言っていたが、来たのが凛花ちゃんで本当に驚いている」
「どういうことだ?」
「困っていた俺達に空いている席を探してくれて、人に酔っている母さんのために水を買ってきてくれて、世話になったまま別れたんだ」
「お礼をしたかったんだけど、凛花ちゃんも急いでいたから」
「それで、何で凛花って名前まで知ってるんだ?」
「何年後だったかしら、偶然に再会したのよ」
「「ええ⁉」」
兄妹が驚くのも無理はない。私はすっかり顔も忘れていたのに、ご両親は覚えて下さっていて、お礼を言われたのだから……
「大学時代にバイトをしていたケーキ屋さんに、たまたまお客様でいらっしゃって、声を掛けられたの。私がバイトしている間に何度も来てくださって」
「私達、凛花ちゃんのファンだったの。就職を機にバイトを辞めた時は本当に残念だったわ」
「まさか、蒼空が凛花ちゃんを連れてくるなんて、お前親孝行だな」
反対されるどころか、私は片桐のご両親に大歓迎されたのだった。
この後に、もちろん私の実家にも蒼空さんが挨拶に来てくれたけれど、元から蒼空さんが大好きな母と弟だ。二人が泣いて喜んでいて、少し父が引いていたけれど、反対されることなく無事に認められたのだった。
私達の幸せが周囲の人達まで幸せにしている。
蒼空さんは、クラウドフラップから羽ばたき、片桐ホールディングスを背負う頼もしい存在になるだろう。ずっと蒼空さんの側で支えて行きたい。
高校時代に出逢った私達は、少し遠回りしたかもしれないけれど、最高のタイミングで初恋を実らせた。
これからも永遠に――
同じ未来を歩んでいく――
一完一
「いつまで外で騒いでいるの?」
兄妹を止める声が玄関から聞こえる。
「凛花ちゃん行きましょう」
結局、先に私の手を取った美和ちゃんに連れられて玄関まで来たけれど……
「まあ、あなた!」
「えっ⁉ ご無沙汰しております。お元気そうで!」
「「ええっ⁉」」
「主人に知らせなくちゃ」
今度は、お母様が慌てて室内に戻って行った。驚く兄妹の視線が私に突き刺さる。
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「えっ、あっ、まあ……」
「凛花どういうことだ?」
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「ご無沙汰しております。お元気そうで良かったです」
「これは一体どういう状況?」
「まだ玄関先だ。話はリビングに行ってからだ」
豪邸の廊下を片桐家全員に囲まれて歩いている。嬉しそうに微笑んでくれるご両親と不思議顔の兄妹。
リビングのソファに腰を掛けた瞬間に、兄妹から話の続きを催促された。
「蒼空の最後の大会を見に行った時に」
「ちょっと待て、まさか試合を見に来てたのか?」
「ああ。来なくていいと言われたが、母さんと二人で見に行ったんだ」
「……。マジか」
いつも誰よりも大人な蒼空さんが、ご両親の前では高校生に戻ったように見える。
「会場で迷っていた俺達に声を掛けてくれたのが、凛花ちゃんだったんだ。人が多かったし蒼空を探すのに必死で、凛花ちゃんがまさか蒼空の学校のマネージャーだったとは今まで知らなかった。美和が蒼空のバスケ部のマネージャーさんがお相手だと言っていたが、来たのが凛花ちゃんで本当に驚いている」
「どういうことだ?」
「困っていた俺達に空いている席を探してくれて、人に酔っている母さんのために水を買ってきてくれて、世話になったまま別れたんだ」
「お礼をしたかったんだけど、凛花ちゃんも急いでいたから」
「それで、何で凛花って名前まで知ってるんだ?」
「何年後だったかしら、偶然に再会したのよ」
「「ええ⁉」」
兄妹が驚くのも無理はない。私はすっかり顔も忘れていたのに、ご両親は覚えて下さっていて、お礼を言われたのだから……
「大学時代にバイトをしていたケーキ屋さんに、たまたまお客様でいらっしゃって、声を掛けられたの。私がバイトしている間に何度も来てくださって」
「私達、凛花ちゃんのファンだったの。就職を機にバイトを辞めた時は本当に残念だったわ」
「まさか、蒼空が凛花ちゃんを連れてくるなんて、お前親孝行だな」
反対されるどころか、私は片桐のご両親に大歓迎されたのだった。
この後に、もちろん私の実家にも蒼空さんが挨拶に来てくれたけれど、元から蒼空さんが大好きな母と弟だ。二人が泣いて喜んでいて、少し父が引いていたけれど、反対されることなく無事に認められたのだった。
私達の幸せが周囲の人達まで幸せにしている。
蒼空さんは、クラウドフラップから羽ばたき、片桐ホールディングスを背負う頼もしい存在になるだろう。ずっと蒼空さんの側で支えて行きたい。
高校時代に出逢った私達は、少し遠回りしたかもしれないけれど、最高のタイミングで初恋を実らせた。
これからも永遠に――
同じ未来を歩んでいく――
一完一
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感謝感謝です😊
原作者より詳しい読者様💕
これからもよろしくお願いします🙏
頑張ります(ง •̀_•́)ง
みゆぷうさん、ありがとうございます😭
めちゃめちゃ助かります🙏🙏🙏
最後までよろしくお願いします🙇♀️
お気遣いいただいたけど、お礼が言いたかった😍
子供達成長してます🤭
いつか機会があれば💕