137 / 137
第十八章
エピローグ③
しおりを挟む
前回、敵視されていたことが嘘のように、なぜか兄妹が私を間に挟んで言い合いを始めた。
「いつまで外で騒いでいるの?」
兄妹を止める声が玄関から聞こえる。
「凛花ちゃん行きましょう」
結局、先に私の手を取った美和ちゃんに連れられて玄関まで来たけれど……
「まあ、あなた!」
「えっ⁉ ご無沙汰しております。お元気そうで!」
「「ええっ⁉」」
「主人に知らせなくちゃ」
今度は、お母様が慌てて室内に戻って行った。驚く兄妹の視線が私に突き刺さる。
「凛花ちゃん、母と知り合い?」
「えっ、あっ、まあ……」
「凛花どういうことだ?」
兄妹に詰め寄られているところに、お母様に連れられてお父様が走ってきた。
「凛花ちゃん!」
「「ええっ⁉」」
「ご無沙汰しております。お元気そうで良かったです」
「これは一体どういう状況?」
「まだ玄関先だ。話はリビングに行ってからだ」
豪邸の廊下を片桐家全員に囲まれて歩いている。嬉しそうに微笑んでくれるご両親と不思議顔の兄妹。
リビングのソファに腰を掛けた瞬間に、兄妹から話の続きを催促された。
「蒼空の最後の大会を見に行った時に」
「ちょっと待て、まさか試合を見に来てたのか?」
「ああ。来なくていいと言われたが、母さんと二人で見に行ったんだ」
「……。マジか」
いつも誰よりも大人な蒼空さんが、ご両親の前では高校生に戻ったように見える。
「会場で迷っていた俺達に声を掛けてくれたのが、凛花ちゃんだったんだ。人が多かったし蒼空を探すのに必死で、凛花ちゃんがまさか蒼空の学校のマネージャーだったとは今まで知らなかった。美和が蒼空のバスケ部のマネージャーさんがお相手だと言っていたが、来たのが凛花ちゃんで本当に驚いている」
「どういうことだ?」
「困っていた俺達に空いている席を探してくれて、人に酔っている母さんのために水を買ってきてくれて、世話になったまま別れたんだ」
「お礼をしたかったんだけど、凛花ちゃんも急いでいたから」
「それで、何で凛花って名前まで知ってるんだ?」
「何年後だったかしら、偶然に再会したのよ」
「「ええ⁉」」
兄妹が驚くのも無理はない。私はすっかり顔も忘れていたのに、ご両親は覚えて下さっていて、お礼を言われたのだから……
「大学時代にバイトをしていたケーキ屋さんに、たまたまお客様でいらっしゃって、声を掛けられたの。私がバイトしている間に何度も来てくださって」
「私達、凛花ちゃんのファンだったの。就職を機にバイトを辞めた時は本当に残念だったわ」
「まさか、蒼空が凛花ちゃんを連れてくるなんて、お前親孝行だな」
反対されるどころか、私は片桐のご両親に大歓迎されたのだった。
この後に、もちろん私の実家にも蒼空さんが挨拶に来てくれたけれど、元から蒼空さんが大好きな母と弟だ。二人が泣いて喜んでいて、少し父が引いていたけれど、反対されることなく無事に認められたのだった。
私達の幸せが周囲の人達まで幸せにしている。
蒼空さんは、クラウドフラップから羽ばたき、片桐ホールディングスを背負う頼もしい存在になるだろう。ずっと蒼空さんの側で支えて行きたい。
高校時代に出逢った私達は、少し遠回りしたかもしれないけれど、最高のタイミングで初恋を実らせた。
これからも永遠に――
同じ未来を歩んでいく――
一完一
「いつまで外で騒いでいるの?」
兄妹を止める声が玄関から聞こえる。
「凛花ちゃん行きましょう」
結局、先に私の手を取った美和ちゃんに連れられて玄関まで来たけれど……
「まあ、あなた!」
「えっ⁉ ご無沙汰しております。お元気そうで!」
「「ええっ⁉」」
「主人に知らせなくちゃ」
今度は、お母様が慌てて室内に戻って行った。驚く兄妹の視線が私に突き刺さる。
「凛花ちゃん、母と知り合い?」
「えっ、あっ、まあ……」
「凛花どういうことだ?」
兄妹に詰め寄られているところに、お母様に連れられてお父様が走ってきた。
「凛花ちゃん!」
「「ええっ⁉」」
「ご無沙汰しております。お元気そうで良かったです」
「これは一体どういう状況?」
「まだ玄関先だ。話はリビングに行ってからだ」
豪邸の廊下を片桐家全員に囲まれて歩いている。嬉しそうに微笑んでくれるご両親と不思議顔の兄妹。
リビングのソファに腰を掛けた瞬間に、兄妹から話の続きを催促された。
「蒼空の最後の大会を見に行った時に」
「ちょっと待て、まさか試合を見に来てたのか?」
「ああ。来なくていいと言われたが、母さんと二人で見に行ったんだ」
「……。マジか」
いつも誰よりも大人な蒼空さんが、ご両親の前では高校生に戻ったように見える。
「会場で迷っていた俺達に声を掛けてくれたのが、凛花ちゃんだったんだ。人が多かったし蒼空を探すのに必死で、凛花ちゃんがまさか蒼空の学校のマネージャーだったとは今まで知らなかった。美和が蒼空のバスケ部のマネージャーさんがお相手だと言っていたが、来たのが凛花ちゃんで本当に驚いている」
「どういうことだ?」
「困っていた俺達に空いている席を探してくれて、人に酔っている母さんのために水を買ってきてくれて、世話になったまま別れたんだ」
「お礼をしたかったんだけど、凛花ちゃんも急いでいたから」
「それで、何で凛花って名前まで知ってるんだ?」
「何年後だったかしら、偶然に再会したのよ」
「「ええ⁉」」
兄妹が驚くのも無理はない。私はすっかり顔も忘れていたのに、ご両親は覚えて下さっていて、お礼を言われたのだから……
「大学時代にバイトをしていたケーキ屋さんに、たまたまお客様でいらっしゃって、声を掛けられたの。私がバイトしている間に何度も来てくださって」
「私達、凛花ちゃんのファンだったの。就職を機にバイトを辞めた時は本当に残念だったわ」
「まさか、蒼空が凛花ちゃんを連れてくるなんて、お前親孝行だな」
反対されるどころか、私は片桐のご両親に大歓迎されたのだった。
この後に、もちろん私の実家にも蒼空さんが挨拶に来てくれたけれど、元から蒼空さんが大好きな母と弟だ。二人が泣いて喜んでいて、少し父が引いていたけれど、反対されることなく無事に認められたのだった。
私達の幸せが周囲の人達まで幸せにしている。
蒼空さんは、クラウドフラップから羽ばたき、片桐ホールディングスを背負う頼もしい存在になるだろう。ずっと蒼空さんの側で支えて行きたい。
高校時代に出逢った私達は、少し遠回りしたかもしれないけれど、最高のタイミングで初恋を実らせた。
これからも永遠に――
同じ未来を歩んでいく――
一完一
43
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(13件)
あなたにおすすめの小説
Can't Stop Fall in Love
桧垣森輪
恋愛
社会人1年生の美月には憧れの先輩がいる。兄の親友であり、会社の上司で御曹司の輝翔先輩。自分とは住む世界の違う人だから。これは恋愛感情なんかじゃない。そう思いながらも、心はずっと彼を追いかけていた───
優しくて紳士的でずっと憧れていた人が、実は意地悪で嫉妬深くて独占欲も強い腹黒王子だったというお話をコメディタッチでお送りしています。【2016年2/18本編完結】
※アルファポリス エタニティブックスにて書籍化されました。
甘く残酷な支配に溺れて~上司と部下の秘密な関係~
雛瀬智美
恋愛
入社した会社の直属の上司は、甘く危険な香りを放ち私を誘惑する。
魅惑的で刺激的な彼から一歩逃げても、
すぐに追いつめられてしまう。
出逢った時から、墜ちるのは決まっていたのかもしれない。
大蛇(バジリスク)の猛毒で追いつめる腹黒上司と純真なOLのラブストーリー。
シリアス、少しコメディ。
三島優香(みしまゆうか)
24歳。
過去のトラウマを引きずっていて
恋愛することが怖くなっていた矢先、
課長にぐいぐい追いつめられ、
交際することになる。
香住慧一(かすみけいいち)
33歳。優香の所属する課の課長。
女性よけとして紛い物(フェイク)の指輪を
嵌めている。
眼鏡をかけた優男風の美形(イケメン)。
狙った獲物はゆっくり追いつめて
手に入れたい倒錯的な策略家。腹黒ドS。
三島朔(みしまさく)
30歳。
優香の兄で溺愛している。
慧一と初対面の時、一目でやばさに気づき
交際には反対の立場を取る。
慧一を蛇(バジリスク)と称し忌み嫌う。
生真面目なシスコンでいつも優香を心配している。
【完結】エリート産業医はウブな彼女を溺愛する。
花澤凛
恋愛
第17回 恋愛小説大賞 奨励賞受賞
皆さまのおかげで賞をいただくことになりました。
ありがとうございます。
今好きな人がいます。
相手は殿上人の千秋柾哉先生。
仕事上の関係で気まずくなるぐらいなら眺めているままでよかった。
それなのに千秋先生からまさかの告白…?!
「俺と付き合ってくれませんか」
どうしよう。うそ。え?本当に?
「結構はじめから可愛いなあって思ってた」
「なんとか自分のものにできないかなって」
「果穂。名前で呼んで」
「今日から俺のもの、ね?」
福原果穂26歳:OL:人事労務部
×
千秋柾哉33歳:産業医(名門外科医家系御曹司出身)
恋に異例はつきもので ~会社一の鬼部長は初心でキュートな部下を溺愛したい~
泉南佳那
恋愛
「よっしゃー」が口癖の
元気いっぱい営業部員、辻本花梨27歳
×
敏腕だけど冷徹と噂されている
俺様部長 木沢彰吾34歳
ある朝、花梨が出社すると
異動の辞令が張り出されていた。
異動先は木沢部長率いる
〝ブランディング戦略部〟
なんでこんな時期に……
あまりの〝異例〟の辞令に
戸惑いを隠せない花梨。
しかも、担当するように言われた会社はなんと、元カレが社長を務める玩具会社だった!
花梨の前途多難な日々が、今始まる……
***
元気いっぱい、はりきりガール花梨と
ツンデレ部長木沢の年の差超パワフル・ラブ・ストーリーです。
甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・
希花 紀歩
恋愛
24時間二人きりで甘~い💕お仕事!?
『膝の上に座って。』『悪いけど仕事の為だから。』
小さな翻訳会社でアシスタント兼翻訳チェッカーとして働く風永 唯仁子(かざなが ゆにこ)(26)は頼まれると断れない性格。
ある日社長から、急ぎの翻訳案件の為に翻訳者と同じ家に缶詰になり作業を進めるように命令される。気が進まないものの、この案件を無事仕上げることが出来れば憧れていた翻訳コーディネーターになれると言われ、頑張ろうと心を決める。
しかし翻訳者・若泉 透葵(わかいずみ とき)(28)は美青年で優秀な翻訳者であるが何を考えているのかわからない。
彼のベッドが置かれた部屋で二人きりで甘い恋愛シミュレーションゲームの翻訳を進めるが、透葵は翻訳の参考にする為と言って、唯仁子にあれやこれやのスキンシップをしてきて・・・!?
過去の恋愛のトラウマから仕事関係の人と恋愛関係になりたくない唯仁子と、恋愛はくだらないものだと思っている透葵だったが・・・。
*導入部分は説明部分が多く退屈かもしれませんが、この物語に必要な部分なので、こらえて読み進めて頂けると有り難いです。
<表紙イラスト>
男女:わかめサロンパス様
背景:アート宇都宮様
あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお断りいたします。
汐埼ゆたか
恋愛
旧題:あいにくですが、エリート御曹司の蜜愛はお受けいたしかねます。
※現在公開の後半部分は、書籍化前のサイト連載版となっております。
書籍とは設定が異なる部分がありますので、あらかじめご了承ください。
―――――――――――――――――――
ひょんなことから旅行中の学生くんと知り合ったわたし。全然そんなつもりじゃなかったのに、なぜだか一夜を共に……。
傷心中の年下を喰っちゃうなんていい大人のすることじゃない。せめてもの罪滅ぼしと、三日間限定で家に置いてあげた。
―――なのに!
その正体は、ななな、なんと!グループ親会社の役員!しかも御曹司だと!?
恋を諦めたアラサーモブ子と、あふれる愛を注ぎたくて堪らない年下御曹司の溺愛攻防戦☆
「馬鹿だと思うよ自分でも。―――それでもあなたが欲しいんだ」
*・゚♡★♡゚・*:.。奨励賞ありがとうございます 。.:*・゚♡★♡゚・*
▶Attention
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
らびぽろ様
いつもありがとうございます😍
感謝感謝です😊
原作者より詳しい読者様💕
これからもよろしくお願いします🙏
頑張ります(ง •̀_•́)ง
みゆぷうさん、ありがとうございます😭
めちゃめちゃ助かります🙏🙏🙏
最後までよろしくお願いします🙇♀️
お気遣いいただいたけど、お礼が言いたかった😍
子供達成長してます🤭
いつか機会があれば💕