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第四章
歯車が動き出す⑫
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「凪紗?」
前方から歩いて来た男性とすれ違いざまに名前を呼ばれたのだ。
「え?」
呼ばれた方へ視線を向けると、見知った顔がこちらを見て驚きの表情を浮かべている。
私も彼を見た瞬間に周囲の音が遮断され、時が止まった感覚に陥った。
「「……」」
お互いに見つめ合ったまま動くことができない。以前よりもさらに鍛えられ洗練されたイケメンになっていた。
「轟先輩、どうしたんですか?」
集団の先頭にいた近藤くんが、私達の状況を察知したのかこちらへ駆け寄ってくる。
「え? 先輩?」
「え? 近江さんは先輩と知り合い?」
私と近藤くんが戸惑いの声を上げている横で、急に湊翔さんが動き出したと思ったら次の瞬間、私は逞しい腕に抱きしめられていた。
その状況を見ていた同級生達から驚きの声が上がる。
「きゃあ、ズルい~」
「何々? 近江さんの知り合い?」
「私も抱きしめられたい!」
私は頭が真っ白でそれどころではないのだ。突然の再会に戸惑う暇もなく懐かしい温もりを感じる。
「会いたかった……」
抱きしめられている私の耳元に、湊翔さんの声がしっかりと届く。
「え……?」
あの時、音信不通になって捨てられたのは私のはずなのに、どうして湊翔さんがそんなに切ない声で囁いているのだろう。
「どうして急に俺の前からいなくなったんだ?」
「え? 音信不通になったのは湊翔さんでしょう?」
「は?」
「ええっ?」
噛み合わない会話に、お互い戸惑いの声を漏らしてしまう。
「先輩、凄く目立ってますけど……」
近藤くんが遠慮がちに声を掛けてきた。湊翔さんの腕の中から周囲に視線を向けると、同級生だけでなくたまたま通りかかった人からも注目を浴びているではないか。恥ずかしい状況に、解放してもらおうともがくも離してくれそうにない。
「あの?」
「なんだ?」
「離してほしいんだけど」
「却下」
「ええっ」
この恥ずかしい状況を打破するにはどうしたらいいのだろうか。
戸惑っている私とは違い、近藤くんは何かを察したようだ。
「先輩もしかして?」
前方から歩いて来た男性とすれ違いざまに名前を呼ばれたのだ。
「え?」
呼ばれた方へ視線を向けると、見知った顔がこちらを見て驚きの表情を浮かべている。
私も彼を見た瞬間に周囲の音が遮断され、時が止まった感覚に陥った。
「「……」」
お互いに見つめ合ったまま動くことができない。以前よりもさらに鍛えられ洗練されたイケメンになっていた。
「轟先輩、どうしたんですか?」
集団の先頭にいた近藤くんが、私達の状況を察知したのかこちらへ駆け寄ってくる。
「え? 先輩?」
「え? 近江さんは先輩と知り合い?」
私と近藤くんが戸惑いの声を上げている横で、急に湊翔さんが動き出したと思ったら次の瞬間、私は逞しい腕に抱きしめられていた。
その状況を見ていた同級生達から驚きの声が上がる。
「きゃあ、ズルい~」
「何々? 近江さんの知り合い?」
「私も抱きしめられたい!」
私は頭が真っ白でそれどころではないのだ。突然の再会に戸惑う暇もなく懐かしい温もりを感じる。
「会いたかった……」
抱きしめられている私の耳元に、湊翔さんの声がしっかりと届く。
「え……?」
あの時、音信不通になって捨てられたのは私のはずなのに、どうして湊翔さんがそんなに切ない声で囁いているのだろう。
「どうして急に俺の前からいなくなったんだ?」
「え? 音信不通になったのは湊翔さんでしょう?」
「は?」
「ええっ?」
噛み合わない会話に、お互い戸惑いの声を漏らしてしまう。
「先輩、凄く目立ってますけど……」
近藤くんが遠慮がちに声を掛けてきた。湊翔さんの腕の中から周囲に視線を向けると、同級生だけでなくたまたま通りかかった人からも注目を浴びているではないか。恥ずかしい状況に、解放してもらおうともがくも離してくれそうにない。
「あの?」
「なんだ?」
「離してほしいんだけど」
「却下」
「ええっ」
この恥ずかしい状況を打破するにはどうしたらいいのだろうか。
戸惑っている私とは違い、近藤くんは何かを察したようだ。
「先輩もしかして?」
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