もう絶対に離さない!潜水士は海よりも深い愛を誓う

せいとも

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第五章

彼の本気⑦

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 私のあとをついてリビングに入った湊翔さんは、子供の存在を主張する部屋に呆然としている。固まってしまった湊翔さんを放置したまま、ソファに眠る七海のおでこに手を当てた。

「さっきより上がってるかも……」

 私のつぶやきが聞こえた湊翔さんが、心配そうにこちらを見ている。

「病院は?」
「昼前って言われたの」
「車出すから準備したらどうだ?」

 タクシーを呼ぼうと思っていたけど、車を出してもらえるなら助かる。ここまで知られたのだから素直に甘えることにした。

「じゃあ、お言葉に甘えてもいい?」
「もちろんだ」

 湊翔さんが七海の近くに座って心配そうに見ている。その姿を客観的に見ている私の心中は複雑だ。

 準備ができて出掛ける時間になっても七海は眠っている。可哀想だけど一旦起こそうと思ったところで制止された。

「俺が抱っこしていくから、このまま寝かせてあげよう」
「それはありがたいけど……」
「凪紗は荷物を持って、玄関を開けてくれ」
「うん」
 
 私一人だと、七海をずっと抱っこして病院まで行くこともできない。男性の手があるだけで全然違うし、それが本当の父親なのだから本来あるべき姿なのだと思うと複雑な心境だ。

 今が変化の時なのかもしれない……

 後部座席に乗り込んだ私が七海を抱っこして、湊翔さんが運転席に乗り出発した。

「道案内頼む」
「はい」

 車だと病院までは十分ほどの距離で、間もなく到着するという時だった。

「名前は?」
「え?」
「子供の名前」
「漢数字の七と海で七海」
「七海ちゃんかぁ、いい名前だな」
「ありがとう」

 きっと他にも聞きたいことがあるはずなのに、湊翔さんがそれ以上聞いてくることはなかった。今、彼は何を思っているのだろう。

 病院の前で車を降りると湊翔さんが駐車場へ止めに行ってくれた。

 受付を済ませて待合室で待っている間も、七海はぐっすりと眠っている。

「抱っこ代わるよ」

 車を置いてきた湊翔さんが当たり前のように代わってくれる。

「ん~だれ?」
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