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第三章

入学式②

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 体育館に入ると、上級生代表の出席者のところに姉の姿を発見した。由奈に気づいた姉もニッコリ微笑んでくれた。それだけで安心するのだから、姉の存在は偉大だ。

 今年の新入生は142名だ。受験や引っ越しでいないメンバー以外は一緒だ。6年間同じクラスになったことのない子もいるが、顔は知っている。

 校長先生や在校生代表の挨拶のあと、新入生代表が挨拶をしている。瑞希がいたらきっと代表だったに違いない。一緒の学校ではないことを改めて実感して切なくなる。

 今頃瑞希は何をしているだろうか。きっと新しい友達ができているに違いない。勉強も格段に難しいに違いない。入学式は順調に進行しているが、由奈の頭の中は瑞希に支配されていた。

 入学式が終わると担任の先生についていき、クラスでホームルームがあった。偶然にも朱里と席が近くて、お互いに視線を合わせてはニヤニヤしてしまう。

 たくさんの書類や教科書をもらい解散となったので、朱里と帰ろうと思っていた時だった。

「ねえ。由奈と朱里、グループメッセージ何で返さないの?」

 初日から絡まれてしまった。そう、ずっとメッセージを送っているうちのひとり、絵理香に声をかけられたのだ。

「えっと……」
「何?」
「私、読むのも打つのも遅くて、入れようと思った時には話題が変わってるの」
「うんうん」

 朱里も頷き同意する。

「それでも、どこかで入れるでしょう?」
「が、がんばる」
「雛ちゃんは、何で抜けたの?」
「抜けたんじゃなく抜いたの」
「「ええ?!」」
「ウザイから」

 すでに何か揉め事があったようだが、知らないほうが良さそうだ。由奈と朱里は、ややこしいことに巻き込まれなくないと願う。

 中学校生活は前途多難の予感?!

 
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