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ハイデリガ王女の決意
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兄の王太子が出陣して一週間経った頃、オラダス軍と交戦中だったマルグリア城の砦からの伝令が到着した。
「それはまことか!」
「はっ!オラダス軍は一時撤退となりました!」
敵将の指揮官と我が軍の指揮官である王太子が会談を行った結果、停戦条件を持ち帰り検討する事を条件に一時的にオラダス側が軍を国境線まで引かせたとの事だった。
そして、そのオラダス帝国からの停戦条件が書かれた書簡を受け取った兄とアエラス騎士団は、念の為軍の一部を待機させたまま間もなく戻って来る。
その報せを受けて、すぐには開戦にならないことに心底ホッとしたが、これが一時の平穏であることは、ここにいる者は誰しも理解している。
しかし、我が国のような弱小王国は、常に戦の脅威に晒されていて、またいつ戦になるかわからないのだ。
特に北側のオラダス帝国は、数年前に皇帝が代替わりしてからまでよりも一層積極的に我が国に侵攻して来ていた。
その侵攻をくいとめる為、我が国と同様にオラダス帝国と敵対関係にある隣国リトヴィエ王国との同盟を締結している。
リトヴィエ王国は、このラナトリア大陸の中心にある大陸で最も栄えている最大の王国である。
その王国には兄の学友で今でも親交の深い友人である『漆黒の雷神』と呼ばれる、とてつもなく強い王太子がいる。
リトヴィエの『雷神』は直属のエクレール騎士団を率い、『神の目』の力をもってオラダス帝国の侵攻をことごとく蹴散らした。もちろん、同盟国である我が国も何度も『雷神』に救われている。
諸外国の均衡が保たれているのは、偏に、リトヴィエ王国の神の目をもつ王太子のおかげだといえるのである。
この力はそれぞれ国の王族に現れる力で、私は『癒し』の力を持っている。
この『癒し』は『神の目』に次ぐ稀有な力であり、しかも私の『癒し』は歴代の『癒し』の力の中で最も強いらしく、力が発現して以来、オラダス帝国に目をつけられてから何度も拐かされそうになるなど危険な目にあっていた。
私の一度の祈りで一個師団くらいの怪我は癒されるのだから、戦場においてこれ程有用な力はないだろう。その代わり、私の体力と魔力の消費が激しいため連続で何度も力を使う事ができない。
オラダス帝国に渡ればきっと力は使い潰され、私の命も近いうちに潰えるに違いなかった。
そのため近衛騎士団のブルーム騎士団団長でありながらも、クロードが私の守護騎士として常に身辺の警護をすることとなったのだ。
私の力『癒し』などは平和な国には役に立たないのだが、好戦国のオラダス帝国には、よっぽど喉から手が出る程欲しい能力なのだろう。
懲りもせず何度も間者を送り込んで来てはクロードに返り討ちにされている。
そんなオラダス帝国からの停戦条件だ。嫌な予感しかしない。
杞憂で済めばよいが…とにかく、兄の帰還が待ち遠しい。
「それはまことか!」
「はっ!オラダス軍は一時撤退となりました!」
敵将の指揮官と我が軍の指揮官である王太子が会談を行った結果、停戦条件を持ち帰り検討する事を条件に一時的にオラダス側が軍を国境線まで引かせたとの事だった。
そして、そのオラダス帝国からの停戦条件が書かれた書簡を受け取った兄とアエラス騎士団は、念の為軍の一部を待機させたまま間もなく戻って来る。
その報せを受けて、すぐには開戦にならないことに心底ホッとしたが、これが一時の平穏であることは、ここにいる者は誰しも理解している。
しかし、我が国のような弱小王国は、常に戦の脅威に晒されていて、またいつ戦になるかわからないのだ。
特に北側のオラダス帝国は、数年前に皇帝が代替わりしてからまでよりも一層積極的に我が国に侵攻して来ていた。
その侵攻をくいとめる為、我が国と同様にオラダス帝国と敵対関係にある隣国リトヴィエ王国との同盟を締結している。
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その王国には兄の学友で今でも親交の深い友人である『漆黒の雷神』と呼ばれる、とてつもなく強い王太子がいる。
リトヴィエの『雷神』は直属のエクレール騎士団を率い、『神の目』の力をもってオラダス帝国の侵攻をことごとく蹴散らした。もちろん、同盟国である我が国も何度も『雷神』に救われている。
諸外国の均衡が保たれているのは、偏に、リトヴィエ王国の神の目をもつ王太子のおかげだといえるのである。
この力はそれぞれ国の王族に現れる力で、私は『癒し』の力を持っている。
この『癒し』は『神の目』に次ぐ稀有な力であり、しかも私の『癒し』は歴代の『癒し』の力の中で最も強いらしく、力が発現して以来、オラダス帝国に目をつけられてから何度も拐かされそうになるなど危険な目にあっていた。
私の一度の祈りで一個師団くらいの怪我は癒されるのだから、戦場においてこれ程有用な力はないだろう。その代わり、私の体力と魔力の消費が激しいため連続で何度も力を使う事ができない。
オラダス帝国に渡ればきっと力は使い潰され、私の命も近いうちに潰えるに違いなかった。
そのため近衛騎士団のブルーム騎士団団長でありながらも、クロードが私の守護騎士として常に身辺の警護をすることとなったのだ。
私の力『癒し』などは平和な国には役に立たないのだが、好戦国のオラダス帝国には、よっぽど喉から手が出る程欲しい能力なのだろう。
懲りもせず何度も間者を送り込んで来てはクロードに返り討ちにされている。
そんなオラダス帝国からの停戦条件だ。嫌な予感しかしない。
杞憂で済めばよいが…とにかく、兄の帰還が待ち遠しい。
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