【R18】漆黒の王太子の一途で重い純愛〜痴情の果てに初恋の姫を溺愛する

夢乃 空大

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ハイデリガ王女の決意

不安な気持ち

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「姫様…何かお悩みですか?」


 立場を弁えているのかいつも私と一定の距離を保っていたクロードが、よっぽど心配してくれたのだろう、気遣うように声をかけながら私の横に腰を下ろした。

 クロードの声はとても心配そうで、例えそれが職務上だったとしても嬉しかった。
 同時に、幼馴染なのに、『姫様』だなんて、どこか一線を引かれている事にチクリと胸が傷む。

 私はふるふると頭を振り、クロードを見つめて言った。


「クロード、ふたりきりの時は昔のようにティアと呼んでって言ってるじゃない。」

「姫様、職務中はそういう訳には…」

「クロード、お願いよ。今にも不安と責任で押しつぶされそうなの…」


 そういうと、クロードは短くふぅと息を吐き、着ていたマントを外して私の肩にかけると、私の手の上に自らの手を重ねた。


「……わかったよ、ティア。随分と顔色が悪いが、大丈夫か?」


 その優しげな口調に冷えきっていた心が温まっていくのを感じた。それでも拭えない不安が押し寄せてきて、その温かな気持ちを押し返していく。


「クロード…私、どうしたらいいのかしら?オラダスへ行くべきなのはわかっているのだけれど……」


 わかっているけれど、それを受け入れられない自分がいる。それ以外に道が無い事もわかっているのに、覚悟が決まらない自分が酷く情けなかった。

 それに、オラダスへ行く事を考えただけで、恐ろしさで震えが止まらなかった。
 私が行けば我が国に侵攻しない、そういう話であったがそれがいつまでなのか明言をされていない。

 その約束は一時の事なのか、それとも永久的に続くのか……
 それよりも、私はあんなに恐ろしい国で生きていけるのか……

 考えれば考える程に不安で心が押しつぶされそうだった。


「クロード…怖いの……私が行くことが国の為なのであれば、私は…行く、つもりなのだけれども、私が行ったとして、本当に彼国は約束を守るのかしら…私は……」


 言いながら私は震える手を握りしめる。


「ティア……そんな風に力任せに握るものではない。君の美しい手に傷が付いてしまうよ。握るなら俺の手にしろ…ほら。」


 クロードはそう言うと、私の震える手を安心させるかのように、優しく解き、指を絡めると固くぎゅっと握った。
 ハッと振り向きクロードを見上げると、いつもは瞳を合わせてくれないクロードが私を優しく見詰めていた。


「ティア、俺はお前が決めた事に従うよ。もしも…オラダスに行くのなら、俺も一緒に行く。お前は俺の命だ。絶対に守るから。」

「クロード……」


 そしてクロードは立ち上ると、私の前に跪き胸に手をあてた。


「ハイデリガ王国ブルーム騎士団団長であり、クリスティア・フォン・ハイデリガ王女殿下の守護騎士である、クロード・バリーはこの命に替えても…いや、命が尽きようとも必ず貴方様を御守り致します。」


 そう言って私の手に口付けを落とした後、すっと見上げたクロードの瞳は優しい慈しみの情で揺れていた。
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