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僕が買われた日
しおりを挟む僕が売りに出される前までは、両親と幼い弟と仲良く暮らしていた。
だが、ある日父親が仕事で大きなミスを犯し、発生した損害の埋め合わせを命じられてしまった。
到底払いきれない金額だった。父が神妙な面持ちで僕に言った。
「すまん、グエン。この家を助けてくれないか」
自ら奴隷になると宣言するのはとても辛かった。
─────
奴隷商人に話しかけている優しそうな風貌の男がいた。眉尻を下げるように笑うのが印象的だった
「……お前を買いたいそうだ」
あの人ならそこまで酷い扱いはされないかもしれない、と思った。
「やぁ、私はアルフォート。君を買うことにしたんだ、これからよろしくね」
差し伸べられた手を握った。
アルフォートの家はとても大きかった。質素に見える外装は、よくみると細かく繊細な技術が用いられてると分かる。
家へ入ると、僕専用の部屋があると言って案内された。アルフォートが扉を開けて中へ入るように促す。部屋の中は暗くなっていてよく見えない。
ドン! といきなり背中に大きな衝撃が走った。アルフォートに蹴り飛ばされたのだと理解するまでに数秒を要した。
部屋の中央へ飛ばされ、うつ伏せの状態だった。手に何か触れた。暗い中で目をこらすと椅子が見えた。なにやら、椅子の脚のようだ。
椅子の脚に何かついている。……鉄製の足枷だ! 僕は慌てて立ち上がり逃げだそうとするが、アルフォートにあっけなく阻まれた。
細い見た目からは想像もできないほど強い力で僕を押さえつける。抵抗しているのに、全くびくともしなかった。
僕を無理矢理椅子に座らせると、髪の毛を鷲づかみにして椅子をくくっている柱に叩きつけた。首にひやりとしたものが当たると、がちゃり、と嫌な音を立てた。……ここにもあったのか!
首を固定された後、アルフォートはらくらくと僕の四肢を拘束していった。
閉め切られていた重たく分厚いカーテンが開くと、まぶしいほどに陽の光がさしこんでくる。
僕はまたしても目を見開いた。壁一面に血の染み込んだように見える拷問器具がずらりと並べてあったからだ。出入り口の扉の直ぐの壁にはホルマリン漬けにされている男児と思われる身体の一部が所狭しと飾られているのが見えた。
アルフォートはいやらしい目つきで僕を見ながら、壁にあったおおきなノコギリを手にした。
これから起こることを予想した身体が勝手にガタガタと震えてしまう。
「……これェ、何に使うか分かるかなあ?」
いかれた甲高い声だった。
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