奴隷として売られていた僕がこんなに幸せでいいんですか?!

ulpvs7tt

文字の大きさ
5 / 11

絶体絶命

しおりを挟む


 コンコン、と誰かが玄関のドアノッカーを叩く音がした。……助けてくれるかもしれない! 

「だれか! たすけて! ここ「黙れッ!」

 アルフォートの鋭いビンタが僕の頬に炸裂した。口の中が切れて、血の味が広がっていく。

 僕の口に木の棒を噛ませると柱と一緒にぐるぐる巻きにされていく。猿轡されてるのと同じ状態だった。

 再びコンコン、と音がしてアルフォートは舌打ちをしながら玄関に向かった。

 アルフォートがいなくなった瞬間から全身全霊で脱出することに集中する。

 ゴン!と金属に大きなものがぶつかったような音が玄関の方から響いてきた。

 僕の希望であった来訪者になにかあったんじゃ……。絶望的な気持ちに襲われる。

 ドスン、ドスン、と地面を鳴らすような大きな音が僕のいる部屋に近付いてくる。身体の震えが止まらなくなった。怖い。

 物凄い勢いで扉が吹っ飛んだ。爆発が起こったのかと思ったくらい、すごい勢いだった。

「大丈夫か」

 部屋に入ってきたアルフォートより二回りくらい身体の大きな男が低い声で尋ねた。

「んー!」

 早く猿轡を外して欲しい、そう伝えたかった。

 僕の意思をくみ取ってくれたのか、大男は僕と柱を結びつけている布に手をかけた。ビリビリッと布の破ける音がして僕の口が解放された。

「……ぁあ、あ、」

「話さなくていい、これも取るから少しだけ辛抱してくれ」

 手枷を見ながら言った。難しい顔をしている。おもむろに手を伸ばすと、思い切り引っ張った。大男の顔が真っ赤に染まる。

 ボゴンッ、という音と共に手枷がスッポリと抜け落ちた。他の枷も大男が力尽くで外してくれた。

 身体が自由になり、アルフォートへの恐怖が蘇ってきた。そんな僕に気がついた大男は着ていた上着を僕の肩にかけてくれる。

「行こう」

 大男の問いに頷いた。

 家を出るとき、廊下からアルフォートらしき人が見えた。顔は真っ赤な血で染まり、足があらぬ方向を向いていた。半開きになった口からはまばらになった前歯が覗いてた。もしかしたら、死んでいるのかもしれない。

 玄関でおかしな金属音がしたのはこのせいだったのだろうか。

 恐怖よりも先に安堵の気持ちがわき上がってきた。

 大男の手をしっかりと握る。

 外に出るとたったさっきまで浴びていた日光がより輝いて見えた。

「俺は警察だ。もう安心してくれ。二度とあいつは現れない」

 僕と同じ目線になるように膝を折り曲げている。相変わらず震えが止まらない僕の肩をさすりながら、言ってくれた。

 こんな強い人がいるならもう大丈夫だ。そう思った途端、全身の力が抜けてしまった。視界がぐにゃり、と曲がり始める。













しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

イケメン大学生にナンパされているようですが、どうやらただのナンパ男ではないようです

市川
BL
会社帰り、突然声をかけてきたイケメン大学生。断ろうにもうまくいかず……

おすすめのマッサージ屋を紹介したら後輩の様子がおかしい件

ひきこ
BL
名ばかり管理職で疲労困憊の山口は、偶然見つけたマッサージ店で、長年諦めていたどうやっても改善しない体調不良が改善した。 せっかくなので後輩を連れて行ったらどうやら様子がおかしくて、もう行くなって言ってくる。 クールだったはずがいつのまにか世話焼いてしまう年下敬語後輩Dom × (自分が世話を焼いてるつもりの)脳筋系天然先輩Sub がわちゃわちゃする話。 『加減を知らない初心者Domがグイグイ懐いてくる』と同じ世界で地続きのお話です。 (全く別の話なのでどちらも単体で読んでいただけます) https://www.alphapolis.co.jp/novel/21582922/922916390 サブタイトルに◆がついているものは後輩視点です。 同人誌版と同じ表紙に差し替えました。 表紙イラスト:浴槽つぼカルビ様(X@shabuuma11 )ありがとうございます!

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした

444
BL
『醜い顔…汚らしい』 幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。 だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。 その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話 暴力表現があるところには※をつけております

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

余命半年の俺を、手酷く振ったはずの元カレ二人が手を組んで逃がしてくれません

ユッキー
BL
半年以内に俺は一人寂しく死ぬ。そんな未来を視た。きっと誰も悲しむ人は居ないだろう。そう思っていたから何も怖くなかった。なのにそんな俺の元に過去手酷く振り、今では世界的スターとなった元カレ二人がやってきた。彼らは全てを知っていた。俺がどうして彼らを振ったのか、そして俺の余命も。 全てを諦めた主人公と、主人公を諦めきれないイケメンサッカー選手とシンガーソングライターの再会が導く未来は?

処理中です...