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episode15
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翌日。
服を買いに行くと言っていたのに一向に出かける気配がない。
不思議に思っていると部屋のドアがノックされた。
「入れ」
「失礼致します」
ドアを開けて入ってきたのはオレンジの髪と瞳のモノクルをかけたおじさんだった。
「レクス様。お久しぶりでこざいます。本日はお招き頂き誠にありがとうございます」
「ああ、早速頼む。既成品を2着と後は適当に2、30着ほど仕立ててくれ」
「かしこまりました。数が多いので少しお時間頂いてしまいますが....」
「かまわん。出来たら全て向こうに運んでくれ」
「かしこまりました」
あれ、これ俺いていいやつ?
仕事の話かな?
オロオロしているとモノクルのおじさんと目が合った。
「これはこれは!想像を遥かに超える美しさですな!———と、失礼致しました。お初にお目にかかります。私エルビー・マクハートと申します。以後お見知りおきを」
「あ、ハルト・キリュウと申します。こちらこそよろしくお願い致します」
「ハルト様、早速ではございますがお好きなデザインや色はございますか?」
様!?
「あ、あの、様はやめて下さい...」
「ですが....」
チラリとレクスの方を見た。
「....かしこまりました。それではハルトさん、でご容赦くださいませ」
「いえ、すみません。ありがとうございます」
「ありがとうございます。それではお好きなデザインや色をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
いや、その前にこれ、なんの話?
ってかこの人何者?
仕事の話してたんじゃないの?
「えっと....なんのお話でしょうか....?」
「おや、お伝えしていなかったのですか?」
「伝えた。服買うって言ったろ?」
「服?それは昨日聞いたけど.....」
え、ちょっと待って?
もしかして買いに行くんじゃなくて呼んだの!?
どこのセレブだよ!
普通買いに行くと思うでしょ!
なに?レクスってセレブなの!?
「——と、特に希望はないです....」
そう言うのが精一杯だった。
ちょっと頭の中パニックなんですけど!
そういえばさっき30着とか言ってなかった!?
あれ、俺の服のこと!?
確実に買いすぎでしょ!
「かしこまりました。次は採寸させて頂きます」
採寸?もしかしてオーダーメイドじゃ.....。
いくらかかるのか想像しただけでゾッとする。
.......死ぬまでに返せるのかな.....。
採寸されている間に服がたくさん運ばれてきた。
こっちの服はよくわからないのでレクスに選んでもらった。
袖や裾を直してもらって終了だ。
髪の毛を隠すために帽子も貰ったが、つばが大きく魔女っ子みたいで少し恥ずかしい。
服選びの後、魔力量を量るためにお城に着いたがかなり大きくて全貌が見えないほどだ。
城内は迷路みたいになっている。
これ絶対迷子になる.....
通された部屋はとても豪華だった。
「お待ちしておりました」
出迎えてくれた人は銀色の髪と瞳の少しレオンに似ている青年だ。
「エヴァン!なぜここに?」
「あの方のご命令でして.....」
少し困ったように微笑んだ。
「ハルト様にはお召し替え頂くように、と」
「チッ。非公式にしたと言うから嫌な予感はしたが」
えーっと?
また話についていけてませんが?
「レクス?」
「ああ、悪い。こいつはエヴァン。レオンの弟だ」
え!
やっぱり!似てると思った!
「兄がお世話になっております。竜銀騎士団の副団長を務めておりますエヴァン・アルセイフと申します」
「いえ!こちらの方がお世話になりっぱなしで!ハルト・キリュウです。あの、様、はやめて頂けるとありがたいんですが....」
「....かしこまりました。それではハルトさんも敬語はお使いにならないようお願い致します」
「わかった。よろしくね」
「よろしくお願い致します」
にっこりと優しく笑うところはレオンにそっくりだ。
「レクス様は別の者がご案内致しますのでこちらでお待ち下さい。ハルトさんはこちらに——」
「待て、俺はハルトの側から離れるつもりはないぞ」
レクス?なにを言ってるのかな?
ほら!エヴァンだってびっくりしてるじゃん!
「申し訳ありません....。先程も申し上げましたようにあの方のご命令です。ハルトさんは私が責任を持って護衛致しますので.....」
「........はぁ、.....わかった。頼む」
「かしこまりました」
あの方って、誰ですかね.....?
聞ける雰囲気ではないので声には出さなかったが不安だ。
怖い人なの!?
服を買いに行くと言っていたのに一向に出かける気配がない。
不思議に思っていると部屋のドアがノックされた。
「入れ」
「失礼致します」
ドアを開けて入ってきたのはオレンジの髪と瞳のモノクルをかけたおじさんだった。
「レクス様。お久しぶりでこざいます。本日はお招き頂き誠にありがとうございます」
「ああ、早速頼む。既成品を2着と後は適当に2、30着ほど仕立ててくれ」
「かしこまりました。数が多いので少しお時間頂いてしまいますが....」
「かまわん。出来たら全て向こうに運んでくれ」
「かしこまりました」
あれ、これ俺いていいやつ?
仕事の話かな?
オロオロしているとモノクルのおじさんと目が合った。
「これはこれは!想像を遥かに超える美しさですな!———と、失礼致しました。お初にお目にかかります。私エルビー・マクハートと申します。以後お見知りおきを」
「あ、ハルト・キリュウと申します。こちらこそよろしくお願い致します」
「ハルト様、早速ではございますがお好きなデザインや色はございますか?」
様!?
「あ、あの、様はやめて下さい...」
「ですが....」
チラリとレクスの方を見た。
「....かしこまりました。それではハルトさん、でご容赦くださいませ」
「いえ、すみません。ありがとうございます」
「ありがとうございます。それではお好きなデザインや色をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
いや、その前にこれ、なんの話?
ってかこの人何者?
仕事の話してたんじゃないの?
「えっと....なんのお話でしょうか....?」
「おや、お伝えしていなかったのですか?」
「伝えた。服買うって言ったろ?」
「服?それは昨日聞いたけど.....」
え、ちょっと待って?
もしかして買いに行くんじゃなくて呼んだの!?
どこのセレブだよ!
普通買いに行くと思うでしょ!
なに?レクスってセレブなの!?
「——と、特に希望はないです....」
そう言うのが精一杯だった。
ちょっと頭の中パニックなんですけど!
そういえばさっき30着とか言ってなかった!?
あれ、俺の服のこと!?
確実に買いすぎでしょ!
「かしこまりました。次は採寸させて頂きます」
採寸?もしかしてオーダーメイドじゃ.....。
いくらかかるのか想像しただけでゾッとする。
.......死ぬまでに返せるのかな.....。
採寸されている間に服がたくさん運ばれてきた。
こっちの服はよくわからないのでレクスに選んでもらった。
袖や裾を直してもらって終了だ。
髪の毛を隠すために帽子も貰ったが、つばが大きく魔女っ子みたいで少し恥ずかしい。
服選びの後、魔力量を量るためにお城に着いたがかなり大きくて全貌が見えないほどだ。
城内は迷路みたいになっている。
これ絶対迷子になる.....
通された部屋はとても豪華だった。
「お待ちしておりました」
出迎えてくれた人は銀色の髪と瞳の少しレオンに似ている青年だ。
「エヴァン!なぜここに?」
「あの方のご命令でして.....」
少し困ったように微笑んだ。
「ハルト様にはお召し替え頂くように、と」
「チッ。非公式にしたと言うから嫌な予感はしたが」
えーっと?
また話についていけてませんが?
「レクス?」
「ああ、悪い。こいつはエヴァン。レオンの弟だ」
え!
やっぱり!似てると思った!
「兄がお世話になっております。竜銀騎士団の副団長を務めておりますエヴァン・アルセイフと申します」
「いえ!こちらの方がお世話になりっぱなしで!ハルト・キリュウです。あの、様、はやめて頂けるとありがたいんですが....」
「....かしこまりました。それではハルトさんも敬語はお使いにならないようお願い致します」
「わかった。よろしくね」
「よろしくお願い致します」
にっこりと優しく笑うところはレオンにそっくりだ。
「レクス様は別の者がご案内致しますのでこちらでお待ち下さい。ハルトさんはこちらに——」
「待て、俺はハルトの側から離れるつもりはないぞ」
レクス?なにを言ってるのかな?
ほら!エヴァンだってびっくりしてるじゃん!
「申し訳ありません....。先程も申し上げましたようにあの方のご命令です。ハルトさんは私が責任を持って護衛致しますので.....」
「........はぁ、.....わかった。頼む」
「かしこまりました」
あの方って、誰ですかね.....?
聞ける雰囲気ではないので声には出さなかったが不安だ。
怖い人なの!?
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